【実在証明】現実を知った、そのあと。
サンタはいる。
いるのは、いる。
たとえ、幼稚園児の枕元に百円程度の十二色入りの折り紙を置こうとも。
その折り紙にオレンジ(スーパーの店名)のシールが貼られていようとも。
サンタはいる。
いるっちゃ、いる。
たとえ、プレゼントの用意をわすれていた姉が、慌てて冷蔵庫からいちごを一パック出してきて、娘(私から見ると姪っ子)の枕元に置こうとも。
園児だった私は、オレンジのシールを見て現実を知った。サンタは母親か、と。
幼かった姪っ子は、朝起きて素早くいちごをベッドの上で食べていた。
サンタはいる。
サンタは、子供が欲しいと思っているプレゼントを届けてくれる人。
私は、折り紙が大好きだった。
サンタの夢は崩れたけれど、とても嬉しくて折りまくった。
姪っ子は、いちごが大好きだった。
幼すぎたから、『サンタ』とかは理解できていなかったが、とてもうれしそうで、一パックをぺろりと食べ切ってしまった。
欲しいと思っているものはもらえた。
大好きな食べ物をもらえた。
母親からだったけど、そこには愛があった。
だから、サンタはいる。
── fin ──
非実在証明は、8時頃に投稿します。