準備と結論が結婚
「好きな人がいるんだ」
お仕えしているお嬢様からその言葉をお聞きした時、なんとなく好きな人の予想がついていたのですが、
「お相手はどなたですか?」
一応、聞いてみました。
「隣の家の高際樹お兄様だ」
予想通りでした。
お嬢様をかなり幼い頃からお世話をして遊んでくれてましたから。
「私は将来樹お兄様と結婚する」
中学一年生で結婚するというところまでお慕いしていたみたいです。中一でけっこう重くないですかそれ。
「それは、叶うといいですね……」
私はお嬢様の事を実の娘のように思っていますから全力で応援させていただきます。
年齢的には中一と高一ですからまだまだ問題ないでしょう。年の差婚なんてさらに離れた年齢の方々もいらっしゃいますし。
問題はお嬢様の血筋ですね。
「私は全力で応援させていただきますがご主人様が許さないのではないでしょうか」
お嬢様のご主人様は魔王なのです。何かの例えじゃありません。正真正銘魔界で一つの国を統べている魔王なのです。
「父上の事など知らん……そう言いたい所だが簡単な話だ。お兄様を父上より強くすればいい。所詮魔界は力による実力社会だ。簡単なことだろう」
人間が魔族以上に強くなるのかは疑問ですが確かにそれを実現すれば簡単なことになるでしょう。
お嬢様を魔界の策謀から守る為に人間界に魔力のコントロールができるまで住まわせるほどの親馬鹿ですし、ご主人様より強い人物をお嬢様自らが連れてきたのであれば、他の強くて力のある魔族に嫁にわたす事もしなさそうですし。
「ではお兄様を強くするために明日の朝から特訓を始めたいと思う。私は攻撃魔法剣士タイプなので同じ攻撃魔法剣士タイプか回復がかなり使える補助魔法剣士タイプにさせようと思う。二人で組んだとき同じ職業なら会話の幅が広がるし補助魔法剣士なら二人の職業相性がぴったりだからだ」
それはなかなかの育成目標だと思いました。
どちらも上位職です。
「では明日、小手調べに朝の通学路に魔物を放とうと思う。定番のゴブリンからだ。アリシアは通りに人が来なくなる結界を頼む」
「了解しました」
お嬢様がとてもいきいきとなさっているので別の機会に言うことにしますが、樹様と恋仲になる方法についての議題も必要な事だと思いました。
それとなく樹様の女性関係も調べることにしましょう。
「あ、あと武器もお兄様に渡してくれ。丸腰はきついだろ」
「了解しました」
忙しくなりそうです。