56話 悪党を釣り上げよう
「へへ」
複数の男がニヤニヤと下品な笑みを浮かべつつ、クロードとシオン、そしてナナの後をつけていた。
彼らに与えられた命令は一つ。
ナナをさらうこと。
そのために多額の金銭を報酬として得た。
これは前金で、成功すればさらに倍額がもらえる予定だ。
笑いが止まらないのだけど……
金だけが理由ではない。
ターゲットの近くに二人の男女がいた。
男は若い青年で、しっかりとした体。
女はダークエルフで、思わず貪り尽きたくなるような体をしている。
女は自分達で楽しんで。
男は奴隷として売る。
楽しみがニ倍だ。
……なんて、下衆なことを考えていた男達だった。
その欲望を満たすため。
快楽の未来を得るために、いざ実行に……
「あん?」
ふと、男が別行動を取る。
ナナとダークエルフの女に挨拶をして、一人、別の道を進む。
なにかしらの用事があるのか。
それとも、ここで別行動を取る予定になっていたのか。
そのようなことは聞いていないが……
どちらにしても好都合だ。
ごろつきを束ねる男がニヤリと笑う。
「おい。お前とお前、今行った男をやってこい。二人なら十分だろ?」
「うっす」
「殺しますか?」
「ばかやろう。殺しは処理が面倒だって、何度言ったらわかるんだ。まあ、最悪、エルネスト様に頼めばなんとかなるが……殺しは最後の手段だ。できるだけ殺すな。それに、あれはあれで、売れば良い値がつくだろうさ」
「ってことは、ボスはガキと女の方を?」
「そいつはずるくないっすか? どうせ、いつものように楽しむんでしょう?」
「ガキは俺の趣味じゃねえが、女は極上だからな」
男が笑い。
その取り巻き達も下卑た笑みを浮かべた。
「ま、ちゃんとお前らも待っててやるよ。使い古しになるのは諦めてくれ」
「ボスはずるいなぁ」
「でも、俺は使い古しでもいいぜ? ってか、そっちの方が興奮するわ」
「うわ、マジかよ」
男達が一同に笑う。
とても醜悪で、汚れていて。
しかし、本人達はそれがどうしたと開き直っている様子で、息を吸うような感覚で悪事に手を染めていく。
――――――――――
「確かこっちだよな?」
「ああ、この道を進んでいった」
クロードを追いかけるごろつき二人は、道を確認しつつ先を進む。
人気のない細い路地だ。
区画整備が進んでいない地域らしく、道は複雑で、物があふれて煩雑としている。
陽射しがほとんど差し込まず、昼なのに夜のように暗い。
じめっとした空気。
視界の端で虫が動いていた。
「ちっ、こんなところになんの用なんだ、あの男」
「さあな。こんなところにろくな奴はいないだろうから、そういう店に用があるんじゃないか?」
「純粋そうな顔をして、裏ではやることやっている、ってわけか」
「ま、あんなダークエルフを側に置いておいてなにもない、ってのはねえだろ」
「違いねえ、ははは!」
男達は下品な笑い声を響かせて。
自分達が追跡者であることを簡単に忘れて。
……だから、それに気づくことができない。
「……」
ごろつき達の後ろに近づいていく影。
二人はそれに気づいた様子はなくて……
「がっ!?」
「ぐぅ……!?」
それぞれ一撃を食らい、昏倒した。
急所を狙った的確な一撃……というわけではないのだが。
しかし、強烈な力が込められているため、まともに耐えることは難しい。
そして、それを成し遂げたのは……
「よし、うまくいった」
クロードだった。
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