9話、鬼ごっこの次は怪獣戦
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【簡易ステータス】
【種族】獅子
【レベル】Lv25
【HP】338/491
【MP】51/88
【取得経験pt】26pt
【装備】なし
【スキル】耐熱、耐寒、咆哮、爪、牙、噛み砕き
《成体になると6メートル程の大きさになる、砂漠に住まう獅子。肉食、雑食、草食の3種類》
【簡易ステータス】
【種族】蠍
【レベル】Lv24
【HP】109/527
【MP】0/0
【取得経験pt】25pt
【装備】なし
【スキル】耐熱、耐寒、耐衝撃5、毒無効、毒針、溶解液、突進、ぶん回し
《成体になると8メートルを越える個体も。砂の中に隠れ、獲物が通ると襲って来る。尻尾の毒針、溶解液に注意!》
「どっちも弱ってるし、倒すなら今がチャンスだ」
簡単にステータスを流し見。ふむ、気を付ければそんなに苦戦しなさそうだ。相手はデカいし、動きもそんなに早く無い。俺等の俊敏さをフルに生かそう。
3姉妹にはリリムを主とした妖精の舞で上位の風魔法ストームの詠唱をさせ、それが終わるまで俺等は待機。後もう少しだけでも良いから、2匹のHPを減らしたいって思惑がある。是非とも存分に潰し合ってくれ。
お、ラッキー。スコルピスの毒針がサンドレオに当たったらしい、1秒毎にHPが5減り続けて居る。丁度3姉妹の詠唱も終わり、それをスコルピスにプレゼント。
「良し、後はサンドレオだけ。さて回避優先で行くぞー!」
元よりかなりHPが削られて居たスコルピスを即撃破、まぁ魔法耐性が無いっぽいし。漸くこちらに気付いたサンドレオだが、毒のせいで足元がフラフラと覚束無い。
皆で攻撃し、最後にアクアの触手が身体を突き抜け霧散。楽に倒す事が出来て俺としては万々歳。最近HPが高い魔物が増えて来たからな、一体だけでも時間が掛かる様になって来た。
ってか、アクアが砂まみれなんだけど!慌てて抱き上げるも理由は簡単、そう言えばアクアはスライム、しっとりしてた。ぷるぷるんっ、と身体を震わせても全く取れない様子。
「オアシスあったから一旦休憩にしよう、MPも回復させたい」
青月、3姉妹を見ながら提案すれば喜んで賛成してくれた。オアシスは戦って居た直ぐ側にあったので、楽に到着。水辺だからか、涼しく快適だ。
皆には身体を休める事、見えない場所に行かない事を伝える。俺はアクアをオアシスの泉で洗う作業に専念するぜ。
専念するって言っても、水に浸して表面を撫でるだけで砂は簡単に落ちる。でも直ぐアクアが砂にまみれてしまうだろうから、俺は少しばかり頭を悩ます。
服の中に入れてて魔物に会った時、対応出来なかったら困るし?だからと言って、ずっと砂まみれにして置くのは気が引けるし。青月と3姉妹が遊んで居るのをアクアを膝に乗せ、のんびり眺める。
「んー‥、んん?」
アクアが俺から離れ、砂の上へ着地すると小刻みに震え出す。また限界までレアアイテムを貯め込んで居たのだろうか?凝視しながら成り行きを見守ろう。
あれ?アクア、膨張して無い?それに何か段々振動が大きくなって来てるみたいだし、これはどうしたら良いのか全く分からん!ヤバかったら青月と3姉妹が教えてくれるよな?
「あ?あ‥、あぁ!」
そう言えば、忘れて居たな。5階層目のBOSSを倒したのはアクアが取り込んだからで、その姿を模す事が出来る擬態と言うスキルが使えるんだっけ。
姿の形成が終わった狼アクアは半透明で、身体は5階層目のBOOSより一回り小さく、ぷにぷにした触り心地も人肌程度にランクダウン。でもこれなら砂に悩まされる事はなさそうだ。
ふむふむ、MP消費は42でHP攻撃力俊敏に+のボーナス。任意で解除するか階層を移動するまで姿を保てる。今まで忘れる位放置されて居たのは、MPが足らなかったからか。
すりすりすりすりすりすりすり。
そんな事を考えて居ると、アクアが思いっ切り擦り寄って来て、俺は何故か実家の近所で飼って居たグレートデンの田中を思い出す。まぁ、それはどうでも良い。
「MPは‥、半分位回復したか」
指輪に触り、ステータス画面を睨みながら呟く。流石にこれ以上先延ばしにしたら、俺の空腹感と膀胱がフルバーストになりそうだし。経験pt稼ぎ、後少しだからパパッとやりますか!
オアシスの水辺で遊んで居た青月と3姉妹を呼び戻し、早速魔物探し。あ、狼アクアが4人に遊ばれてる。あ、触手出して4人を捕まえて叱ってる。何これ和む。
オアシスから出て見えなくなって来た頃、お食事中のスコルピスを見付けた。サンドレオ、では無いな。もう1種類位違う魔物が居るのか?だが、食事に気を取られてる今が先制のチャンス。【収納】から取り出したフランベルクをしっかり握り締め、足を忍ばせて魔物へ近付く。
「お食事中申し訳ないっ!」
力の限り関節の柔らかい部分へフランベルクを突き立て、それを横に滑らせる。馬鹿デカい咆哮、怒ったスコルピスの強靭な鋏が俺へ向かうも、横から狼アクアが喰い千切る様にそれを奪い去った。
「た、頼もしい!」
痛みにのたうち回るスコルピス、その隙を逃さず青月の尾剣と3姉妹の妖精の舞でトドメ。ここの魔物達は大きいのが多いので、対等に渡り合えるアクアが余計頼もしく見える。
Lv的には負けてるから、防御力の面では心配だけど。ぴとっ、と寄り添って来たアクアを犬を愛でる時の様にわしゃわしゃ撫で回す。いや、この場合は猫可愛がり?
「良し、この調子でどんどん倒してしまうぞぉー」
おーっ!と声は聞こえないが、意気込んだ皆を見て俺も負けて居られ無い。そう思って居た時期が俺にもありました、パート2。
そう言えば、皆の殺る気スイッチが入って居た事を忘れてた。意気込んでから1時間程、目標経験ptが余裕で越える位に集まる。アクア、何かサンドレオと1対1で圧勝してたんですけど。
「取り敢えず「ホーム」移転してー‥、皆集合!」
指輪を操作して「ホーム」移転。それが終わると皆を呼び、さっさと帰る。帰れる時に帰る、テストに出るかも。
ただいまー、と「ホーム」に帰還するとテンションの高いシオに出迎えられるが、突進を抑えながら頭を撫でる。汗、埃、砂諸々にまみれてるからな。
「皆も一緒に風呂入っちゃう?」
後ろを振り返りつつ、シオ以外の皆に問い掛ける。アクアは狼姿からいつもの姿に擬態が解けて居て、ここも階層の変わり目なのかと勝手に1人で納得。
勿論わーい、と喜んで貰えたのは幸いだ。でも3姉妹は女の子だしなぁ、どうした物かと頭を悩ませて居ると、3姉妹がパチン、指を鳴らせば妖精ワンピースから花の水着へ早変わり。
「‥‥‥まぁ、良いか」
色々思う事もあるけど、可愛いは正義主義を稀に掲げる俺は気にしない。これで皆仲良く風呂に入れる。勿論3姉妹には先に入って貰ってから、俺は腰にタオルを巻いて入った。
頭を洗った時やっぱり砂埃の酷さを再確認して苦笑、皆と楽しくガッツリ1時間。
風呂が終わった俺等は今、テーブルに着いて居る。次は食欲を満たすに限るから、取り敢えず天丼セット。ついでにカセットコンロと浅鍋、お玉と小瓶(全8pt)も。
「毒使って来る魔物が出て来たからな、気休めにしかならなくても作って置いて損は無い筈」
食事も終わり、呟きながら【収納】から出したロートス、水を浅鍋に入れて火に掛ける。かなり大雑把だが、煎じるのはこれで良いとしよう。ファンタジーが何とかしてくれるさ。
「火が危ないし、ベッドに移動しようかね」
何分火をつけて置けば良いのか分からん。皆をベッドへ移動させた後、俺はまた椅子へと座る。ロートスは神秘の泉効果で沢山あるから大丈夫だけど、やっぱり失敗は出来るだけしない様にしたい。
待って居る間、指輪を弄ってパネルを開く。最近聞いてる暇無いし、無視しちゃう機械音声を止めて便利な音声認識はそのままに、っと。んで【お知らせnew】の画面をタッチ。
【お知らせnew】
《【個体】青月
【レベル】Lv12→13
【HP】132→138
【MP】168→172
【個体】シルス、リリム、カリス
【レベル】Lv9→10
【HP】161→169
【MP】292→311
【スキル】土魔法1、風魔法1
土1ローズウィップmp4
足元から茨の蔦を発生
風1疾風の如くmp5
対象者の素早さ強化》
敵魔物とLv差があるから皆上がり易いと思ったんだけど。俺と経験pt半分だし、皆で倒したらその半分以下。まぁ仕方無いか。
因みに、妖精の舞で使える魔法は下記の通り。調べたら簡単に出て来た。ログを見る様な感じなので、3姉妹が使った物じゃないと駄目らしい。後、妖精の舞を使うとMPは2倍だ。
【妖精の舞、使用魔法】
風2ストーム(消費mp9)
敵を中心とした風の刃が踊る
光2ヒーリング(消費mp8)
HP5割相当を回復
光2フォトン(消費mp12)
聖なる光の量子が敵を包む、中威力、死霊系に有効
「鍋はー‥、おぉっ」
時間潰しも終わり、パネルを消して鍋を覗き込めば俺は歓声を上げた。中は沸々と煮え立ち、ロートスの花は崩れ、見た目は花ジャムに近い物に。微かに甘い蜜の匂いが香る。良い匂いだ。
忘れて居た上戸を【経験pt⇔交換】で取り出し、小瓶に入れて行く。うーん、こんなお洒落な物が効くのかね。疑問に思いつつ、詳細を調べてみる。
【ロートスの小瓶】
《幽暗のロートスを煎じ、小瓶に詰めた物。煮詰めた事により、改善薬として大抵事は足りる》
毒に効きそうには、無いな。でも今の俺達には解毒スキルも無いし、一応持って置くだけでも心に余裕が出来るかも知れない。一番良いのは毒攻撃を受けない、って事だけどさ。
眠たくなって来たのでさっさと【収納】、ベッドへ向かえば皆が寝ないで待って居た。勿論アクアのぷにぷに枕で布団に入ると命を懸けた鬼ごっこのせいか、語らう事無く寝てしまう。
そう言えば、ここに来てから夢を見なくなった。毎日が命懸けだからな、仕方無い。
次の日、起きると青月、シオ、3姉妹が俺の顔を覗き込んでいた。は、恥ずかしい!取り敢えず寝顔をじっくり見られた羞恥心を押し殺し、起き上がると問い掛ける。
「どうした?」
ぶんぶんぶんぶん。
何でも無いらしい。アクアにお早う次いでに突っつき、洗面所の鏡を見ても何も無い。まぁ良いか、と渋々自分を納得させて歯を磨き、服を着替え戻る。
今日はナポリタンセットに刺身盛り(小)、3姉妹にスライムの核を渡し皆で頂きます。
「ふぅ、ご馳走様でした。腹ごなしが終わったら探索の続き開始だな」
砂糖無しの冷たい紅茶を飲み干して完食。食べ終わった食器を消し、皆と顔を合わせて日課となったお話タイム。皆との他愛も無い会話は癒しタイムだ。身振り手振りで俺の話に返事してくれ、最高に可愛い。
とまぁ親馬鹿は置いて、十分時間を置いたので立ち上がる。
シオに留守番を任せ、俺等は「ホーム」の扉を開く。砂漠地帯だからか日射しが一段と厳しく、蒸し暑い。要は慣れだな。フランベルクを【収納】から取り出し装備、探索開始。
「階段を探し‥、たかった」
横を見ると隣に上へ上がる階段、ランダムで壁に扉が繋がるのだとしても、これはどうだろうね。ラッキーだと思って、魔物に見付かる前に早速上ろう。
今はレアアイテム探しより、上る事を優先してる。でもやっぱり、手掛かりも探したいから念入りに調べた方が良いのか?でも、普通こんな下の階層には無いよなぁ。
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