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12話、めぇーめぇーぱにっく


姿を現した、大きな広間を埋め尽くす程の羊魔物達。下の階層から現れ、俺等を避けてゴーレムへ突進して行く。用が済んだ羊魔物達は上に行く階段を上り去って、それを12回繰り返す。


その途中、不意に呟いた言葉に狼へ擬態したアクアから突っ込みが入る。確かに攻撃スキルだから俺が死ぬ可能性ある、って違う?



「良し、4兄弟有難う!大分削ったから倒すのが楽だぞー」



削ったHPは540。半分とまでは行かないけど、随分楽に倒せる筈。怒涛の羊祭りで全部倒しても良いが経験値が4兄弟と俺にしか入らないし、何より俺が強くなる為にはある程度の苦労は必須。


はぁ、俺にもLv制度があれば良いんだけどねぇ。



無い物ねだりしても仕方が無い。全体攻撃を与えたので、全部のゴーレムから敵認識を受けた。やはり、ゆっくりと緩慢な動きで立ち上がるゴーレム。



「ドライには悪いけどシオがこの場を水にして‥、まぁいつも通りだから大した指示は無い。3姉妹は強化、回復を最優先位だな。‥‥じゃあ行くぞ!」



俺はゴーレムに向かいながら魔法を込めて貰った魔石を【収納】から取り出し、剣に当てる。うっすらと刀身が緑色に帯び、風を纏ったかの様に渦を巻き始めた。


大きく振りかぶって降ろされた拳は見てから回避余裕でした状態、だけど念を入れて緊急回避で避ける。皆も軽く避けており、安堵するより先に一太刀。フランベルクの刃の音と、ガッガッガッと何か削って居る音が聞こえるので追加攻撃してるっぽい。


魔法剣は魔石が勿体無いから理論だけで、実践はこれが初めて。残り1匹になったらどれ位の追加ダメージがあるのか、研究してみても良いかもな。



「後4匹、っと」



青月の水鞠鉄砲水、シオの水刃で脆くなったゴーレムの色々な部分へ狼アクアの背中から出た触手が貫く。弱点はやっぱり水か、崩れ倒れるゴーレムを見ながら他のゴーレムからの攻撃を回避。


これだけ家族兼仲間が居て、チームワークも完璧で、きちんと魔物の弱点を突ける。でもやっぱり防御力の高い魔物なので少し手間取ったが、誰も怪我をせずに倒し終わる事が出来た。



「皆お疲れ様。んー‥、アクア、青月、3姉妹、ドライおいでー」



倒し終われば恒例のステータス確認、MPが1/3になって居たら回復する方が良いと思って居る節が‥。MP回復アイテムは大量にあるし、もしもがあってはいけないからね。


因みに魔法剣の研究は3つの魔法石で大体分かった。水弱点のゴーレムに微弱点の風は1.50倍の追加ダメージ。耐性でも弱点でも無い火は1.00倍の追加ダメージ。耐性の土は0.50倍の追加ダメージ。0.50ずつ上下すると言う事は、間違って無ければ弱点は2.00倍。


簡単に言うとフランベルクのダメージが100だとして、弱点追加ダメージは200。強過ぎ無い?魔法石の数に限りがあるけど、是非とも積極的にHPの高い魔物へ魔法剣を使いたい。



「さて、次の階層に行こう。多分ボスが居るだろうから、気を付けようか」



もぐもぐ癒しの咀嚼タイムも終わり、俺達は次の30階層目を目指す。後少しでエルフが居る階層か、俺の想像するエルフって人間嫌い何だけど‥‥。


出て来る魔物がチグハグだなぁ、このダンジョン。20階層の処刑人と交換した方が良くない?いつも通りの広間はおどろおどろしい真っ黒い祭壇に占領、司祭っぽい奴の両側に立つ白と黒の騎士、当たりに散らばる明らかな死体。


これはどう見ても黒魔術です、本当に有難うございます。



「はぁ、ややこしそうな敵だ‥。死体はゾンビだろうし良いとして、あの3体のステータス確認」


【簡易ステータス】

【種族】狂人(闇司祭)

【レベル】Lv**

【HP】***/***

【MP】****/****

【取得経験pt】***pt

【装備】黒水晶の杖、闇ローブ

【スキル】***、**、****、**、***、*****

《聖者の堕ちた姿。死者を冒涜、操るネクロマの力を身に付ける》


【簡易ステータス】

【種族】死霊(白騎士)

【レベル】Lv**

【HP】****/****

【MP】**/**

【取得経験pt】***pt

【装備】白銀のレイピア、白銀の盾、白銀の甲冑

【スキル】***、***、***、***、****、***

《白銀の甲冑に白騎士の死霊が宿った。生前は主人に忠誠を誓う騎士であったが、手酷い裏切りに合い死亡。全てを憎む》


【簡易ステータス】

【種族】死霊(黒騎士)

【レベル】Lv**

【HP】****/****

【MP】**/**

【取得経験pt】***pt

【装備】黒金の大剣、黒金の甲冑

【スキル】***、***、***、****、****、***

《黒金の甲冑に黒騎士の死霊が宿った。生前は暴虐の限りを尽くす騎士であり処刑。死して尚、争いと血を求める》



いや、この順番で良いかな。俺はそっと指輪のステータス画面を閉じ、溜め息を1つ。雑魚としてゾンビ、ゾンビを生き返らせる闇司祭、それを護衛する騎士甲冑2体。厄介過ぎだろ。


シオで場を水属性にして、俺と4兄弟で騎士の相手。何ちゃって剣術の俺が騎士相手に何処まで通用するか‥‥。青月と真白はゾンビ、3姉妹に支援して貰ってアクアに闇司祭?うーん悩む。


めぇ、めぇーめめぇっ!



「あ、羊さん呼べば良いのか」



唸りながら悩んで居ると、4兄弟が愛らしく鳴きながら俺の服を引っ張る。そうだ、便利なスキルがあったね。ちょっとばかり卑怯臭い感じもするけどこれも立派な戦略の1つ、使わない手は無い。


20回羊魔物達を呼ぶ事を了承して貰い、4兄弟へバージルの葉を2枚ずつ渡す。



むくり、とゾンビが起き上がる位置に俺達は歩みを進める。白黒騎士がこちらを向き、剣を構えて向かって来る前に4兄弟によるスキル怒涛の羊祭りが発動。


4人で順番にスキル発動しながらバージルの葉を食べてMP回復、足留め効果があるから発動して居る時はまだ大丈夫。その間にシオの水の踊りで場を水属性、3姉妹に強化魔法を掛けて貰い、闇司祭とゾンビが倒れるまで待機。



「闇司祭が倒れたか、良し後は騎士だけだ。行くぞ!」



明らかに闇属性っぽい黒騎士は、神聖魔法の使える真白がリーダーを取り4兄弟と連係。そして白騎士は対峙に俺と狼アクア、後方攻撃に青月とシオ。3姉妹は補助回復、隙を見て攻撃して貰う。


走り出し配置に着けば、白騎士はレイピアを構えてこちらを狙っている。いつも通り俺は白騎士の気を逸らせば良いだけの簡単お仕事だが、より一層気を張って対峙しないといけない。


白騎士の一閃、緊急回避で避けてフランベルクを突き出すも盾で防がれ反撃。冷たいと思った刹那、焼け付く様な確かな痛みが腕へと残る。



「痛っ!」



連続して突きが繰り出されるレイピア、致命傷を避けるだけが精一杯で俺の傷は増えて行く。


だがその間にも皆の攻撃が当たり、動きが緩慢になって行くのが分かる。おぉ、俺が貧血になる前には決着が着きそうだ。てか俺にばっかり攻撃が来るのは、スキル生者への渇望があるのだろうか?



「シルス、リリム、カリス、有難う。もう痛くないよ」



派手な音を立てて転がる2つの甲冑、俺が切り傷塗れになっただけで大した事も無く戦闘終了。死闘なんて、ちょっと戦いに慣れて来た俺が出来る訳無い。多少の怪我は許容範囲だけど、安全第一。


戦いが終わるや否や、泣きそうに顔を歪めた3姉妹がすっ飛んで来る。ひたすら傷跡が無くなるまで妖精の舞でヒーリングを掛けられたので、集まって来た皆纏めて撫で回しておく。


粗方撫で終え、HPMPを確認する為に指輪を操作してステータス画面を開く。まぁ、HP回復してバージルの葉でMP回復すれば良いんだけどね。一応。



「んじゃ、戦利品の回収しよう。良さそうなの落ちてるし」



【黒水晶の杖】

《火山湖の中にだけあると言う、黒水晶を使った杖。攻撃力+25、知力+225、知性up》


【白銀の盾】

《希少金属白銀で作られた盾。防御力+178、魔法防御力+50、魔法耐性up》


【黒金の大剣】

《希少金属黒金で作られた大剣。攻撃力+250、防御力+30、素早さ−20》


【腐った魔物の肉x8】

《食べるのは死人系魔物、もしくは蝿のみ。早々に処分した方が良いと思われる》



腐った魔物の肉は指輪【収納】すらしたく無いので放置、これは皆の総意。んで闇司祭から杖、白騎士から盾、黒騎士から剣をドロップしたのでアインに剣を、ドライに杖を、フィアに盾を装備。


ツヴァイには何も無いから、要らなくても俺の熱い抱擁をプレゼント。む、装備を上げた3人よりぴょんぴょん飛び跳ねて喜んで居る。こんなんで喜んで貰えるなら幾らでもするぜー。



「あー‥と、今日は皆疲れてるだろうし「ホーム」移転させちゃうな?んで明日、また探索しよう」



皆からの了承を得て、そそくさと「ホーム」移転。経験ptは足りてる、と認証ボタンを押せば直ぐ様景色が「ホーム」へ変わる。今日のボスも強敵だった、皆には無理しないで欲しい。


早速喋り出したアクア、抱き付いて来た皆を引き連れ、楽しく風呂へ向かう。あ、身体洗う前に風呂入るんじゃない真白!俺が全員洗ってやる。嬉しいけど犇めくなっ、並べやぁぁぁ!


はぁ、つ、疲れた‥。


夕飯が終わった俺達は今、ベッドに寝転がって居る。真白は森、4兄弟はもこもこカーペット&追加でもふもふクッションに埋もれて寝てるけど。俺は指輪をぽちっと操作して【お知らせnew】確認。



【お知らせnew】

《30階層突破、階層BOOS撃破420+680+710+ボーナス2000pt付与→志津、戦闘に関わった【眷族】


【個体】志津、23歳、♂

【HP】100/100

【MP】0/0

【経験pt】1009pt

【スキル】new根性

《根性さえあれば何でも出来る気がする。防御力20up》


【個体1】アクア

【レベル】Lv29→31

【HP】471→513

【MP】68→72


【個体2】青月

【レベル】Lv24→26

【HP】197→231

【MP】274→298


【個体3】シオ

【レベル】Lv17→20

【HP】208→245

【MP】71→76


【個体4】シルス、リリム、カリス

【レベル】Lv23→25

【HP】267→281

【MP】448→477

【スキル】new風魔法1

《エアープレス(消費mp5)風圧で相手を押し潰す。ノックバック効果(小)》


【個体5】真白

【レベル】Lv33→35

【HP】465→502

【MP】431→471


【個体7】アイン(黒)、ツヴァイ(白)、ドライ(茶)、フィア(灰)

【レベル】Lv12→16

【HP】669→855

【MP】373→481

【スキル】new射撃4、new盾3、new一刀両断、new火魔法1

一刀両断=アイン専用。力を溜めて防具無効の一撃

火魔法1=ファイアウォール(消費mp5)炎の壁を作る》



流石にボスの経験ptだけではLvの上がりが悪くなって来たな。それだけアクア達が強くなり、Lvが追い付いて来たと言える。パネルを閉じ、思わず溜め息を吐く。



「あした‥‥、か」



今の今まで考える事を放棄して居た事実、俺はどうして迷宮ダンジョンに迷い込んだのか。指輪の都合の良さ。家に帰れるのか、アクア達を置いて行くのか?俺自身がどうしたいか、悩むを通り越してなるようになれって感じ。


エルフが何も分からなくて振り出しに戻る可能性もある、ここまで来たら気楽に構えておこう。



《ますたー‥?》


「あぁ、ごめん。もう寝るよアクア、お休み」


《‥‥おやすみー》



不安気にふるんっと揺れたアクアを優しく撫で、俺はシオが蹴飛ばした布団を掛け直す。ヤバいヤバい、特にアクアは聡い子だから気を付けないと。目を瞑ると直ぐ眠気が来る。


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