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水曜日2
水曜日、思っていたより長くなりそうです。
正門の前に立ち、静かな校舎を見る。
「・・・早すぎたかな」
今日は市教研で学校が早く終わったので、
傘を忘れた姉に届けに来たのだ。
「おねーちゃんて、そういうところあるよね。」
朝確認して行ったはずなんだけど、と苦笑混じりに呟くと
終わりのチャイムが鳴り響いた。
しばらくして、宗太は後悔しはじめていた。
「えーかわいいー!」
「どうしたのー?」
「ねえめーくりっくり!」
「小さいーやば」
「この子連れて帰りたいんだけど」
周りにはけばけばしい化粧をした女子高生が群がり、
姉を探すどころでは無くなってしまった。
「どうしよう・・・」
「ちょっと、邪魔なんだけど。」
透き通った声が響いて、その場がシィンと静まり返る。
女子高生の塊を無表情に、かつ冷え冷えと眺める姿は
日本人形のように美しかった。
「あ、おねーちゃん。」
宗太の嬉しそうな声が沈黙を破ると、
「そーた!?」
「「「「おねーちゃん!?」」」」
驚いた声がいくつも重なりあって降り注いだ。
姉・梓の隣には、目を見開くふりょうさんの姿があった。