第9話(1)またまたまたまたまた悩む
9
久々に名乗っておくとわたしの名前は最寄田静香。16歳。この春から高校二年生だ。
さて、つい先日、『新宿オルタナティブ学園』の二年生に晴れて進級して約一ヶ月……なんとも驚くべきことがあった。学園名変更ではない、残念ながら。
……イケメン5人とお知り合いになったのだ。いやいや、断じて自慢ではない。憂鬱な学生生活を送っている方々にマウントを取っているわけではない。自慢でなければなんだというのか? ……自虐だろうか。簡単に振り返ってみると、わたしには突発的に人一倍強い霊感が備わっていて、選ばれし存在で、運命的な勇者で、スペースポリスマンの適性が高く、エクソシストとして特異な素質を持っているそうだ。……いや、何を言っているのだと思われるのもよく分かる。わたし自身もまったく同じような気持ちだからだ。今でも夢なんじゃないかと思う。というか夢であって欲しい。五日間連続でイケメンに声をかけられる夢を見るというのもなんらかの治療が必要な気もするが……。
この春になってから、わたしには肩書が増えた。華のJK2年生だけではなく、祓い屋兼スーパーヒロイン兼勇者兼スペースポリスマン兼エクソシストだ。名刺でも作ろうかなと思う今日この頃だ。ちなみにスペースポリスマンの際のコードネームは、『サイレンス=シズカ』だ。もう色々と逃げ出したくなるような気持ちだ。とはいっても、逃げるわけにもいかない。何故ならば、この新宿オルタナティブ学園は、アクセス抜群の環境だからだ。新宿駅から徒歩一分というのは、何物にも代えがたい。人よりもはるかに通学のストレスがかからない。これで文句を言っていたら罰が当たる――もう当たっているようなきもするが――よって、わたしはドロップアウトせずに踏みとどまっている。
しかしだ、土曜日に通学しなくてはならないというのは、ちょっとどうかと思う。学園側の都合とはいえ、重要な要件は平日に済ませておいて欲しいものだ。だが、内申点とかが気になるお年頃だ。欠席するわけにもいかない。ぶつくさと文句を言いながらも、今日もわたしは学園の門をくぐる。……皆もちゃんと来ているな、当たり前といえば当たり前なのだけれど。真面目だな。ここで差をつけたいところだったがそうもいかないか……ん?
「……」
何やら校舎前がざわざわしているな……。平和に過ごしたいところなのだが……む?
「ああ、やっと会えた……ターゲットとの接触に成功」
短く整えられた髪を紫色というかヴァイオレット色に染めた男性というか、少年がわたしを見つけて、ぶつぶつと呟きながら声をかけてきた。
「ど、どなたさまでしょうか……?」
わたしは困惑気味に応じる。新年度約二か月目、またしても予想外の幕開けだ。
お読み頂いてありがとうございます。
感想、レビュー、ブクマ、評価、お待ちしています。




