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5話、Lvを上げて物理で斬る


プルプル震え触手を出して床をピタピタ、アクアが諌めてくれて居るんだろうけど、魔物語が分からない俺にはどう見ても和気藹々にしか見えません本当に有難うございます。



「はは、行って来ます」



拗ねてしまったシオは、岩場でこちらにお尻を向けてふて寝。苦笑混じりの声を掛けて出発、十一階層の階段探しから始めなくては。んで、経験ptが良くて俺の好敵手になってくれそうな魔物を探す。


「ホーム」直ぐの長い階段を上がり、雑木林をひたすら歩く。今度はアクアを見失わない様、俺の左腕にしがみつかせる。そう言えば、昨日のアウラウネは何処を塒にしてるんだろう?こんなに歩いて居るのに出会う気配すら無いな。


スパイダーが俺等に驚いて頭に落ちて来る回数が両手で足りなくなって来た頃、漸く次の階層へ上がる階段を発見する。



「十二階層は‥‥、岩場か」



階段を上がり、見えた岩場の光景に少々笑いが込み上げてきそうに。統一性が全くと言って良い程に無い、一体何処の誰がこの迷宮ダンジョンを作ったんだろうか。


まぁそんな話は置いておくとして、どんな敵が出るのか?周りの地理はどうなって居るのか?を把握するのが先決。


‥‥自然系マップ嫌いだ。


岩場の規模は小さなモノで、全体的な大きさは結構早めに掌握出来た。ついでに歩き回っていたら宝箱が隅に置いてあり、久々だと心踊らせて開けに掛かる。



【浜薊の種】

《砂地に咲く花の種。別名、浜牛蒡。地中深くに牛蒡の様な根があり、食べる事が可能》


【岩戸百合の種】

《岩場、草原に良く生えている。別名、透かし百合。茎が細長いので花は重く、風が無くとも緩り動く》


【浜昼顔の種】

《海岸の砂地に生える蔓性の多年草。砂の中に白色の地下茎を伸ばし増える》



食用に向く一種類と観賞用っぽい二種類、何で花の種なのかは分からないが有難く指輪に【収納】。場所なら幾らでもあるし改装しても良いな、帰ったら早速植えてみよう。


敵の姿が見えないと思って居たら岩場の上から1匹、岩の影から5匹程姿を現した。どうやら此方の様子を窺って居たらしい。



「ゴブリンっぽいのと蜥蜴っぽいのをステータス確認」



【簡易ステータス】

【種族】小鬼(ゴブリン)

【レベル】Lv12

【取得経験pt】19pt

【装備】錆びた剣、ボロの胸当て

【スキル】ぶん回し、威嚇

《冒険者の亡骸から装備を盗り少し知恵を付けたゴブリン。雄個体しか居ない事で有名》


【簡易ステータス】

【種族】蜥蜴(岩蜥蜴)

【レベル】Lv9

【取得経験pt】10pt

【装備】なし

【スキル】はりつき、爪

《昆虫、岩に生える苔等が主食。普段は人間にとって無害だが縄張り意識が滅法強く、縄張りに踏み込んだ相手に容赦はしない》



おぉ、魔物詳細は此処にも作用するのか。色々思う事もあるが、取り敢えず膠着状態を脱してからにしよう。ずっと三竦みで睨み合って居ても良い事は無いからな。


魔物の群れから視線を外さ無い様に気を付け、指輪【収納】からフランベルクを取り出し利き手に素早く装備する。



「アクアと青月は岩蜥蜴を頼む、俺はゴブリンを倒す」



同じ剣持ちだし、俺の素人剣術が何処まで通じるかは不安だけど習うより慣れろで。ギュッとフランベルクの柄を強く握り心を静め、アクアと青月へ指示を出す。


この瞬間が一番緊張する。命のやり取り、主に俺。


アクアが触手を鋭く尖らせ先制攻撃、これを皮切りに相対が始まる。アクアと青月は相性が良く、コンビネーションもバッチリだから心配する要素は無い。



「っとと、二階層と同じゴブリンなのに装備あるだけで‥、ぐっ」



ゴブリンが岩場の上から飛び掛かって来るのをスキル回避で避ける。錆びた剣で斬り掛かる、と言うよりは棍棒の様な使い方をして居る様だ。


力任せに振られた剣をフランベルクで受け止めるも、力が足りず直ぐに弾く。俺の力が劣って居るなら、受け止めるより弾く、もしくは受け流す事を前提にした方が断然良いな。



「お、楽になった」



剣で受け流し、回避して攻撃。ある意味慣れてしまったら単調な作業を繰り返し、地道にダメージを稼いでゴブリンを倒す。ふむ、ゴブリンを探して、暫くは俺の練習相手になって貰おう。


少し乱れた息を整え後ろを振り向くと、アクアと青月は戦闘が終わって居た様で此方を見て居た。早いな、2人を見習って精進しないとだな‥。



【お知らせnew】

《条件を満たした為、スキル斬撃1を習得しました。【眷族】青月のLvが4になりました》



剣を使い出したからな、スキルを覚えるのは当たり前か。んで青月のLvup、泉の効果と相乗して早めに上がったのだろう。アクアもこの調子なら直ぐ上がるかも知れないな。


良し、俺がゴブリン相手に楽勝で倒せる様になるか、アクアと青月がLv1ずつ上がったら次の階層へ行こう。


出て来るのは岩蜥蜴ばかりで、剣持ちのゴブリンが出て来るのは極稀。でも俺の練習相手には丁度良かった、二階層みたく5匹とか群れで来られたら対処は難しい。


無事にアクアと青月のLvも1上がり、剣の練習もある程度は出来た。ぶっちゃけ俺だけ汗だくお疲れモードなので帰ろうと、魔物が落としたアイテムを【収納】する。



【錆びた剣】

【ボロの胸当て】

《長年雨ざらしにされ、劣化が進んだ装備品。攻撃力防御力共に+1、無いよりはマシ》


【岩蜥蜴の尻尾】

《食用に向き、焼くと鳥ササミの様な味がする。食料が無い冒険者が好んで食べる》



また錬成の泉みたいな便利な物があるかも知れない、出来るだけアイテムは拾って溜め込んで置かないと。因みに指輪【収納】の中は時間経過が無いらしい、この間焦ったのは内緒。



「明日は上の階層行っても良さそうな敵居なかったら此処か、寧ろサンドワーム狩りでも良いか」



サンドワームは地面をウネウネ這って居るだけなのにあのLv、紛れも無くカモだ。ロックックの群れに追い掛け回され無い様気を付ければ、ははっ。アクアを小脇に抱え青月は手の平に、そして直ぐ様帰還スキルを口にする。



【スキル発動】

《スキル帰還が発動されました。ホームに帰還します》



「シオ、ただいぃー‥ま?」



もしかしたらお腹空いてるかな?とか思いながら無事に到着、シオは俺等の帰宅に気付かず寛ぎ場で寝て居た。まだ赤ん坊に近いから仕方無いとして、俺は泉に疑問を持ち首を捻る。


出掛ける時、幽暗のロートスは8輪程度咲いて居た。今では15輪程蕾も含め咲いて居る。神秘の泉に幽暗のロートス育成+補正があったとしても、育ち過ぎじゃ無いだろうか?もしや、育ち盛り?


‥‥ま、まぁ、育って居る分には良いか。何より綺麗だし。俺は泉に歩み寄り、アクアと青月をそっと降ろす。2人は直ぐ泉へ入ると気持ち良さげに泳ぎ出し、そんな姿に俺の頬が緩むのを感じる。



「ロートスの花摘んで、さっき手に入れた花の種植えてみるか‥‥でも」



先ずは疲れた身体を癒しに風呂でも入るか。経験ptも豊富にあるし、何時もの服も良いんだけど部屋着として甚平(1pt)を着てみよう。勿論、問答無用でカット。


さらさらとした着心地の良い生地で上機嫌な俺は椅子に座り、指輪の【収納】から3種類の種を取り出す。何て言うか、ガチャポン?みたいな小さなプラスチック玉の中には1種類につき5〜10粒程度の種が入って居る。


砂地にして居るからと言っても泉の中に植えたら育たないよな、神秘的な木々の辺りが土っぽいからそこで良いか。泉が側だから水もあげやすいし。


椅子から立ち上がり、種を持ち木々の近くに歩むと園芸用シャベル(1pt)を【経験pt⇔交換】から取り出して握る。掘って、種を埋めて、土を掛けて、ポンポンと土をならす。一連の作業を繰り返し、直ぐ側にある泉の水を硝子の瓶に汲むと種が流れない様にゆっくり掛けて行く。



「さて、後は飯を食べて寝るだけだ。アクアも青月もちゃんと寝るんだぞ?」



手に付いた土を叩き、水を満たした硝子の瓶を指輪に【収納】する。いつの間にか、興味深そうに俺の作業を見て居たアクアと青月に声を掛ける。睡眠時間は人間である俺程は要らないとしても、必要だろう。


お休み!と言う感じでアクアはフルンッと震え、青月は一度跳び跳ねて見せた。そう言えば、結局シオは起きなかったな。寝る子は育つってヤツか?



「飯も食ったし寝るか」



あふっ、と聞く人が居れば苦笑するであろう欠伸をし、寝る為にベットへ潜る。うとうとし掛けた時、ロートス摘むのを忘れた事に漸く気付いた。


‥‥まぁ、良いか。


起きたら先ず歯を磨いて、お腹を空かせたシオが催促して来るので朝食。うーん、お腹が空いたら起きるのか。俺は洋食セットにして単品に刺身盛り(小)をシオへ、因みにセットも単品も1pt。


昨日忘れたロートスの花を摘むのも忘れない。起きたら5輪増えて居たので笑った。開ききってる花が8輪あったので、3人とワイワイ楽しく摘み取る。



【魔力に満ち溢れた神秘の泉】

《澄んだ純粋な魔力に満ち溢れた神聖な泉。オプション擬似海水により淡水、海水の魔物が同時に住む事が出来る。水系魔物なら一度は浸かりたいと夢を見る程。浸かって居る眷族に3分+1の経験ptを付与。辺りの植物系育成に大幅+の効果》



昨日植えた筈の種が発芽して居て、思わず泉の効果を確認した俺は悪くない。しかも何か増えてる。育成に大幅+の効果になって‥、そんな知識が無い俺でも園芸に目覚めそうだ。



「‥ごめんな、シオ。危ないから連れて行けないんだ。もっとシオが大きくなったら一緒に行こう」



準備が終わり、シオを見ればまた置いて行かれるのが分かるのか、キューキュー悲しげに鳴く。でも自分自身すら満足に守れないのに連れて行って殺されました、何て自分が許せなくなる。


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