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カンボジァ  作者: 高橋美雪(たかはし はるき)
2日めっ
31/33

−030−言語

恰幅の良い色白のオジサマとオバサマがTシャツ姿で

立っている。


最上階ドアの先には外国人


一句読めるほどの間の後、

オジサマは、手で「どうぞ」という仕草をしてくれた。

うぉぉぉおお。紳士!!

ちょっと感動したが、

違うのだ。私は下に下りたいのだ。

こんな最上階に用は無い。

でも、それをどう伝えたらよいのだろうか…。

Be動詞で躓いて以来、英語は捨てて、今まで生きてきた私。

さぁどうする。

困り顔のチワワの顔が浮かぶ。

エレベータから降りない私を不振に思う夫婦。

そして、この時ばかりは、エレベータも閉まってくれない。

ちくしょう。気分屋のエレベータめ!!

こんなとき、何て言ったら良いのだろうか…。

悩んだ末、出てきた一言は!!


「へるぷ・みぃ。」


驚くほど何も解決してない。

むしろ悪化。


「へるぷ・みぃ。」

私の知っている助けを乞う言葉は、実際には何も役に立たないことを実感した瞬間だった。

さて、どうしたらいいものか。

オジサマとオバサマも助けて欲しいのは分かったようだが、何をどう助けてよいものやら。

いっそドアよ閉まってくれと思うほどの気まずい沈黙が流れる。

オジサマはエレベータの外についている「下」ボタンを押してドアを開けてくれている。

ぽくぽくぽく(○休さん風)

私は、エレベータについている、鍵の差込口を指で叩いた。

オジサマとオバサマはエレベータに乗り込み「あぁ。分かった。」という反応をしてくれた。

そして、鍵を差し込んで、エレベータのボタンを、「さぁ選んで」という感じで、上からサッとなぞった。

私は「G」を選んだ。

エレベータの中は少し狭かったけれど、「G」のフロアまで…友達にいる階まで無事到着できた。

こうして、やっと、ふりだしに戻ることができた。

ふりだしに戻ることは大変である。

そして、ふりだしに戻れることが、こんなに嬉しいことだとは、思わなかった。

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