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2話、俺の眷族が優秀過ぎる件


「休養したし、アクアのLv上がったし、次の階層に行こうと思います。アクア‥‥、アクア?!」



実はアクアのLv上げから2日経ったある昼下がり、足湯感覚でアクアが浮かぶ池に腰掛けながら足を浸す。のんびりした気分で不意にアクアを見るとブルブルブルブル。え?ちょ、バイブレーション機能は付けて無いよ俺!


慌ててアクアを池から引き上げ、どうしようかと思案して居るとアクアの身体に割れ目が出来、一段と大きく震えたかと思った瞬間ソレは吐き出される。



「え?ゲ○?‥‥って、いやいやいや、もしや卵?アクア女の子だったの!いや、無性だろ」



テンションが迷子なのは許して欲しい。池にはアクアが吐き出した5cm程の透明な球体が多数プカプカと浮いて居て、俺とアクアの間には微妙に気不味い雰囲気が流れて居る様な気がする。気のせいだけど。


アクアを池に戻すと、何事も無かったかの様にスィーッと泳ぎ出す。近くにあった球体を手に取りつつ、駄目元で一応指輪に問い掛けてみた。



【スライム核(無色)】

《無傷な核を手に入れる事が出来るのは稀、レアアイテム。味に癖が無く仄かな甘味があり、自然系魔物の大好物》



え、食べんの?マジで?と俺は手に持ったスライム核を池にポチャリと落としてしまった。いや、ほら、デザート感覚?みたいな?


良く分から無い言い訳を居もし無い相手に言いつつ、指輪のタッチパネルを開けば【収納】のアイコンを押す。すると直ぐ様、俺の半径2mにあるスライム核は全て収納されるって寸法だ。超便利。



「全部で18個か。こんなに手に入ったのはアクアの幸福スキルのお陰だな」



しみじみ呟きながら近くに置いて居たタオル(1pt)を手に取り、水に浸かった手と足を拭って行く。用意して居る気配を悟ったのか、アクアが池から上がり、軽く身を震わせるとすっかり水気は取れた様だ。


まぁ、戦闘準備って言っても俺は動き易い服と木の棒さえあれば良いし。スライムはアクアが意気揚々と触手を振り回して倒してくれるんだけどな。



「さて行くか」



木製の扉に手を掛け開き、アクアが出たのを確認してから扉を閉める。何処に階段が出現したのかは教えて貰えない様なので、自力で探すしか無いのか‥。


因みにマッピング機能付き地図は一階層事に1000pt、と言うブルジョア品だ。そんなに高いならアクアの為に使うし。



「お、あった」



うろうろうろうろ、階段を探す事2時間弱。道に立ち塞がるスライムをアクアが嬉々として倒しながら、漸く俺達は階段を見付ける事に成功した。


石造りの階段は結構な長さがあり、上を見上げても暗くて先が良く見えない。だが松明が左右の壁に付いて居て俺が足を階段の一段目に乗せると、それに連動したかの様に勢い良く松明が着いて行く。



「うーん、ファンタジー」



今更な事を呟きつつ、気合いを入れて階段を登る。軽く肩で息をする頃に登り切ったんだが、次の階層は下の階層とは違う様だ。


苔むした石造りは綺麗さっぱり無くなっており、色も薄鼠から赤煉瓦に近い物になって居る。松明があるから比較的明るく、正にダンジョン!って雰囲気を醸し出していると言っても良い。



【お知らせnew】

《「ホーム」の階層による特定条件を満たしました、【経験pt⇔交換】にて経験ptを消費する事により「ホーム」を他の場所へ移す事が出来る様になります》



ん?不意に聞こえた指輪の声に、良く分からず首を捻る。辺りに魔物も居ないので直ぐ様調べてみると、1000ptを消費して「ホーム」を好きな場所に移動出来る機能みたいだ。


つまり、今は一階層目に「ホーム」がある。まだだけど、十階層から帰還したらまた一階層目から十階層へ行くしか無い。それをどうにかするのが今のお知らせってヤツ。まぁ、考えるのはpt貯まってからだな。



「フゴフゴ?」


「‥‥‥や、やぁ」



多少考え事をして居たせいか、曲がり角で何かと鉢合わせしてしまう。その何かの容姿とは、顔は醜く小柄で肌は緑色。耳は尖っていて髪は無く、布切れを体に巻いたり腰巻だけをして居たりする。


そう、スライムと並んでオーソドックスであろう、初期ダンジョンに良く居る魔物のゴブリンだ。



「プギーッ!」


「ぬぉぉぉ、アクアーッ!」



ゴブリンは俺達の姿にキョトンとして居たが、直ぐ様我に返った様で雄叫びを上げた。いきなりの事に混乱した俺は殺る気満々だったアクアを鷲掴みし、Uターンして走り出す。


回り込まれてしまった、何て事は無くゴブリンは足が遅い様で楽に逃げ切る事が出来た。俺は自分のヘタレっぷりに反省しつつ、ここは何処だ?と辺りを見渡す。



「行き詰まったら帰れ‥‥ん?」



【スキル情報更新】

《条件を満たした為、駿足を習得致しました》


【スキル説明】

駿足=走る事に命を燃やす者、戦闘からの逃走率up



多分、最初の頃とか魔物から逃げまくって居たせいか?この世界のスキル習得方法は良く分からないが、どんどん覚えていけば死の確率が低くなるし。‥‥無茶かも知れないけど、毒無効や即死無効とか優秀スキルを切実に覚えたい。


アクアを床に降ろし、木の棒を固く握り締めながら探索を開始。前の階層より廊下等が広々として居て、明らかに階層の広さ自体が違うのだと俺は推測する。


紙、方眼紙が良いか。まぁ紙と鉛筆、を用意してマッピングしようか悩む。



「用意だけはするか‥。紙、方眼紙が好ましい。後は鉛筆と紙を挟む為のバインダーを」



【経験pt⇔交換、内訳】

方眼紙10枚綴り(5pt)

2B鉛筆(2pt)

バインダー(8pt)

233pt−15pt=218pt



これを指輪に【収納】して一旦終わり。ここから書くと地図が可笑しくなるから、普通は階段から書き始めた方が楽。一定の間隔で松明が設置されて居るので、それを印にしていけばマッピングは簡単だろう。


今度は何時でもゴブリンと鉢合わせしても良い様に1つ深呼吸、神経を隅々へと巡らせながら歩みを進めて行く。


「良しアクア、Bプいや、打ち合わせ通りに行くぞ」



前方の暗がりに小手調べには丁度良さそうなゴブリンが一匹、こちらへ向かって歩いて来るのが分かる。作戦は俺が基本魔物の撹乱をし、アクアが援護しながら止めを刺すって感じだ。


初撃はアクアの触手で足を払う、無理なら薙ぎ払いをして体制を崩す所から始まる。体制を崩して居る間俺はゴブリンへ走り近付き、わざと姿を現して注意を引く。



「アクア!」



丁度、俺とアクアを気にして居たゴブリンが俺だけに注意を向けアクアに背中を向けた瞬間、俺はアクアへと声を張り上げる。


気付いたとしても遅い。振り向く間も無くゴブリンはアクアの触手に貫かれ、血を流す事も無くスライムと同じく霧散して消え去った。その姿に俺は少しだけホッとした様に息を吐く。


そして思い出した様にゴブリンのステータスを表示、ついでに何か落とした様なのでそれも。



【簡易ステータス】

【種族】小鬼(ゴブリン)

【レベル】Lv3

【取得経験pt】4pt

【装備】布切れ

【スキル】雄叫び、ぶん殴り


【魔物の肉(肉食系)】

《肉食系魔物の肉。同系の魔物なら良く食べるが、人間が食べると味が悪くとても不味い》



食べられない肉なのか‥。でも肉を食べる眷族を仲間に出来た時とか便利かも知れない、一応指輪に【収納】しておくか。何となくだけど勿体無いし。



「ん‥?おっ、上の階に上がる階段か。あ、でも悩むなぁ。うーんんん、ん?」



道順等は関係無く気の向くまま適当に歩いて居ると、至極簡単に階段が見付かった。嬉しいけど、スライム階層でも宝箱あったからこの階層でも探したい。アクアの時みたいに眷族アイテムあったら見逃したく無いし。


頭を悩ませて居たらアクアの触手が俺の肩を叩く。最近、喋れないけどアクアと会話出来てる様な気がするし、もしかして知性や意志が芽生え始めて来たのだろうか?


って、そんな考え事をして居る場合じゃ無かった。アクアの触手が指したのは、5匹程度のゴブリンがこちらへ向けて歩いて来ている、と言う事だった。ま、俺達の敵じゃないけどな。



【お知らせnew】

《【眷族】アクアのLvが3に上がりました》



「お、またLv上がったかアクア。丁度良いし、出直すとするか。‥‥んじゃ帰還」



【スキル発動】

《スキル帰還が発動されました。ホームに帰還します》


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