男の娘とハロウィン
お前は先に行け! ゾンビどもは俺が引き受ける!
「でも、先輩!」
いいから行け! 後輩は先輩の言うことを聞くもんだ!
「…………! わ、わかったよ」
……行ったか。そして来たな、ゾンビども!
群れし生きながらも腐れた者どもめ、この俺の必殺超低空ドロップキックを食らいたい奴から前に出てきやがれ!
奴らに向かってモップを構える俺。気分はヒーロー! ひゃっほい!
「マァサちゃんはどこ行ったの! そのドアね!」
「ヘタレ攻めのあんた一人でなんの価値があんのよ!」
「汚ないモップより汚ない目でこっち見ないでよ、変態!」
「失せろ短小」
「モブ姦とか嫌いなのよねー」
「とりあえずキモい」
「存在がセクハラなんだけど、なんで生きてんの?」
「失せろ短小」
……おうふ……。
完全に心が折れて倒れた俺の上をゾンビ軍団が踏み越える。
ヘタレゼメってなんだよ。モブカンってなんだよ。
……短小って……二回も言うなよ……。
「トリック、オア、トリイィイト」
肌寒くもなり始めたこの季節、ご多分に漏れず厚着した俺の目の前にそいつは際どい衣装で現れた。
赤く、肩どころか胸元まで露出させた水着のようなボディコンに、網のような黒いスカート、薄い黒のタイツ。革の首輪と頭にこさえた角。
それらが引き締まった体にぴったりと張りついて、年若く健康な男児を強調する艶やかとも言うべき肉体美を放っている。
こんな説明しといてなんだが、俺はノーマルだ! 問題があるのはこいつの格好だ!
安藤昌也。男の癖にセーラー服を着たりツインテールのヅラを被った変な奴。マァサなんて周りに呼ばせている。
今回は頭の角の邪魔になるのかツインテールはお蔵入りらしい。……別に残念とかは思ってないぜ? しかし元もボブカットというのか、男臭い髪型じゃないせいで女装を邪魔するものでもない。
お前さ、そのカッコで恥ずかしくないのかよ?
「なんだよ、似合ってるだろ? ほら、羽もあるぜ」
うおっ。
くるっと後ろを見せるとぱっくり開いた背中に小さな蝙蝠の羽がついている。やたらと白いし顔も可愛いしで、はっきり言って女にしか見えないのだ。
それがこんな格好をしているんだ、ドキッとするのは男子として当然だ!
しかしこいつが来ている場所に問題がある。それはここが、俺こと柾谷博一のバイト先だということ。
「なぁなぁ、まさやん先輩、菓子ねえのー? 無いんならさぁ、イタズラしちゃうぞ?」
ホウキを持って店の出入り口を掃除する俺の肩に両手を乗せる安藤。み、耳に息を吹き込むな!
どっちにしろバイト中でお前の趣味に付き合ってなどいられんのだ! 帰れ帰れ!
「せっかく可愛い後輩が可愛いカッコして会いに来たんだからさ、少しぐらい愛想よくしなよ店員さん?」
おうひょええっ。
股を撫で上げられて情けない声が出る。こ、この野郎……て、なに、客だと?
店の中にずかずか進む安藤は俺の制止も虚しく、入店することとなった。俺のサンクチュアリがーっ。
ここは小さな古本屋。本だけでなくゲームソフトも売られていたりして、マニアックな品も並ぶことから俺もお世話になっている。
読書スペースや筐体もあるしな!
しかしここの店の主人、夏の終わりに体調を崩してしまい今は娘さんが代理営業中。バイト生を雇うとのことで俺が申し込んだのだ。
人の出入りは少なく、裏路地のようなひんやり湿った落ち着く空間が、今、この女装野郎に崩壊させられようとしているのだ!
「いらっしゃ……い……?」
「こんちはっす」
突然の変態の来訪に、ハロウィンの飾りつけをしていた古屋本子さんも思わず固まる。
店の奥へ消えるのを見送ってから、古屋さんが俺の元へ駆け寄ってきた。
「ちょっとちょっと、柾谷君、誰かと話してたみたいだけど、もしかしてあの子なの?」
えっ、まあ。
めちゃくちゃ否定したかったがこの後にでも絶対に絡まれるので、肯定する。するとどうでしょう、古屋さんは安藤を可愛いと言い始めて写真など撮り始めた。こらこらこら!
本人の許可なく撮影すんなっつの、盗撮だぞ。それにあいつは男なんだよ。
「あんなに可愛いのに女の訳がないじゃない!」
うん、そう。えっ? ごめん今なんて?
いつになく興奮した様子に思わず引いてしまう。どったのこの人。そんな俺の苦労も知らずに、なにか安くプレイできるものはないかと質問する安藤。お前まずゲーム機なに持ってんのよ?
「これ」
これ、ってケータイじゃねえか! 据置機はないのか据置機はよー!
え、ないの? お前なにしにここに来たんだよ。お前にはゲームのいろはを叩き込んでやる!
「強引だな~、なにする気だよ、まさやん先輩」
俺の大好きなゲームを布教すんのさ! ……なにをニマニマしてやがる。
読書スペースに連れ込んで、現行機や過去の偉大なるゲーム機、そして筐体を熱く語る俺。
バイトをサボってるんじゃない、今の客はこいつだけだからね。腹下してトイレにいるようなのは客とは呼ばんし。そう、これは接客なのだ。
安藤、お前も同志になってもらうぜ!
……え、えー、それで、だな……。
「うんうん、それで?」
か、かう、あいや、格闘ゲームっていうのは、初心者には向かないけど、それを練習することによって……。
「それから?」
ああうっ。
……近い、近いよ安藤! てめえさっきは向かい合わせだったのになんで隣に来るんだよ! 手え撫でてくるんじゃねえ!
しかもお前、適当に相槌打ってるだけで全然、話を聞いてないだろ!
「まさやん先輩が対面だと恥ずかしそうにしてるから、隣に座ってあげたんじゃん」
ニマニマしながらなに言ってやがる確信犯! 余計に恥ずかしいわふざけんなボケ!
などと叫んでいるとフラッシュがたかれる。恐る恐るそちらに目を向けると。
「イエス、これはイエスよ!」
「かわゆいわぁ。眼福だわぁ」
「はーい、君! こっちに視線向けて!」
「立って立って~!」
「隣の邪魔」
……なんかギャラリーが居る……っ。
カメラ持った女がさっきから段々と数を増やして今や五名ほどだ。いつにも増して盛況してますね古屋さん、呼んだのあんただろ! おっぱらえよこいつら!
「そ、そんな、せっかくのお客様を追い出すだなんて!」
店の客じゃねえ、安藤の客だろこれ!
……ていうかさぁ。
「これは逸材ねー」
「でも隣のモブがホント要らない」
「絡みはいいんだけど汚物はちょっと」
……し、しどいわお姉さま方……同じ男子校生でこの扱いの差。これが顔面格差社会!
「さっきからピーチクパーチクやかましいなぁ」
おおっと安藤君、不機嫌メーターが急上昇しだしたぞ。お前のメンチ切りは本当に迫力あっから止めて欲しい。
にも関わらず、むしろ興奮し出すお姉さま方。なんなのこの人ら。エムなの?
「そう、美形には美形が、マァサちゃんには私が似合う!」
うげえ、この声は。
艶やかな黒髪ロングの前髪パッツンお嬢様カット、セーラー服姿に仁王立ちするその女。高校になってからようやく離れたはずの俺の幼馴染。
私立扇女学校、通称オジョコウの残念女、加々美カグヤその人だ。
「ふっ。私の美貌に加えた趣味思想を指して残念美少女と言いたいのだろうけど。博一、あんたに褒められたところで毛ほども嬉しくないのよ」
やかましいわボケ女! 毛ほども褒めてねえだろこのアホ!
隣ではまたこいつかと肩を落とす安藤に対し、突然の登場にも関わらずお姉さま方へ安藤の情報を仔細に渡って語り始めるこの女。
や、やべえ、こいつここの主導権を握る気か。そもそもどうしてここが分かったんだよ。
「簡単よ、街角に設置された防犯カメラに映ったマァサちゃんを追いかけただけよ」
さらりと犯罪を胸張って言うんじゃねえよこの野郎。いやこのアマ。
またこの女の趣味というのも酷いもので、お気に入りの男子の女装した姿を夢想するというものだ。そこに本物の女装男子が現れたものだから脳みそぷっつんしておられる。非常にウザい。
「と、言うわけで、そこを代わって貰うわよ!」
言うなりセーラー服に手をかける。おいおいおい。
ばっ、と見事な脱ぎっぷりでそこに現れたのは、白いワイシャツによくわからん装飾がじゃらじゃらついたカグヤだった。ハンドバッグからズボンを取り出し、コートを取り出し、髪をジェルで整え着付けにわざわざウチの店長代理が手伝って三分後。
そこにはドラキュラ伯爵を模したであろうコスプレの完了した女の姿があった。そりゃな、脱いだら変装完了してましたって展開はないだろうが、おせえよ。いや早いのかも知らんがわざわざここまで来て喧嘩腰なら最初から着てこいや安藤みたいによ。
「小悪魔天使な女装には悪魔的吸血鬼の男装! この擬似性転換によってノーマル・ラブとなるけども、中身さえ知っていれば後は隣の性なんてどうでもよくなるのよ。
問題は! 顔だけなの!」
知るかボケーッ! どこまで行こうがアブノーマルじゃああああっ!
周りの女どももなーに頷いてやがるんだタコ助! カグヤの奴は確かにあれで顔がいい。身長も高くてスタイルも良いせいか、コスプレでは男役をよく演じているのだ。なぜ知っているかって? 聞くな。
今回も前髪はジェルで上げて後ろ髪もゆったり先をまとめていたりと、確かに中世ダンディな風格がある。顔はやはり若いが、そこは問題じゃない。許せる許せないはお前らが決めることじゃねえんだよ。ほら安藤、変なことに巻き込まれる前に逃げろ。
「なんで女ども相手に男の俺が逃げなきゃならねえんだよ」
お前自分の格好わかってらっしゃる? その格好で男らしい台詞を吐かれるとなんだろう、胸が痛くなる。
と、ここで店長代理古屋さん、ようやく事態が喜ばしい方向に進んでいないと気づいたのか重い腰を上げたようだ。
「あ、あのう、あの子はウチの店員でもバイト生でもないただのお客様なので、撮影も程々に」
いやそこは全面否定しろよ古屋さん。
手揉み下手の古屋さんに対し、カグヤはハンドバッグから取り出した札束を揉み手の上に乗せた。
固まる店長代理。固まるお姉さま方。そう、こいつは顔だけじゃない、成績も優秀で実家もデカいと我らが男子校のほぼ完璧超人と同じハイレベルな人間なのだ。
ぎしぎしと音をたてそうなほど不自然な動きでこちらを見る古屋さん。俺に助けを求めるな、断れ断れ!
「……あ、あの……」
「なに、足らなかったかしら?」
「ひいっ、半分、いや三分の一で大丈夫ですぅ!」
店長代理が土下座ーっ! 止めろカグヤ! 大金を見たことない人を怯えさせやがってこの人でなし!
勝ち誇った笑みで札束の三分の二を引くあたりさすがにきっちりしてやがる。それはさておき、防御壁がなくなってしまった。ゆらりと近づく女の影にさきほどから不機嫌メーター上昇中の安藤少年が立ち上がる。
おま、喧嘩は止めろって言っただろ!
「喧嘩じゃねえよ、へこませるだけだ」
どこを? 顔じゃないよね? 態度の話だよね? ホント女相手でも容赦ないよなお前。
どっちにしろイライラをど直球で顔に描く安藤を行かせるわけにはいかぬと止めている所、お姉さま方はなにかおかしなことに気づいたらしい。
「……あの子、あんな服装なのに股が……」
「あんなに自然に隠せるのかしら」
「よほど小さいんじゃない?」
「いや私の情報だと結構大きい方……」
お前ら健全な青少年を前に股がどうの言うな。や、この格好の安藤を健全と言うべきかは迷いどころではあるね。
しかしこの話題は安藤少年の逆鱗に触れたようで、額に青筋を浮かべてそんなに気になるなら見せたらぁ、と衣服に手をかけた。
おいこらちょっとマジで待て!
「上も下も全部どうなってるか見せてやるよ! 別に小さかねえやい!」
お前のその男らしさ止めてくれよう!
いきなり脱衣が始まりそうな雰囲気に大興奮のお姉さま方とカグヤ。お前らもう帰れ!
「み、見たい」
「女装っ子の上も下も……」
「後学の為にも隠しのテクニックを……!」
のそり、と歩み出したその様はホラーもの。ハロウィンの日もあってかゾンビを思い浮かべた俺は慌てて安藤の前に立つ。
! そうだ、男子トイレ! あそこに逃げ込め!
「博一、邪魔する気ね!?」
当たり前じゃボケーッ!
迫るカグヤの前に椅子ふたつで即席バリケードを設置するも、あっさり破壊される。構うもんかー、この一瞬があれば問題ナッシング!
安藤を男子トイレに誘導しつつ、トイレ脇のモップを構える。くっくっく、予想通りに先陣を切った潔癖のカグヤではこのモップは越えられまい! この狭い通路では人一人通るのがやっと、そのままお前が壁となってお姉さま方を止めるのだ。
ふはははははは!
「まさやん先輩、なんかトイレくせーしそいつらぶん殴って表から出ようぜ」
そのバイオレンスな発想やめてよ、怖い!
まさやん先輩が囮となっている間にトイレの中に逃げ込んだ俺だけど。やっぱくせーなここ。
さて、どうするか。
『マァサちゃん、ここを開けなさい!』
『お姉さんたちがマァサちゃんの体、おかしなとこないか見てあげるから!』
『怖くないよー、みんながついてるからねっ』
『でもお菓子持ってないなら、イタズラしちゃったりして~!』
突破されんの早すぎるよ先輩。
ヘタレな先輩だからそこまで期待してなかったけど。バンバンとドアが叩かれているが、男子トイレでもお構いなしのようだ。にしても、ムカつく状況だ。あんまり人がいないっていうから遊びに来たのに、あのカグヤとかいうまさやん先輩の幼馴染まで出てくるしで。
ん? トイレを流す音。
「話は全部、聞かせてもらったぜマァサちゃん」
ドアを開いて出てきたのは、見慣れた顔。いつもやって来るお邪魔虫、先輩の前の席の奴だ。悪臭の元はお前か。本当にどこにでもいるよなー、コイツ。
この人ともそれなりに付き合いあるけど、名前覚えてないなぁ。別にいっか。ゴキブリでいいよ、うん。
「ふっ、とんだ荒くれレイディに付きまとわれているようだな……だが覚えておいてくれ、俺のようにナマモノに萌えを見出そうと決して相手に迷惑をかけない、そんな腐男子や腐女子だって当然のように居ることを。
ああいうのはノーカウントだ」
親指を立てる。なに気取ってんだコイツ。フってなんだろう?
とりあえずどうでも良い奴はさておき、出口を探す。逃げるとしたらあの小さな小窓だけど、小柄な俺でも通るか微妙だなぁ。試してみよう。
「うっひょーぉ! お背中ぱっくりぃ!」
やかましいから寝てろ!
右のジャブを顎に入れて、そのまま奴の柔らかな腹に左のボディストレートを叩き込む。
胃袋の中のものを吐き出すそいつに、ちょっぴり八つ当たりしてスッキリした俺は脱出を試みた。
う、届かない……流し台を足場にもう一度挑戦する。
肩はなんとか通るけど、っていてててててて!? 羽が引っかかった!
アネキから貰った特別な接着剤でつけているやつだけど、ここで邪魔になるなんて! 接着剤落としまでは必要ないけど、中々外れない。……マズイ……!
「おうらああああっ!」
ドスの利いた声と同時に木材の割れる音。なんだ、ドアが破壊されたのか!
「なによコイツ……ああっ!」
「び、美少年のプリップリのケツが!」
「ちょっと、通れないでしょ! 退きなさいよ!」
「あんたが退きなさい!」
小窓に挟まった状況で中は確認できないけど、入り口でつっかえてるらしい。な、なんとか外に出ないと、この状況じゃあ女どもにも抵抗できないぞ!
脱出を急ぐべく懸命にもがいていると、外に回ったまさやん先輩が駆けつけてくれた。
「引っかかったのか? 引っ張るぞ!」
脇の下に手を差し込んで引き上げるまさやん先輩。
いてててて、痛い痛い! もう少し優しくしてくれよ!
「無理だろ! なにが引っかかってんだこれ!?」
うううっ。あ、剥がれた。
っとマズイマズイ、服が!
「お、外れた! 上げるぞー!」
ああ、もういいや上げてくれ。
どっせーい!
引き上げた俺の目に映ったのは、べろりとボディコンが剥がれておへその下まで露になった安藤の姿だった。
背中からわかる通り生白い肌、しっかりと細いながら鍛え上げられた筋肉、腹の腹筋。胸の、周りの肌とは違う色の部分。
うをををををををを。
混乱する俺はそのまま安藤を支えられずに後ろに倒れこんだ。覆い被さるようにする安藤は、やっぱりこうなったとぼやいている。
小窓に引っ掛かっている間に暴れたのか、ひとつ下の男から感じる熱気は色気さえ感じた。
「ほらほら、まさやん先輩。俺が魅力的だからって見惚れるのは後にしようぜ」
俺の視線が気恥ずかしかったのか、顔を赤らめる安藤。
なんかもうほんとごめんなさい君の言う通りねさっさと逃げようか。
……おい安藤、お前はとりあえず服を直せ。
「なんでー、いいじゃん別に」
いいから直してくださいお願いします。
土下座も辞さない勢いで頼み込むと、安藤はニンマリと笑った。くそう。
そんなこんなしているとやって来た一台の車。古屋さんだ。
車に乗り込む頃には安藤も服を正していて一安心である。二人して後部座席で息を吐く。
というか古屋さん、店は空けたままでいいんすか?
「大丈夫よ。ごめんね、二人とも。あの人たちもそう悪い人じゃないの。ただ、マァサちゃんがとっても魅力的だったから」
いや、本人の前で股がどーの短小がどーのしてトイレのドアまで破壊してる奴らは間違いなく悪い人だと思いますよ。
カグヤの着替えを手伝ったりして、この人は本当に良い人だなぁ。
……なんか安藤の視線が痛い。
「…………、いや、忘れもんがあったなあって」
なんだ、店にかな。取りに戻るのもまずいだろうし、明日俺が持ってくるからなにを忘れたか言ってみ。
すると安藤、俺の肩に両手を乗せてきた。
なななな、なになに!?
「おーかしくーれなーきゃ、イータズ~ラすーるぞ♪」
えっ、えっ、ここで!?
古屋さん、なにか、なにかお菓子ありませんか!
「ええっ、ないけど……ああっ!」
あーだだだだだだだっ!
耳、耳をかじるなーっ!
「き、君たちってそういう仲だったの!? あああ、カメラ、カメラがない!」
違うから、違う……おいおいおい前見て運転しろー!
「あむう」
いでーっ!
腐女子を女のオタクの意味だと思っていた頃が懐かしい。