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第三十五話 ノタ村改造 中級

 村人たちは一晩で生まれ変わった。

 過去から連綿と受け継がれてきた丑人としての血を開花させたように、逞しい肉体を持った人々へと本来の姿を取り戻したといったほうが正しいのかもしれない。

 村人たちは自らの尊厳を取り戻したかのように喜びあった。

 理解としては、昨日のご飯が美味しかったからムキムキ、ムチムチになった。やったぜ。である。


「よっしゃ! みんなにもバリバリ働いてもらうぞ!」


「おおーー!!」


 村の人々は一生懸命働いた。

 自分たちの生活を自分たちで守り、作り上げていく。

 それが村人にとっても楽しくて仕方がなかった。

 村作りは道具が優れているので急ピッチに進んでいく。


「さて、今日は湖から水路を引くぞー」


 村の生活水をわざわざ汲みに遠くの湖まで行っていたのだが、『果て』に現れた台地に村よりも高所に存在する湖を発見した。

 そこから村まで水を引く事業を行おうとしている。

 実施するのはメリウスとカインの二人だ。


「しかし……魔石というのは凄いな……」


 湖から幅1mほどの水路がどんどん村に向かって伸びていく。

 土の魔石を利用して、メリウスが土を掘り起こし、カインがその土を圧縮凝固して水路を作り出していく。

 膨大な魔力を消費するので小型の魔石でやると効率が悪いが、ホブゴブリンから少し大きめな魔石を得られたので効率よく作業が行えている。

 膨大な魔力を持つ二人ならばこその作業と言える。


「蓋ははずせるようにしてあります。問題があれば開けて調べてもらえますか?」


「ああ、しかし、二人はでたらめだな……」


 自分でもやってみてわかるが、土をどかすだけでも魔力を失って倒れそうになったホルスだった。

 ノタ村の人々はあまり魔力適性が高くないようであまり魔石を利用しての生活には向いていなかった。

 その代わり強靭な肉体を持っており、女性であっても軽々と斧で丸太を粉砕する。

 

「よーし、湖に戻って堰を恥ずすぞー」


 村の中央を通して溜池とつなぐことで人工的な湖を形成する。

 水源の湖と村の高低差はさほど無いので溢れ出したりはしないはずだ……たぶん。

 メリウスとカインは湖まで一気に走っていく。

 魔力による身体能力の強化を行うと風のように走れる。

 戦闘中はよっぽど気を付けて使わないと急な事故、例えば加速した場所に偶然敵の攻撃があった場合などはカウンターになってしまう、事故防止のためにあまり利用していない。

 プリテは存分に使って弓を放っている。

 でたらめな威力の秘密だ。


「来たぞー!! 水だー!!」


 村が歓声に包まれる。

 人造湖にどんどん水が溜まっていくと子どもたちが次々と飛び込んでいく。

 計算通りに人造湖に8割ぐらい水が貯まると激しい水の流れが収まってくる。

 子どもたちは思いっきり使える水で嬉しそうに遊んでいる。

 

「あっちの湖も水位も変わらず問題無さそうだ」


 水源の湖の様子を見守っていたメリウスとカインが村へ戻ってくる。


 村人が作っている家の建設も上々だった。

 温かい家にいつでも自由に使える水。村の生活は一変する。

 村人たちはすぐに狩猟を覚え、動物相手には引けを取らない戦い方を手に入れる。

 狩猟によって手に入れる様々な道具は食事も生活も豊かにしてくれる。


 男たちは同時に戦い方も学んでいる。戦士として村を守っていかないといけない。

 強靭な肉体を持つ村人たちは重量級武器を軽々と扱うことができ、非常に強力な戦士として成長していく。村から少し離れた場所で鉱床を見つけ同じように鉄製の武器を手に入れている。

 さらに石炭も見つけることができた、魔石の扱いが苦手な村人たちは自分たちにあった道具をいろいろと考えて作っていく。


「森へ行ってきまーす!」


「気を付けてな!」


 森への採取も村人たちでチームを組んで行けるようになった。

 食料を獲るエリアが急速に広がったことで、安定した食料供給も可能になってくる。

 すでにメリウスの村でも行っている農業も開始している、数年もすればその実りを得られる。

 にょきにょきと成長していくノタ村でもう一つ変化が起きる。


「子供がまた生まれるのか?」


「いいことなんですけど、俺達こんなに多産じゃなかったし、そんなに早く産まれなかったんですが、いいもの食ってるとこんなにも違うんですね、子どもたちもあっという間に大きくなりますし!」


 まるでメリウス達の村の住人のように多産で子の成長も早くなっていた。

 食生活の変化で変わるようなことではないが、メリウスはとんとそこら辺の知識が抜けているので、自分の村と同じなんだなーとのんきに構えている。


 半年もすると村人の人数も増え、食料供給も安定し、周囲の利用できる地形も増えていくのだった。

 メリウス達は数度自分たちの村へ戻って様子を見てきたが、相変わらず凄まじい人口爆発と発展を遂げており、さらに炉による鉄の抽出など技術革新も目まぐるしかった。

 元村長さんに基本的な決定はおまかせして、今ではノタ村発展に尽力できるようになっている。


 赤目も数度襲い掛かってきたが、村人と3人に蹴散らされる。

 一度3人が不在の時に10体ほどの集団が村を襲ってきたが、村人たちだけで苦戦することなく撃退に成功した。


「すごいな、個別の戦闘能力ならうちの村を超えているな!」


「皆張り切ってますよ、戦いになるとこう血が沸くというか、今まであいつらに苦労させられてきた分をのし付けて返してやってる気分です!」


「特にホルス様はお強い、私も何度か不覚を取っています」


「カインが本気でやってきたら勝てないよ。少しづつ動けなくされて、おしまいさ」


「なんか男たちは物騒な話してるー」


「プリテお帰り、仕込みは終わったの?」


「うん、みんな上手。大物も簡単に捌いてくれる」


「お、お邪魔します……」


 村人の一人、女性でありながら男に引けを取らない戦士としての能力を持っている。

 さらにこの村の人間としては珍しく魔力適正もあってプリテと仲良くしている。


 名を、シャロルと言う。









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