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52話 秘密の依頼

 俺とシオンは、再びイングリッド家のお世話になることにした。


 連日、部屋を提供してもらうなんて申しわけないのだけど……

 ナナも、ナナの両親も歓迎してくれて。


 あと、ついつい観光に夢中になってしまったせいで、宿を取りそこねてしまった。


 あまり甘えるわけにはいかないのだけど……

 今日もイングリッド家に泊まることに。


 ……その夜。


「すまないね、急に呼び出したりして」

「来てくれてありがとう」


 俺とシオンは、ナナの両親が待つ客間へ。


 夕食の後、なにやら話がしたいと言われた。

 ナナには内緒。

 いったい、どんな話だろう?


 その前に……


「昨日と今日、泊めてくれてありがとうございます」

「なに、気にすることはないよ。娘の恩人なのだから、困っていることがあれば力になりたい」

「このまま、しばらく泊まってもいいんですよ?」

「いえ、さすがにそれは」


 優しい両親だな。

 こんな人達だから、ナナは、優しい子に育ったんだろう。


「……今からする話は、ナナには内緒にしてほしい」

「わかりました」


 俺とシオンはしっかりと頷いた。


「失礼だが、君達のことは調べさせてもらった」


 当然のことだ。

 娘の恩人だとしても、実はよからぬことを……というパターンはたまに聞く。


 貴族ならなおさら。

 相手のことを調べるのは当たり前のことだろう。


「娘の言う通り、誠実な人柄で……しかも、それだけではなくて、かなりの腕を持つ冒険者なのだね?」

「そんな。俺なんて、大したことはなくて……」

「はい。ご主人様は、とても素晴らしい冒険者です!」


 なぜか、シオンが誇らしげに答えた。


 シオンからの評価が過大な気がしてならない。

 どこかのタイミングで修正したいのだけど、なかなかどうして。


「聞くところによると、リヴァイアサンを倒したとか……本当かね?」

「えっと……はい、一応。ただ、あれはみんなで協力したことで……」

「ご主人様あってこその討伐です」


 シオン?

 恥ずかしいから、自慢そうに話すのはやめてくれないかな?


「すまないね。確認はとれているのだが、念の為、本人の口から聞きたくて」

「私はあまり詳しくないのですが、とても凶暴な魔物だとか。そのような相手の討伐を成し遂げるなんて、二人は素晴らしい冒険者なのですね」

「いえ、そんな……」

「……そんな君達に依頼をしたい」


 ある程度、予想はしていたものの……

 やっぱり、二人は冒険者である俺達に用があるみたいだ。


「この依頼は、ナナには秘密にしてほしい」

「ということは……ナナに関することですか?」

「うむ」


 父親は苦悩の表情で語る。


「実は……ナナは、厄介な男に狙われていてな」

「それはもしかして、エルネスト・ルアという貴族の方なのでしょうか?」


 シオンの問いかけに、ナナの両親は揃って頷いた。


 怒りと疲れ。

 その両方が見えて、深く悩まされていることがわかった。


「事情は知っているのかな?」

「軽くですが」

「なら話は早い。どういうわけか、ルアは娘に執心していてね……何度も何度も妻に迎えたいと言ってきている。あの男は……まあ、陰口に聞こえるかもしれないが、良い夫になるとは思えない男でね。娘をやるわけにはいかない。ナナも、そのようなことは望んでいないからね」

「私達は何度もルアの要求をはねのけているのですが、諦めてくれず……それどころか、最近は、裏でなにか妙な動きを見せている様子」


 そういえば……


 ナナと出会った時、彼女はナンパをされていた。

 やや強引に思えたけど……


 もしかして、あのまま放置されていたら、連れ去られていた?


「確証はない。ただ、どうにも嫌な予感がしてね……だから、密かに娘を護衛してくれないだろうか?」

「本人に内緒で護衛というのは、とても大変だと思いますが、あの子に余計な心労をかけたくなくて……」


 夫妻はすがるような感じで、じっとこちらを見つめてきた。

 二人もまた、けっこうなところまで追い詰められているのだろう。


 ナナは貴族だけど、友達のように思っている。

 そんな友達が困っているのなら助けたい。


 ただ……


 俺達は旅の途中。

 寄り道をすればするほど、北への移動が遅れてしまう。

 そのことについてシオンは……


「ご主人様」


 俺の心を読んでいるかのように、シオンが微笑む。


「どうか私のことは気になさらないでください」

「……シオン……」

「私のことを考えていただけるのは、とても嬉しく思います。ただ、そのせいでご主人様が本当にしたいことをできないというのは、悲しく思います。ですから、どうぞ、自らの思う心に素直になってください」

「……うん、ありがとう」


 シオンと出会うことができてよかった。

 今、心の底からそう思う。


「その依頼、請けます」

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◇◆◇ 新作はじめました ◇◆◇
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