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第三十六話 赤目の洞窟

今日は3本 1/3


「いらっしゃいシャロル」


「こ、こ、こんにちわ! メリウス様!!」


「そんなに緊張しないでいいよ、相変わらずだなシャロルは」


「ふぁ、ふぁい! ごめんなさいー!」


「シャロルは強いのにあわてんぼう。さらにメリウスの前だとさらにダメダメになる」


「妹が悪いねシャロル。明日はよろしく頼むよ」


「ご、護衛の任、つ、務めさせていただきましゅ!」


 ぺこぺこと何度も礼をするシャロル、その度に胸にぶら下がる巨大な質量がぐわんぐわんと激しく動く。

 黒髪ボブに少したれ目なかわいらしい瞳。

 目元のほくろが人の目を引く。

 額の両側には小さな角が残っている。

 鼻は小ぶりだからスッと美しく、小さなかわいらしい唇と合わせて幼くお淑やかな印象を受ける。

 その顔つきと対照的なのは肉体だ、まさにグラマー、放漫なバスト、引き締まったウエスト、安産型の魅力的なヒップ。その体系で身長は低いというギャップも備えている。

 そのギャップは戦闘スタイルにも存在する。

 近接戦闘もホルスをも圧倒する膂力に、魔力による身体強化を乗せた一撃はメリウスさえ弾き飛ばす絶対の一撃。

 メリウスは自身の身長も超える巨大な大剣を振り回す戦闘スタイルはまさに台風だ。

 いろいろなものを振り回しながらの嵐に巻き込まれれば命はない。


「シャロル、今日は泊っていく」


「は、はい! お邪魔します!」


「やっと家も全員分できたし、俺たちの家まで作ってもらったしね」


「と、当然です! メリウス様は村の恩人です!!」


 ガツンと激しく椅子とテーブルにぶつかるが、頑丈なシャロルは気にもしない。

 周りの人間はむしろイスとテーブルの心配をしている。

 シャロンが来る場所の家具は頑丈に作られている。

 日常生活でも台風娘である。


「シャロルはもう少し落ち着くべき、戦いのときみたいに」


「確かに、戦闘のときは冷静だよねシャロルは」


「俺も苦労するもんなー、しかもその一撃一撃が重いのなんのって……この剣がなければ絶対に勝てないよ」


「そ、そんな……メリウス様に褒められるなんて……」


「シャロル倒れちゃダメ、椅子が壊れる」


 倒れそうになるシャロルをプリテが支える。

 こんな感じで二人は非常に仲がいい。


「シャロルは家族になる。プリテにはわかる」


 プリテはよくわからないことを言っている。

 翌日3人とシャロルとホルスの5人である場所の調査をする予定だった。

 赤目が多く守護する洞窟、村からの距離はだいぶ離れているが、周囲の探索によって発見された。

 翌朝早朝より全員で行動を開始する。 


「赤目が組織的に動いているのは不気味だ。

 今の戦力で最大の駒を持って調べる必要がある」


「十分用心していきましょう」


「うん、気を付ける」


「それじゃぁ行こうか」


 小型の荷車に旅の準備を乗せて出発する。

 

「それじゃぁ、いくよー」


 メリウスの身体強化による荷車輸送による超高速移動。

 ホルスはため息をついて覚悟を決め、必死にしがみつく。

 直後、土煙を上げて荷車は地平線に消えていく。

 村人たちは慣れたものでその光景を微笑ましく見送っていく。


「よし、このあたりからは慎重にいこう」


「わかりました」


「おしりいたいー」


「や、やっと……うぷ……止まった……」


「め、メリウス様! お、お疲れ様です!」


 派手に荷車にぶつかりながらメリウスにタオルを差し出す。

 

「ありがとうシャロル」


「はぁ~~~メリウス様にお礼を~~~~……」


 倒れそうになるシャロルをプリテが支える。

 そのまま倒れれば石頭で荷車が破壊されただろう。


「シャロルはこんなものついてるからバランスが悪い」


 プリテがバチンと胸についてる大きな塊を叩く。

 波打つように二つの塊が揺れる。


「痛いよプリテちゃん叩かないでよ~」


 波打つ塊が面白いみたいでプリテは執拗に左右からベチベチベチベチ叩き回す。


「プリテそれくらいにしておけ、全く敵の目の前なんだからもっと警戒してくれよ……」


「ううう……胃の中が空っぽになりました……」


「ホルス。これ齧るといい」


「ああ、プリテさんありがとう……苦っ……でもスーッとして……なるほど、楽になります。

 ありがとうございます」


「ホルスは俺の運転に慣れないな?」


「みんながおかしいんです、普通こうなりますよ!」


「ホルス、気絶しないだけ偉い」


「確かに、村の人でも全力で気絶しないのはホルスさんとシャロルだけですからね」


「楽しくない? カインが引いてくれると楽しいんだけどなー」


「専用のコース作りたい」


「いいねぇ!」


「……メリウス様お話中ですが、敵のようです」


「ほんとだ……数少ない……あっち……」


 岩陰から平原を伺うと7人くらいの集団が目的の洞窟の方向から歩いてくる。

 

「でかいのがいる。ホブゴブリンよりでかい」


 3体のゴブリン、3体のホブゴブリン、そしてそれより大きなハイゴブリン、さらに上位種が一緒にいる。


「やっぱりあの洞窟は重要な場所みたいだな。プリテ狙えるか? できればでかいの」


「……止めた法が良いと思う。勘だけど」


「メリウス様、妹の勘は当たります」


 無言で頷くメリウス。


「ここは敵の拠点から近い、仲間を呼ばれると厄介だ。

 危険だが、出来る限り拠点から離して敵の退路を絶った上で、正面から倒すのが最善だと思う」


 全員もその意見に賛同する。

 抜けているシャロルの顔つきも変わっている。


「静音の加護でみなさんを包んで、この岩場で敵をやり過ごし。

 そのまま敵拠点方向に静音の加護を展開し、敵を撃破。

 そんな感じですかね」


「ああ、シャロンの案で行こう。

 あのでかいのの力は読めない、十分に警戒しよう」


 風の魔石を利用した使用方法の一つ。

 周囲の空気の振動を抑えることで音の伝達広がりを阻害する。

 静音の加護と呼んでいる。

 隠密行動や戦闘音の隠匿などメリウスの過去の世界でも頻繁に利用された方法だ。

 シャロンは風の特製を持っており、繊細なコントロールと豊富な魔力でこの魔法を得意とする。

 小さな魔石でも使い方次第でそれなりの範囲に加護を展開できるので、探索などではシャロンはなくてはならない存在になっている。

 

「そのまま……気がつくなよ……」


 直ぐ側を赤目のパーティが通過していく、作戦通り敵と拠点の間にメリウス達が割り込んで敵を拠点方向に逃がさない準備を行う。

 荷車は既に土の魔石で隠してある。


「プリテ、シャロン、行け」


 二人が過ぎ去ったパーティに弓を構え、放つ。

 それが戦闘開始の合図となる。


 


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