2011 3、11 東日本大震災
16 2011 3 11 東日本大震災
38Fから下田早苗が消えたゲストルームのクリーニングを タスキンに頼んでいたのが お昼休みを挟んで 今終えたようだ
「部屋のクリーニングが終わりました 今回は壁も天井も除菌しましたから どんな花粉症の人でも当分は快適に過ごせますよ」「ああ ありがとう これ少しですけど」と5人分のチップを渡した 「いえ こちらこそいつもありがとうございます また御用がありましたらお願いします」と 午後2時 にこやかに車に乗っていった。
少し寒いがまあまあいい天気 遅くなったがいつものソバ屋に盛りそば2人分頼んで ライアンと一緒に管理人室で食べているところに外部からのインターフォンがなった
見るとこの前の刑事だ ライアンと目があって「大丈夫か?」「ああ ぜんぜん」
「はい」というと「この前きた新宿署の平田です また聞きたいことがあるのですが今いいですか?」「はい お昼を終えたところだから大丈夫です 今 開けます 事務所へどうぞ」といってロックを開けた
「やあ ライアンも一緒とは都合がいい おっと食事中でしたか」
「いえ 終ったところです でっ 今日は何を聴きたいのですか?」
「高杉さん そんなに慌てないで ゆっくり話しますから ライアンにとっても大事な話しです」「 俺に?」「いや 2人とも と言ったほうがいいかな?」
「なんでしょう?」「実は 変な事を聞きまして 」「はい」
平田警部が話したことは2つ 2年前におきた高知県での山奥での傷害事件 それを俺に「知ってますか?」という 「そんな事件知りません」といったが あれは確か中村高志という奴だが 警察に駆け込んだのだろうか? 地方紙にでも出たのかもしれないが 大した事でもなかったので 全国紙しかチェックしなかったな~ などど考えていた。 そしてライアンに「下田早苗 ライアン知ってるよな?」「・・・・」
すぐにブラッフだと想ったが ライアンに言う訳にもいかずに黙っていると
「地下の関係者用のエレベーターに ライアンと下田早苗 2人が乗り込んだのを見た人が居るんだ 下田早苗 行方不明なんだが ライアン どこに居る?」「知るわけないだろう そんな女」「ほう」
「見たって奴を連れて来い それとも逮捕状でもあるのか?」「ほう 逮捕状ね~」
ライアン 話しに乗るな と目で合図するが ライアンの奴 平田をなめきっている 間を見て「お茶でも入れます なんかややこしい話しのようだから」とキッチンに行って さてどうするか? やかんを火にかけ 急須や湯飲みを用意していたときに カタカタッと湯のみが揺れた・・・・・かと想ったらガタガタガタ っと 地震だ それもかなり大きい トレーごと湯飲みが落ちて割れ 自分もシンクに捕まった ガタガタ 揺れが長く かなりでかい
部屋のあちこちで 物が倒れたり 割れる音が響く とその時「ヨハン 大丈夫か?」「ああ そっちは?」「かなり大きかったな 外を見てくる」と ライアンが事務所のドアから飛び出した ガスの火は自動消化ですでに消えている・
事務所に戻ると平田警部が驚いた目で俺を見ている「大丈夫ですか? 怪我・・してないですよね?」というと 「ヨハンってお前か? お前ヨハンっていうのか?」「???」
デスクに座り セキュリティーシステムをチェックした 異常なし エレベータやオートロック 火災警報も異常なし 緊急時のラジオを付け ついでにテレビも付けた 地震の第1報 ウェザーニュースが入った
東北地方で地震が発生した模様です 東北地方で地震が発生 推定される最大震度は5弱 マグニチュード7,7 震源地は三陸沖 震源の深さは10Kと推測されます
地震の規模 発生の場所から津波の発生の可能性が考えられます
海岸付近のかたは 直ちに海岸から離れるようにしてください
マグニチュードが上がりました マグニチュードは7,9 最大震度は5強 5強です
津波の発生の可能性があります マグニチュード上がりました マグニチュード8です
マグニチュード8 このビルの前の建物も揺れています ゆれています
慌てて外へ飛び出さないようにしてください
はい 震度でました 最大震度は6強 6強です
6強を観測したエリア 宮城県北部 宮城県中部 6弱を観測したエリア岩手県内陸北部 岩手県沿岸南部 ・・・・震度が上がりました 宮城県北部 震度7 震度7です・・・・・・・
チャンネルを変えてみる
先ほどの地震 23区 震度5強 震度5強と訂正されました
スタジオでも只今揺れを感じています 小刻みに揺れている感じです。
これからも強くなる事も予想されます 落下物から頭部を守るなど 身の安全を図ってください みなさん 落ち着いて行動してください。。
大津波警報が発表されました 津波警報が発表された地域 岩手県 福島県 宮城県
大津波警報が発表されました 海岸付近の方はただちに高台に避難してください
高台のない地域は 3階以上の丈夫な建物に避難してください
大津波警報が出ました
「ちょっとあんた ここで電話を取ってくれ 一人暮らしのお年寄りの部屋を見てくる」言って飛び出した 「おい おい」刑事の声を背中で聞きながら 記憶を起こして312号室 402 711 と駆けた どこもだいたい食器が割れたくらいでけが人は居ないようだ
普段から気にしている老人の部屋は一通り声をかけたつもりだ それでも最初の地震から1時間が経っていたが まだ時々余震が続いている。
そうだ とライアンに電話してみたが携帯が繋がらなくなっていた
1Fの事務所に帰ると ライアンも戻っていてテレビにかじりついている
どうやら東北地方太平洋沿岸に津波がきてるようだが 情報が出るたびに被害がどんどん大きくなっていく
「ライアン 白河町の周りはどうだった?」「ああ ファミマなんか商品が落ちたりしてるが けが人は今のところないようだ」「部屋から医薬品を持ってくるよ ここで住民から何かあった時の連絡を待っててくれ」テレビを見てたライアンが「ヨハン 都内の電車が全て止まったらしい」「そうか」 エレベーターに急ごうとすると 平田刑事がまた「お前がヨハンってどう言うことだ?」「こんな時に何言ってんですか? フィリピンのおじいさんが付けてくれた俺の名前ですよ」と言ってからエレベーターに乗り込んだ
帰宅時間になってもJRも メトロも動かない 携帯も使えないまま余震だけが続いている 以前から言われていた 帰宅難民が大量にでて 都内の交通網は渋滞で動かなくなったとテレビで言っている
白河マンションも清洲橋通りに面していて 江戸川 千葉方面に歩いて帰るサラリーマンの流れがはじまっていた
「ライアン 1Fを開放しよう 娯楽ルームにありったけの毛布と非常食を用意してくれ ゲストルームの3部屋も自由に使えるように見てきてくれ 刑事さん字は書けますか?」「ああ 書道は6段だが」 「じゃ このダンボールに (避難所) と書いてください できるだけ大きく 5枚くらい 」「よし」「それを通りに立てておいてください」 「ああ わかった」
それから深夜まで 日本橋方面から清洲橋を渡って自宅に向かって歩く人々が 白河マンションに寄ってしばしの休憩をとったり そのまま毛布をかぶって朝を待ったりした。
白河町内会からも多くの人が入れ替わり立ち代って手伝いにきてくれ
白河マンションの住人も 歩いて帰宅すると1Fの人々に先ず驚いて見せるが 家に帰って食料や毛布などを持って戻ってきてくれたり そのままボランティアに参加したりと 日本人の心に感動さえ覚える
そしてそれぞれに炊飯器や鍋を持ちよってきた 帰宅難民の中からも 料理の出来る人たちが 自主的にご飯を炊いておにぎりを配ったり お年寄りにお茶をだしたりして夜を過ごした。
開けて12日 AM6:35 娯楽ルームでは昨夜からつけっぱなしのテレビを みんなが食い入るようにみている
東北地方沿岸部はビルの3Fまでも津波に飲まれ壊滅状態だ
死者 行方不明者が1時間ごとに更新され 100人単位で増えていく
テレビを通して見ていると 世紀末のような様相で どのくらいの被害者が出たのか想像さえできない。
夜が明けて電車が動き出すと みんなはひきずるように自宅へと帰っていった。
昼頃になってやっと一息ついた すると平田警部が「あんた達 なんでこんな事をするんだ?」「えっ?」「・・・昨日からの人助けだよ」
「ああ 想ってしまったからだよ」「??想った?」
「ああ 地震の後 電車が止まった 帰宅できない人たちが何時間も歩いて帰ろうとするだろう コンビニの水や食料もすぐに売り切れた 食料 水 休憩 ここでならなんとかなりそうだ って 想ってしまったからだ」
「それがどうした? そんな事はこの辺の人なら皆が想うだろう ここは都心に近いからな しかしみんなやらない 面倒だからだ しかしあんたはやった 昨日から一緒に居たからわかるが 5~600人の人間がここで一休みしただろう はっきり言ってそんな優しい人間じゃないだろ?あんたら?」
「陽明学って知ってるか?」「陽明学? 宗教か?」 「知らなきゃいいや あんたが言うように 俺はろくな奴じゃない しかし陽明学徒として生きるのがただ1つの俺の支えなんだ だから昨日からのことも 親切心ではない ただ やらなければと想ってしまっただけだ」 「オウム真理教みたいなやつか?」 「どうでもいい 俺は少し寝る」と言って管理人室に行きかけると
「待て ヨハンって なんでだ?お前がパソコンのヨハンか?」と平田警部が聞く
「ヨハンがどうしたって? そんな事こんな時に なんの意味があるんだよ」ライアンが怒って言った そう言えば昨日から 平田警部は その名前をやけにこだわってるなと 思い出したが 疲れきっていたのか毛布に包まるとスッと意識がなくなった。
2011 3月14日
新宿署4Fの刑事課のデスクで 35年間の警察生活の終わりを後2日残して 平田順次警部補はノートを広げて考えていた。
ライアンは起訴できる 証人も居るから公判も維持できるだろう ライアンの自供によって高杉英樹 ヨハンも逮捕できる
公判には警視庁を退職してて出られないが 裁判を見物する時間は嫌というほど出きるだろう。 これから書類を書いて 裁判所に持って行けば 今夜中には逮捕できるはずだ。
テレビではあれからずっと 東日本大震災のニュースばかりだ 3月11日 午後2時46分 1000年に1度と言われる 震度9という大地震 3日経った今日も どんどん死者が増えていく いったいこの日本は どうなってしまうのか。
画面を見ていると柄にもなく涙が流れてきた
疲れた 今日は早く帰ろう。 家へ
「おかえりなさい 珍しく早いわねこんな明るい時間に 何かあったの?」
「いや 明日で最後なのに 寒気がするから帰ってきたよ」
「まあまあ それも珍しいわね お布団敷きますか?」
「いや それほどでもない それより1本つけてくれ 風呂も入るからな」
「は~~い」
今時珍しいと孫にも言われるコタツにはいって テレビをつけた
相変わらず震災関連のニュースばかりで テレビ局のスタジオと被災地での実況中継が続いていた。
(はい こちら南三陸町の災害現場です ごらんのとおり 町は全て津波に破壊されて瓦礫の山になっています 今も後ろでこのように 地元の方やボランティアの人たちが救出活動を続けています)
「何が救出だ・・・もう死体だろう・・」「は~い 何か言いました?お父さん?」
「いや なんでもない」
(では ボランティアの人に聞いてみます どちらから来ましたか?)
(・・・・・・・)
(はい ではスタジオにマイクをお返ししま~~す)
「 ライアン 高杉・・・」
今 見えたボランティアは 確かに高杉英樹とライアンだった どうして?
(はい ではここで 宮城県南三陸町の防災対策庁舎で勤務していた町の職員 遠藤未希さんの 震災の時の実際の声が入りました お聞きください)
ファ~~ン ファ~~ン 「逃げてください 逃げてください 現在 大津波が押し寄せています ただちに高台へ避難してください 早く 早く 早く高台へ逃げてくだださい 」
(迫る津波の中で 最後まで避難を呼びかけ続ける遠藤未希さんの声です 極限の正義 究極の人間愛とでも申しましょうか・・・・
チャンネルを回してみた どのチャンネルも東日本大震災の悲惨な映像が流れているが
もう 高杉英樹とライアンの姿は無かった
「虐待か・・・・・」 「えっ 何ですか?」
「ああ お前 幼児虐待について どう想う?」
「私の孫に怪我でもさせたら 私がそいつを殺しますよ わが子でも許しません 」
「おいおい」
「当たり前でしょ 」
「そうなのか・・」
ある意味あいつらも とくにもならない事を 何故命がけでやってたのか?・・
この瓦礫のなかで 泥だらけになりながら救助活動してる行動も 陽明学なのか?
「明後日は 俺も退職だ 」
もう・・・・ いいか・・・
「おとうさん お酒 おつぎしましょうか」
「ああ そうだな ありがとう」
「ありがとうなんて 何十年ぶりにお父さんから聞いたわ」おほほほ
「そうかな?」
「そうですよ」
チャンネルを回すと
「早く 早く 早く 早く逃げてください 現在 大津波が押し寄せています 早く 早く 早く高台へ・・・・・・・・・
天使の声が 津波に呑まれる家々の中に まだ 響いていた
2011 3 11 東日本大震災の被害者の方々に 御冥福をお祈りいたします
そして 遠藤未希さんに 日本人としての真心を誇りに想います




