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カンボジァ  作者: 高橋美雪(たかはし はるき)
出発前
4/33

ー004ー父親許可

こんにちは、エリカです。

まだまだカンボジアには到着しそうにありません。

カンボジア国内のお話から読みたい方は

<00>に飛んでください。

私は、帰り道の電車の中で、中学校の卒業式からのことを思い出していた。

当時、私は、商業高校進学が決まっていた。

高校卒業、就職、社内恋愛、22歳で、職場結婚、寿退社。そんな夢にあふれた中学生だった。

国内旅行は好きだったけれど、海外旅行には全く興味が持てなかった。英語はBe動詞でつまずいたし、嫌いだったのが1番大きな原因だと思う。

日本に来た人が日本語を話せばいいんだから、日本から出ない私に英語は必要ないと思っていた。

卒業式の日、仲が良かった校長先生を見つけて、写真を一緒に取ろうとかけよった。

写真を取り終わった後「先生元気でねー。」と去ろうとする私の腕を、校長先生はそっとつかんで言った。

「なぁ、世界は広い。高校へ行っても、大学という選択肢は捨ててくれるな。もし、大学に行けたなら、1度でいい。必ず在学中に海外旅行をしろ。」

そう言って、私の返事を待たずに、私の体をくるりと校門の方に向けて、

「ほら、もう行きなさい。」

と、私は背中を押されて、中学校を卒業した。

その後、高校では、大学進学なんて選択肢は捨てていたが、就職難のため、そして「大学生したかったな。」という母親の一言もあり、高校3年の10月、私は大学へ進学を決意した。言いたいことは分かる。この頃から、Be動詞を勉強していては、受験勉強なんか、間に合うわけがない。

それでも道は開けた。推薦っちゃスゴいね。Be動詞が分からなくても大学に行けちゃうんだもん。

そして、大学生となった私は、うちの大学の特色からか、週に2度の日本語が分からない、外国人英語講師の授業のおかげで、英語よ消えろとは思わなくなっていた。

しかし、海外旅行を1度もしないまま、卒業を迎えそうだった。

そこに、ふって湧いたこのチャンス。きっと運命だ!天命だ!

絶対絶対、カンボジアに行く!そう思い家路までの自転車をこいだ。

私は家についた時には、大興奮だった。

母は反対するだろうが、父さえ落とせばカンボジアに行ける。

ロシアがソ連と呼ばれていた頃、ソ連にいた父。私が中学生の頃、アメリカにいた父。勝算あり。父に話すと、目をつむって考えたのち「もう22歳だもんな。好きなようにしなさい。」と言ってくれた。父が許可すれば、母は何も言わない。ぐっとこらえる。

やった!!私はカンボジアに行ける。


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