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カンボジァ  作者: 高橋美雪(たかはし はるき)
1日めっ
17/33

ー016ー搭乗時間

セキュリティチェックを通りぬけようとしたら、当然捕まった。

私達の出発1ヶ月前頃から、液体は袋の中に入れる規定が始まったか、始まるかの分かれ目だったのだ。

聞いてはいたが、よく分からないので、何もせず通過しようとしたのだ。

ドロップは何も言われなかったのに。

言われるがままカバンの中を探すが分からぬ。

早口で分からぬよ。

担当がお姉さんだったため、そしてカバンを2つ持っており、貴重品の入ったカバンについては何も言われなかったため、

「すみません、貴重品はこっちに入ってるので、カバンの中を自由に触ってください。」

とお願いして、化粧水や乳液など袋につめるものを、実演してもらった。

出国手続きが終わると、姉さんと、なっちゃんは、ちょっと見てくるとどこかへ行った。

「高橋さんは免税行かないの?」

高木先生に声をかけられた。

「買い物ですか?いいです。」

免税とやらが何か分からないが、買い物には興味が無い。

「じゃ、出発前に高橋さん集合で。」

先生は、そう言い残して去って行った。

出発までゲートの前で待つには良いが、ゲートの前のイスはすでに満席だった。

出発20分前だもんな。

壁際に寄って立っていると、佐藤君がやってきた。

「席いっぱいですね。」

「ここに座ったら、怒られちゃうかな。」

「怒られたら立ちましょう。」

と、佐藤君は壁際の床に座った。

私も横にちょこんと体育座りで座った。

高校生の頃、学校の中の廊下や駅のホームで座ったもんだ。さすがにトイレの前に座る勇気は無かったが。

「高校生みたい、懐かしい。」

と笑うと私が笑うと

「僕も座ってました。懐かしくていいですね。」

と佐藤君が笑う。

幸せ。

この間、2〜3分。すぐに全員が集合して、床に横一列で座った。

搭乗手続きが開始されたのだ。

長い列ができている。

でも先生は来ない。先生に見つかったら怒られるかな…と立ち上がることを考えはじめた頃

「あなたたち、こんな所に居たの。」

と先生が笑いながら、やってきた。

「写真をとるから、ちょっと待って。」

と、写真をとったあと

「立ちなさい。いくわよ。」

と、短くなった列に並んだ。

佐藤君がさっと立ち上がると、姉さんが手を伸ばした。

「立たせて。」

なっちゃんも手を伸ばす。

「私も。」

これは!!

「私も。」

私も手を出した。

佐藤君が苦笑いしながら、姉さん、なっちゃん、私の順番に佐藤君が引っ張って立ち上がらせた。

失恋したら楽しくないとか、そんなことはないからね。

泣くばかりが失恋じゃなかっ!!

なので、私は佐藤君の後ろについて搭乗を待つ列に向かって歩いた。

列の前まで来ると、佐藤君が気を利かせてくれて

「どうぞ。」

と、私を前に入れてくれた。

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