第三十羽
何が起こったのか、全く持って把握できなかった。
これがもし三人称で語られる物語なら、何が起こったのか、そして、何が起こっているのか詳細が語られたのかもしれないが、兎も角、結果的に俺は神社の外に出ていた。
そして、なんとか理解できていることは、今現在、『神に最も近い仙人』と、『神』が、超次元的な戦闘を繰り広げているということだ。
もうとっくに『七愚人』と『仙人候補』はどこかへ非難している。
俺だけ取り残され、動けない状況だった。
動こうとは思えなかったけど。
コンマ1秒ごとに、山が削れていく、抉れていく。
世界が、壊れていく。
「アハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!」
突然響いた哄笑。
おそらく、千里のもの。
「もういいよ! もういいや! 全部壊してやる! 神聖が私のものにならないんだったら! 全部全部全部! 壊してやる!」
姿は見えずに、声だけ聞こえる。
ヤンデレ萌え。
いやいやいや、そんな場合じゃない。
どうする、何か俺にできることはないのか?
……うん、ないな。
もう現実逃避するしかないか、と思った矢先、またも視界がぶれた。
気が付くと、そこは何処かの岩陰。
千里に連れ去られたか……と思ったら、俺を抱えているのは、血塗れになった母さんだった。
……母さんの血、初めて見たな。
「ハァ……ハァ……しんちゃん、時間が無い、良く聞け」
「お、おう」
「やっぱ無理だわ、ハァ……神様には、人間じゃ敵わねえ」
……じゃあ、やっぱ。
俺一人が死んで、神様になってたほうが、よかったかな。
「後悔すんな、って言ったろ?」
「……っ、でも……」
「安心しろ、手はある」
「え……」
「今からアタシの能力の全てをお前に譲渡する」
……な。
「――そんなことが、できるのか?」
「ああ、時間が無い、急ぐぞ」
グイ、と腰に手を回され、引き寄せられた。
顔が、近い。
「いいか? まず最初に脳みその処理能力をン億倍以上に跳ね上げろ、そうしないと、脳がパンクして死ぬ」
「わ、わかった」
「じゃあ、行くぞ」
その言葉を合図に、母さんの唇と、俺の唇が、触れた。
ふぁ、ファーストキスがぁあああああああああ!
とか言ってる暇も無く、唇から『力』が流れてくる。
そして、圧倒的『情報量』もももおっもももももおjふぉ;jが;じぇふぁんdふぁhg;へhふぁcfんbvhぼえwyghふぁjkcんは;g処ふぁghgh;gじゃgggんv;あえうgyわpくぁ@いgkvながはlgm理能力ghjンヴぁl;FHヴぁフェアlgghbvガvklfh場gをっををおをををっをgかふぁ1000000000000000000000000000000あgじゃbn倍ににいににいいいjにいいいいあいg;vなgvじゃげvmkかl。ふぇhげvvんかっげgvなfヴぇんヴぁあがggvがjがgんヵんvlgへwなvksんlkvなwんgvlげあんj
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「――――俺の」
鼻血を拭い、立ち上がる。
目の前には生気の無い瞳をした、愛しい人――否、神。
「ありとあらゆるメリットに働く能力とスペックを」
その瞳を、真正面から受け止めつつ、俺は、母から受け取った、能力を発動する。
「愛間千里の2倍にする!」
宣言した途端、俺は赤い光に包まれた。
身体中に力がめぐり、身体が軽くなる。
今なら、何でもできそうだ。
「――あは」
千里は、笑った。
嬉しそうに、笑った。
「神様になっちゃったね、神聖」
「…………」
今なら分かる。神様の意味。
神様というのは、人間が持てる限界を越えた力を持つ人間を指す言葉。
強すぎる力は世界に悪影響を起こす。
だから、一定以上の力を持った人間は、神様に成ってしまう。
神様である千里の力の2倍の力を得た今の俺は、紛れもなく神様だろう。
「ああ――けど、後悔はしていない」
後悔なんて、してたまるか。
「羽切にしてやんよ、千里」
「――あはっ」
千里は、より一層、笑みを深めた。
「それって、結婚してくれるって意味かな」
「モチのロンだ」
そして、俺は千里に近づき、抱きしめる。
千里は、抵抗せずに、俺の腕の中に収まった。
「千里」
「何? 神聖」
「結婚しよう」
「喜んで」
「――人間として、な」
え――、と千里が何か反応する前に、俺は、能力を発動させた。
おそらくこれで使うのは最後になるであろう、能力を。
「羽切神聖と、愛間千里の、一般人クラスの能力とスペック以外を――0倍に――!」
青い光が、俺たちを包み込む。
その日、一つの、恋が成就した。
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