表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/4

プロローグ、、、伝え聞く噂


 人間も魔族も、理由をつけては群れ、徒党を組み、争いを繰り返す。


 しかし現魔王は、群れるのを好まない存在だったらしい。


 配下を引き連れ、軍勢を率い、血で大地を染める……。

 そういう類の魔王では、もともとなかったという。


 強大な力を持ちながらも、それを無闇に振るうことはない。

 近づかなければ害はなく、干渉しなければ城からも出てこない。


 そんな、どこか拍子抜けする魔王だと語る者もいる。




 そして最近、各地を旅する商人や吟遊詩人の間で、妙な噂が流れている。


 今から十年ほど前……。

 人間同士の戦争で一つの国が滅びた。


 王城は廃墟となり、一度は地図からも消えかけていた場所だ。 


 そして、誰も居なくなったその地を魔王がねじろにしたのは、 侵略のためではなく「静かでちょうどよかったから」だという話だ。

 


 そこで、ひとつ奇妙な出来事があったらしい。


 王城の瓦礫の下から、人間の子供が見つかったのだ。

 魔王は死にかけていた人間の子どもを拾い上げ、しばらく城に置いていたそうだ。


 理由はわからない。

 噂では魔王の気まぐれだったとされている。


 ――だが、魔王のその気まぐれが、十年後に返ってきた。


 これを『運命』だと語る者もいる……。



 魔王が救った少年は成長し、勇者を討ち倒し、魔王城へ再び舞い戻った。

 そして、伴侶として迎えて欲しいと魔王に告げたらしい。


 結果、魔王はその求婚を受け入れた。


 なぜ魔王が頷いたのか……。

 その真実を知る者は、当事者だけだ。


 ただ、噂ではこうも囁かれている。


 今ではその国も、かつて地図から消えかけたとは思えないほど発展し、魔王が治めているとは思えないほど賑やかに栄えているらしい。


 そして魔王城からは常に笑い声が聞こえるだとか、そんな話まで出回っている。


 真偽は定かではない。


 だが、商人達の間では「あの国は、頻繁に内乱が起こっていた以前とは打って変わって、治安も良くなり安心して取引ができる」という結論で、噂は落ち着きつつある。


 魔王の気まぐれが、世界を変えたのか。

 それとも、世界が魔王を変えたのか。



 その答えを知る者は、今もあの玉座に座る魔王と隣に立つ者だけなのだろう。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ