—009ー予防接種
カンボジアに行くには予防接種が必要らしい。
予防接種!?
知ってたら、カンボジアになんて行かなかった!!
この間だって、病院で採血される時に、弟から「姉ちゃん、大丈夫だから、すぐ終わるから」ってエールをもらいながら、
涙目で採血したのに。
行きたくないぃぃい。
なっちゃんに引っ張られながら姉さんと3人で病院に行った。
「私だって、イヤよ!!」
と、なっちゃんに喝を入れられた。
『なっちゃんと、姉さん』は友達なのかな?
『なっちゃんと、私』と同じくらいの付き合いだった。
それともう一つ、羨ましいことがある。
カンボジアに行くにあたり、カッコイィ男の子が1人いるのだ。
佐藤君というらしい。姉さんがそう呼んでいた。
その『佐藤君と、姉さん』も知り合いのようだった。
羨ましい。お近づきになりたい。でも、私は人見知り。
ついでに言うと、その3組は、お互いが参加を確認したわけではない。
研修に行って『なっちゃんと姉さん』『姉さんと佐藤君』が「あら。」と出会ったのだ。
さて、注射。
姉さんが
「私注射嫌いだから、最初がいい」
と、素敵な女っぷりを見せた。
なっちゃんも「イヤだー」と言いながら2番目に並んだ。
私は
「注射嫌いだから、最後がいい」
と、へっぴりごし。
とはいえ、何人もの看護士さん?が、どんどん打っていく。順番もどんどん進む。
素敵な女っぷりだった、姉さんが
「痛い?痛いよね…。」と看護士さんに話しかけている。
インフルエンザ注射程度の痛さらしい。
受けたことがないので、どんな痛さか分からない。
すぐに、なっちゃんも呼ばれ、私も注射の台に呼ばれた。
目が涙目になる。
「あら、注射苦手なのね。」
と看護士さんに笑われる。
うなずくのが精一杯。
「日頃、子どもの患者さんにしてあげることなんだけどね。」
と、私の腕を看護士さんが、私の腕を指で押している。
「いちにのさんで刺すからね。」
私が看護士さんの目を、じっと見た瞬間
「えい。」
看護士さんが注射した。
衝撃で声にならない。
いちもにもさんも言ってない!!
注射が終わればこっちのもん。
簡単に元気になる。
うへへへへ。
終わった、終わった。カンボジアに行ける。
寒いーー!と叫びながら、帰った。