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7話~森の番人

「グルルルル…貴様、人間だな!我の問いに答えよ!何しにここへきた!」


木を巧みにすり抜け俺の前に現れたのは何とも大きなあちこちにキズがある背中には翼が生え尻尾には蛇がいる黒い狼だった。

ハアハアと息づかいが激しくこちらを凝視したままで俺達の周りを、円を描くように歩きながら回っている。


(ク…クロエ!何なんだよ!いきなり現れてコイツ!いったい、何言ってんだよ…)


俺はこの狼の鋭く真っ赤な眼を見ていると頭の中で死が過り、今にも発狂しそうになっていた!


「ヒカル様!落ちついて下さい!

この狼はこの森の番人で真実の心を司る30の軍団を持つ地獄の侯爵、(ソロモン七十二柱の悪魔)の一人でマルコシアスと言います!


グリフォンの翼(大鷲の翼)と蛇になった尾を持つ狼で、マルコシアスはそもそも騙されて天界から堕ち、堕天使となった経緯があり、そのためか嘘を極端に嫌うんです。自らは嘘をつくことはありませんが、話術が巧みで、話をそらしたりすり替えたり、あるいは話の一面だけを答えるなどしながらこちらを自分のペースに持っていき、誘導するのが得意なんです。

後、筋の通らないことや曲がったことが嫌いな一面もあり、もしヒカル様がマルコシアスの質問の回答で間違えた嘘の事を言うと、たちどころに八つ裂きにされるか口からのブレス(炎)で焼き殺されます。

正直に答えれば危害はありませんのでヒカル様が嘘をつかず真剣に答えれば分かってもらえると思います。

だから、嘘だけは絶対についちゃ駄目ですよ!

私が出来るのはあくまでサポートなのでここまでです。後はヒカル様の気持ち1つです」


(回答?質問?そんなこと言われても、俺、全然何にも浮かんでこないし何て答えて良いか分かんねえよ!

てか、いきなり序盤で魔王クラスかよ!普通、ゲームの序盤つったら)


ドーン…


そんな話をクロエに愚痴っていたらマルコシアスは脚を地に叩きつけその衝撃で回りの木々が弾け飛んだ。


「さあ答えよ!人間!」


そ…それは…


「どうした!答えれぬのか?答えれなければ…」


俺は気がつけば無我夢中で喋っていた。

その時の事は自分が何を言ったのかよく覚えていない。

でもはっきりと覚えているのは自分の素直な偽りの無い気持ちを言えたと言うことだった。


(俺だってこんな所に好きで来たんじゃねえよ!

いきなり家にいたら小包が届いてVRKって機械を付けたらこんな異世界に連れてこられてさー!それで更生「開拓」だの何だのスゲー言われて俺だっていまだに訳分かんねえよ…

でもこんなどうしようもない俺でも見捨てずに俺の話を親身になって聞いてくれて更生させてくれようとする女の子がいるんだよ!

マルコシアスさんには分かんないかも知れないけど俺、真剣に自分の事を振り返って見てこんな自分を変えたいって思ったんだよ!

こんな気持ちになったのは本当に初めてでこんな自分を終わらせる神様がくれた最後のやり直せるチャンスと思ったんだ!

だから俺はこんな所で終われないし次のステップへ行きたいんだ。だから、ここを通してくれよ)


ヒカルがマルコシアスを見つめ口を閉じると、マルコシアスはヒカルの瞳の中をじっと見ていた。


「貴様の眼に嘘、偽りが無い事は分かった!神様か…面白いことを言う奴だな」


マルコシアスは空を見上げ思い返していた。

かつて、自身も神に支えた身、天使と呼ばれた時を懐かしく思いそして今でも天界に未練がある事を…


「おい!貴様、名前はヒカルと言ったな」


はい…


「ヒカルよ!今からどこへ向かっているのだ」


(今から、この森を抜けてドワーフの岩場って所に行くんだけど)


「そうか!ドワーフの岩場か!ドワーフの岩場にはワシの知り合いのコルトと言うドワーフの鍛冶職人がいる!ワシの知り合いと言えば良くしてくれるだろう。

それと、さっきから気になっていたんだがヒカル、お前、武器や防具はどうした?見た感じ何も持っておらぬようだが」


(あー…まあ、色々、マルコシアスさんには分からないこっちの諸事情ってやつで…)


「そうなのか?そうゆう事なら」


マルコシアスはそう言うと、自分の羽根の中から尻尾の蛇で1つ羽根を取りヒカルに渡した。


(何?この羽根?)


「この羽根をコルトに渡せば新しく装備品を作ってもらえるはずだ」


(えッ…そうなの?いいの?じゃあ遠慮なく貰っていくよ。ありがとう!)


「ドワーフの岩場まではこの森を抜けてもまだ先はある!


ヒカルよ!


これからどんな困難があっても自分の気持ちに自信を持ち、先を進め!

お前の嘘、偽りない気持ちしかとこのマルコシアス受け取ったぞ」


そうして、ヒカルはマルコシアスに森の出口まで見送られ別れを告げ荒野を歩き出した。


(フウーーー!


ほんっとうに死ぬかと思ったぜ!


だっていきなり魔王クラスの悪魔だろ?序盤で出くわす敵じゃ無いだろ!絶対にあれは!普通の奴だったらあそこでゲームオーバーだな。

そう考えると、俺は運が良い。


あー!そうかセシリアの指輪のお陰かもな。俺の運気を倍にしたって言ってたもんな!

ヒカルはふと指輪を見つめセシリアを思い出していた。


でもさー!次に会うコルトって、マルコシアスの知り合いだろ?マルコシアスがあれだからヤバい感じしかしないんだけど…ドワーフなのに大型巨人とか…)


「まあ、無事に森を抜けれたんだからいいじゃないですか。フフフ…


それにヒカル様、カッコ良かったですよ!


あの時、神様って言ってましたけどそれって私の事ですか?フフ…」


(うッ!

そんな事あの時、必死で咄嗟に言った言葉だから記憶にない)


「照れてるんですか?

照れてるヒカル様も可愛いですね♪」


(ウルサイ!

それよりさっきクロエの言いかけてた事は何だよ!途中で、終わっちゃたから聞いて無いんだけど…)


「内緒です!フフ……」








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