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3話、現在の住所→五階層目


次の日、六階層の広さに挫け「もう良いだろう、次の階層へ進みなさい」と自分の心が告げたので草を掻き分け階段へ。次の階層は此処とは違い、光が漏れて居ないので暗そうだ。



「‥‥迷路?」



長々とした階段を上りきり、最初の第一声は迷路。薄暗さは下に比べればと言う程で、いつもは人が2〜3人は並べる通路が極端に細い通路となって居る。


松明も等間隔に付いて居るのでマッピングは出来そうだ、と方眼紙を挟んだバインダーと鉛筆を指輪【収納】から取り出す。マス2つ分を■にすると早速T字路で、どうしたものかと俺の頭を悩ます事に。



「昔聞いた、左手の法則で試してみるかね‥」



立体的だったり、中央に階段があったら左手の法則は使えないみたいだけど、マッピングして行くから俺には関係無いと思う。


俺の足元で遊んで居たアクアと青月に声を掛け、取り敢えず左から進む。余り広くない通路なので敵とは会いたく無いな、アクアや青月は小さいから動けるだろうが俺は流石に無理だ。


‥‥ハッ、またフラグを建築してる!と俺が気付いたのは半分程マップを埋めた後だった。魔物、此処には居ないみたいだな。


方眼紙のマス目が大体埋まり出した頃、前方に部屋の様な広さを見付ける。中央には宝箱が置いてあり、辺りを見渡し何も無い事を確認して近付き開く。



「罠掛かってたら意味無いんだけど‥‥、何だこりゃ?」



【刺突剣フランベルクの柄】

《全長75〜80cm、重量0.8〜0.9kg。波刃型レイピアの柄》



「‥‥柄」



何処に刃の部分を落として来たんでしょうか?俺も木の棒以外の武器が欲しい武器が欲しいって再三言って居たけど、これは流石に無いんじゃね?護拳の部分が残ってるから、殴れば良いのか?


俺の姿は正しくorzの体勢。落ち込んだ俺をアクアと青月は必死に慰めてくれ、直ぐに気分を浮上させる。こんな所でモタモタしてたら家に帰れ無いし、2人の教育に悪い気がするし。


何かの役に立つかも知れないので剣の柄は指輪に【収納】し、先を急ぐ。程無くして俺達は次の階層へ行く階段を見付けたが、先に行くか少しばかり悩む。



「結構マッピングに時間掛かったし、休むか?でも体力的にはまだ元気何だよなぁ‥」



不意にアクアへ視線を向けると触手を伸ばしグッジョブポーズ。良し、行くか!


八階層目は石造りの床が掘り下げており、足首が浸かる程度の水で満たされて居た。侵入者に対しての嫌がらせなら幼稚だな、これは水を使った罠があると見て慎重に行動しよう。



「靴が濡れるのは勘弁して欲しいな、【経験pt⇔交換】で長靴にするか‥」



俺の目の前をアクアがプカプカと浮かび、青月は泳いで居る。アクアはスライムだから浮かんじゃうし、青月は小型の魚だからか。うーん、機動力が失われ無いとか俺にとって羨ましい限り。


通常サイズの長靴(1pt)を【経験pt⇔交換】で頼み、そそくさと普通のスニーカーから履き替える。履き終え階段の床から八階層の床に足を降ろすと、全く持って機能的には問題無い様。



「さて待たせたね、行こうか」



新しくバインダーに方眼紙を挟み、鉛筆を持ってマッピングの準備万端。待たせてしまった2人に声を掛け、作業と化して来たマッピングを始める。いや、某ゲームとか好きだから苦じゃ無い。


ガッポガッポガッポガッポ、水の抵抗で長靴が出す特有の音が静かな迷宮ダンジョン内に響く。恥ずかしいな、幼稚園児とかなら喜ぶんだろうけど俺は違う。



「ん?魔物か?」



先行して居たアクアの動きがピタリと止まり、何やら触手を伸ばして居る。俺はマッピング用品を指輪に【収納】し、松明に目印のリボンを巻くと青月と共にアクアへ近付く。


リボン巻かないと何処までマッピングしたか分からなくなり、やり直したりするしか無いからな。戦闘したら誰でも覚えてられないと俺は思う。



「有難う、アクア。これは‥‥、花か。確か蓮だった様な?」



アクアに近寄るとニュッ、と俺に触手を伸ばす。触手の先には俺の拳程度の白い花が乗っており、アクアに礼を言って受け取る。何でこんな場所に咲いて居るのか分から無いので、指輪機能に頼る事にしよう。



【幽暗のロートス】

《薄暗い場所でしか咲く事が出来無い特殊な蓮の花。古くから煎じると体調不良を改善する飲み薬になると言われて居る。人型になれる水棲魔物の好物》



成る程。具合が悪くなったら俺に使っても良いし、家族になった【眷族】にあげても良いな。だけど煎じるとか、キッチン出して煮とけば良いのか?もしくはハーブティーみたいな感覚とか?


5つ咲いて居たので、3つ慎重に株元から採取し指輪に【収納】する。ここで繁殖してるのかも知れないしな。貰っちゃったけど。


リボン(3色10本入り1tp)の場所まで戻り、途中だったマッピングを再開させる。お、行き止まりか。何マスか数えながら来た道を戻ろうと後ろを向けば、ドスッと音と共に背中に衝撃が加わる。



「ぐっ、重‥っ!」



いきなりの事だし俺は耐えられる筈も無く、水へ突っ込む。大した水嵩は無いので息が出来ずに俺が溺れる事は無い。視界の端にバインダーと鉛筆がプカプカ浮かんでるのが見え、舌打ちをしたい気分になる。


一瞬呆けて居たアクアと青月も直ぐ様持ち直し、触手と尾剣で引き剥がして貰う。水に濡れ悲惨な事になって居る方眼紙付きバインダーと鉛筆を拾い上げ指輪に【収納】、ベルトに挟んであった木の棒を掴む。



「‥‥蛙か、ステータス標示」



【簡易ステータス】

【種族】(ウォーターフロッグ)

【レベル】Lv8

【取得経験pt】9pt

【装備】なし

【スキル】刺突舌、水鉄砲、へばりつく



方眼紙をびしょ濡れにした罪は重い、ついでに俺も。へばりつくのスキルがあるから天井に居たのか、改めて索敵に視線を向けるもこいつだけの様だ。


青月と相性が悪そうだな、ってかアクアも青月も殺る気満々で敵の前へ出てるんだが‥。



「相手の舌に気を付けろよ!アクアは触手、青月は尾剣、物理攻撃で攻めろ」



【お知らせnew】

《条件を満たした為、スキル的確指示を習得しました》



ギュッ、と木の棒を握り敵の魔物を見据えながら指示を飛ばす。すると、不意に機械音声が頭の中に響いて聞こえ気が抜ける。最近乱戦でも無い限り2人が殺る気満々だから俺の出番が無い、まぁ仕方無いさ。


ウォーターフロッグは少しばかりアクアと青月より素早さが高い様で、満身創痍な感じだが2人の攻撃を掻い潜り突っ立って居た俺へ飛び掛かって来る。



「‥‥うーん、及第点はあげられないなぁ」



木の棒を握り直し、俺は大きく振りかぶる。丁度良い高さだったからフルスイングしてみました。べちっと音を立て壁にぶつかると、ウォーターフロッグは霧散して消える。


俺に飛び掛かるより天井を這って逃げた方が生存確率高まったのにな、まぁ台無しにされたし逃がさん!


未だに頭からポタポタと水が垂れてくる。鬱陶しく思いながら髪を掻き上げ、まだまだ元気なアクアと青月を回収。今日の迷宮ダンジョン攻略の営業は終了しました。



【スキル発動】

《スキル帰還が発動されました。ホームに帰還します》


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