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12話、めぇーめぇーぱにっく


朝、目が覚めると隣に居るシオが威嚇して居た。それはもうシャーッと、猫も負ける程。まだ眠くぼんやりとした意識の中、俺は首を捻る。敵は「ホーム」に入って来れない、これは信じられなくて前に試したので絶対だ。



「シオー、どうしっぷ」



取り敢えず無い頭で考え、シオに聞こうとした。したんだが、言い終わる前に俺の視界が黒いもふもふの塊に覆われる。この真綿で包まれる様な優しい毛並み、仄かに暖かく、めぇめぇ可愛い鳴き声。


あぁ、産まれたか‥。


確信を持って顔に引っ付いて居るのを剥がし、起き上がり改めて見ると、4色の毛色を持つ羊の魔物が固まり俺に向かってめぇめぇ鳴いて居る。うん、可愛い可愛い。



「おはよう。アクア、起きてるか?通訳頼みたいんだけど‥」


《おはよー!む、まかせて!》



その場に俺は胡座をし、頭にアクアを乗せて足の間にシオを乗せる。そうすると、シオのご機嫌バロメーターが上昇するからマジオススメ。俺が起きたのが分かるのか、青月と3姉妹もベッドに集合。


真白は寝るのが好きみたいだし、放置で良いか。さて、何から話そう?やっぱり最初は【眷族ステータス】の確認かな?



【眷族ステータス】

【個体7】アイン(黒毛)、ツヴァイ(白毛)、ドライ(茶毛)、フィア(灰毛)

【種族】羊(メイター、メーチャー、メージ、メイト)

【レベル】Lv1

【HP】300/300

【MP】260/260

【装備】なし

【スキル】カルテット、剣撃2、射撃1、打撃1、盾1、精密射撃、火魔法1、耐火、連撃、親愛、怒濤の羊祭り

【主】志津

【4人から一言】

《未設定》


【スキル説明】

基本スキルの説明は省きます

カルテット=一蓮托生と同じ効果。違う点は10割りのステータスが+される

精密射撃(消費MP10)=神経を研ぎ澄まし、正確に狙う事が出来る必中攻撃。ツヴァイ専用

火魔法1=初級火魔法。攻撃に特化した魔法を覚える。ドライ専用

連撃=極稀に攻撃回数を増やす事が出来る。フィア専用

怒涛の羊祭り(消費MP30)=何処からか大量の羊魔物を呼び寄せ、敵へと突進させる。そしてそのまま去って行く


【火魔法】

1ボム(消費MP4)

手の平サイズの火球を敵に投げ付ける

1ブレイズ(消費MP6)

指定場所に火柱を発生させる



ふむ、ドライは火属性魔法を使えるのか。一蓮托生より良いスキルらしくHPMPも、と言うか全体的にバランスも良いし即戦力だ。



「えーと、俺は志津って言うんだけど‥、この子達は君達の上兄弟に当たる。何が言いたいかと言うと、皆で協力して、このダンジョンを探索して行こう」



改めて自己紹介をするのは言葉を選ぶのもそうだけど、何だか気恥ずかしいな。アクアに通訳して貰えば、めぇめぇ4兄弟は俺の事を父様呼びらしい。まぁ可愛いので好きにさせるけど。


真白を除く【眷族】みんなに囲まれて俺の幸せ度、癒され度は最高潮。ぷるぷるぷにぷにのもふもふパラダイスだ。


一緒に戦ってくれる事を了承して貰ったので、指輪【収納】にある装備品を出す。初期装備品って感じだけど、俺の初期装備は宿り木の棒にスーツだったので許して欲しい。後は、空の魔法石に魔法を込めて貰うか。



「アインには鉄の剣と鉄の胸当て、ツヴァイには木の弓と革の胸当て、ドライには樫の杖と布のローブ、フィアには鉄の剣と木の盾に鉄の胸当て。普通に装備するから、言わなくても大丈夫だな」


《めぇーめぇー》



上機嫌なアクアが4兄弟の真似をしながら、ぷるぷる震えて居る。受け渡しが終わり、次の問題は食べ物だろうか?ふむふむ、アクア通訳によると新鮮な野菜らしい。え、牧草じゃ無いの?


腹も減って来たし、ご飯にするかね。シオを抱き上げて椅子に座らせ、俺は指輪を操作し【経験pt⇔交換】で雲形のモコモコカーペットを1ptで交換。4兄弟が床に座って居る方が良いって言ったから、せめてこれだけでも。



「はい、いただきます」


《いただくー!》



俺はセット料理、シオは魚介盛り、3姉妹はスライムの核、4兄弟は大地の恵み野菜盛り沢山セット(大3pt)アクアは俺の言葉を反復して遊んで居るだけだが、両手を合わせて頂きます。


食後、指輪【収納】から空の魔法石6個を出してシルス、リリム、ドライに各属性魔法を込めて貰う。これてカリスに込めて貰った2個を合わせて8個、残り17個。


妖精の舞でランクを上げた魔法は無理なので、凄く残念だ。



「今日も泥魔物達の所に行って皆のLvを底上げ、魔法石ドロップ狙おう」


《どろどろー》



着替えて皆でバージルの葉を摘み終わると、真白が起きて来る。準備も終わったし、忘れ物も無いと思う。今日は探索メインじゃ無いから気楽に行くか。


皆を連れてぞろぞろと「ホーム」から出て、階段を上がる。人数も増えたから、戦い方とかちゃんと見てないといけないな。余計なお世話かも、だけど。


26階層、何故か羊の魔物に襲われなくなった。多分ってか絶対、4兄弟のお陰だと思う。仲間意識が強いみたいだな、スキルにも怒涛の羊祭りってのがある位だし。27階層、やはり暑苦しい主に筋肉オーク。



「さて、Lv上げLv上げ」



28階層、Lv1にはちょっとキツいかも知れないけど俺等がフォローすれば良いよな。皆は言わずとも1人で蹴散らしたり、周りと共闘したりチームワークは抜群だ。4兄弟だって、上手に連携を取って魔物を倒して居る。


俺も負けて居られない、と装備したフランベルクを握り直す。ヒートソードを使う事も考えたが、弱点を突いたとしても純粋な攻撃力はフランベルクの方が高いのでこちらを使用して居ると言う訳。


これを7日間程繰り返すと全体的なLvの底上げ、空の魔法石ドロップも十分に行えたと思われる。アクアが居なかったら、空の魔法石を集めるのを諦めてた。



「良し、今から暫く見て無かったステータスの確認する」



俺は「ホーム」の椅子に座りながら、指輪を操作。どれ位強くなるのか楽しみで、ステータスを確認して無かったんだよな。皆避けるの上手だし、確認の必要が無かったとも言える。


うっ、羨ましい限りだ。



【お知らせnew】

《【個体】志津、23歳、♂

【HP】100/100

【MP】0/0

【経験pt】1392pt

【スキル】new剣撃4、new魔法剣

※魔法剣→剣に魔法を宿し戦う


【個体1】アクア

【レベル】Lv21→29

【HP】402→471

【MP】61→68

【スキル】new回避


【個体2】青月

【種族】魚(水魚)

【レベル】Lv18→24

【HP】164→197

【MP】213→274

【スキル】new水鞠2

※水鞠→数が1個から2個に


【個体3】シオ

【レベル】Lv12→17

【HP】163→208

【MP】60→71

【スキル】new体術2、new回避


【個体4】シルス、リリム、カリス

【レベル】Lv17→23

【HP】225→267

【MP】389→448

【スキル】new精神統一

※精神統一→1度だけ魔法の威力が2倍に


【個体5】真白

【レベル】Lv30→33

【HP】447→465

【MP】411→431

【スキル】new湯治馬

※湯治馬→温泉好きな馬。温泉に入ると疲労回復が促進


【個体7】アイン(黒)、ツヴァイ(白)、ドライ(茶)、フィア(灰)

【レベル】Lv1→12

【HP】300→669

【MP】260→373

【スキル】new剣撃5、new射撃3、new盾2》



びっくりした魔法剣は、文字通り剣に魔法を宿して戦うスキル。仲間にLv20以上の魔法使いが居る事と、滅多な事では壊れない頑丈な剣が必要条件。スキルLv1の魔法で1分、魔法石でも同じ。


アクアは元々俊敏が高いから今更って感じで、青月はLv10毎に水鞠1個追加なのかな?シオはあれだけ拳で戦ってたらね‥、肉体派な妖精だとは思わなかった。


3姉妹のスキルはデメリット無しで使い放題、良いね。真白さんは、温泉気に入って頂けて幸いです。4兄弟は一見ステータスが高そうに見えるが、4人集めたステータスだからな。まだ低Lvだし、俺的には妥当だと思う。



「うんうん。全体的に強くなったし、これなら安心して行けるな」


《つよくなったー!》


「おぉ、良ーし良し」


《むふー》



指輪のパネルを閉じ、うんうん頷いて居ると、アクアがぷるぷる震えながら元気良く話し掛けてくる。可愛いのぅ可愛いのぅ、と撫で回して居たら皆の行列が出来た。


余す所無く、この俺直伝テクニックで撫で回してやる!あ、犯罪臭がしない程度にね。女の子居るし精々頭だから。だが4兄弟、お前達は別だ!ふわふわのもこもこ、顔を埋めて寝たい毛並み。幸せ。


とまぁ、皆とのスキンシップも適度な所で終らせ、迷宮ダンジョンを探索する準備に入る。アクアのお陰で空の魔法石は沢山手に入ったし、俺も簡易魔法剣士の仲間入りだ。



「準備万端、良し出発」


《しゅっぱーつ》


「今日は30階層、多分ボスが居るからそこが目的地だ」


《あくあがんばるー!みんな、がんばる、いってる!》


「おぉ、頼もしい限り。皆、宜しく頼むぞ?」



鼓舞し鼓舞され探索開始。26、27、28階層は1週間以上通い詰めて居たので順調に突破する事が出来た。だが29階層目、長い階段を上がり切ると俺は一瞬我が目を疑う。


いつも通り見慣れた石造りのダンジョン、なのだが仕切りは一切合切無い広間。階層を数え間違え、もしかして此処がボス部屋なのかと考える。いやいや、5階層も数えられなくなったら人間として残念過ぎるだろう。



「‥‥考えるより確実な方法あるし。目の前のゴーレム、ステータス確認」



広間の真ん中には、3〜4m程の大きさをしたゴーレムが5体、まるで石像の様に立っている。是非ともそのまま動かないで居て欲しいが、これだけは確信が持て言える。絶対近付くと動き出す筈!



【簡易ステータス】

【種族】無機生物(ゴーレム)

【レベル】Lv27〜32

【HP】1379〜1716

【MP】0/0

【取得経験pt】48〜53pt

【装備】なし

【スキル】打撃8、体術5、ぶん殴り、蹴り、力を溜める

《ゴーレムとは、土、石、金属等で出来た自動人形の総称。製作者の命令にだけ忠実に実行する》



取り敢えず、懸念して居たボス部屋では無いらしい。ひと安心、は出来ないけど。流石ゴーレムと言えば良いのか、HPが半端無く高い。1番Lvの低いゴーレムだってアクア3人分。


この分なら、攻撃力も防御力も高いだろう。巨体に多分土だから愚鈍な動きがネックで、スキルに耐性が無いから魔法も普通に効くかも知れない。全体的にLvの底上げしたし、余り構えなくても大丈夫そうだ。



「1体1体確実に倒して行こう。あいつ等倒さないと邪魔だから30階層行けないし、MPは気にしなくて良い。少なくなったら俺の側に来てくれ。あぁ4兄弟、怒涛の羊祭りをMPが無くなる迄やって欲しいんだけど‥」



あの大きさだ、駆け抜けて階段を上がれば追って来れない。けど5体も居るので、下手な賭けはしない方が良いに決まって居る。なので全力排除決定。


怒涛の羊祭りは全体攻撃、これは泥魔物の階層で試したから確かな情報。ダメージもLvの1.25×3回が固定で、とあるゲームで言う万能属性。非常に使い勝手が良く、便利なスキルだ。


めぇめぇーめ、めぇめぇめー!


元気良く頷いた4兄弟にバージルの葉を1枚渡し、彼等は1歩前へ出る。そして思いっ切り息を吸い込み、羊語?を高らかに叫ぶ。少しの時間を置き、どんどん地響きが近付いて来る。



「あれの中に飛び込んだら、天国を味わえそうだな‥って」


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