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歴史改変?IF世界の日本


高階家は天皇の庶子である高市皇子を祖にする一族だ。

高市皇子って誰?って思う日本人も多いだろう。

天武天皇の一番上の息子。庶子の出だから天皇にはなれなかったけどね。でも、一部ではかなり有名な歴史上の人物でもある。


あの持統天皇の懐刀とも言われた皇子。

額田王女王と天武天皇との間に生まれた娘、十市皇女との悲恋は泣ける。


既に数百年たった今では、皇族ではなく臣下に降りてるけど、一応、高階家は皇族の末裔を自負している。もっとも、そんな家(皇族の末裔)はゴロゴロあるので、大した自慢にもならないみたい。


それに、この世界の高市皇子は重要人物じゃないのが痛かった。

私が生まれた世界の日本は、ちょっと変だったりする。正史そのままの世界じゃなかった。いうなれば『IF世界の日本』といった処かな。一種のパラレルワールドだ。


私が把握しているのは、天智天皇と皇后(倭姫王)の間に皇子が誕生して、その子が天皇に即位したってこと。それだけでも驚きだ。はっきりいって、これが歴史の分岐点だと思う。だから、天武天皇は天皇にならずに補佐的な皇子のまま生涯を終えた。勿論、女傑の持統天皇もいない。彼女は女帝になることなく、一介の皇子の妃として平凡な人生を送った。

他にもある。

あの『藤原氏』が存在していない。

中臣鎌足は何故か『藤原の姓』を賜ることなく生涯を閉じた。

そのせいかどうかは分からないけど、平安時代の今は、史実のような藤原氏一強ではない。そもそも『藤原氏』がいないから一強もなにもないんだけど。


中臣氏は、本家を『一条』とし、分家を『二条』と名前を改変している。

そう、私の幼馴染の乳兄弟である、時継様は『一条』だ。

一条時継。

彼が一条家の跡取り息子。

その嫡男の乳母が私の母親。

中流貴族の姫で、受領の妻がなんで名家の跡取りの乳母をしているのかというと、時継様の祖母の推薦があったからだ。

時継様の祖母は皇女様。通称『大宮』と呼ばれる方だ。

その大宮様が、夢で「高階家の末端の姫を乳母にせよ」というお告げを受けたかららしい。

ただの夢で?と思うけど、この時代の人は夢のお告げとやらを本気で信じている。それを母から聞いた時は、思いっきり引いた。


母も母で、「大宮様のたっての願いなら」と喜々として乳母をするのだから現金なものだ。

そんな訳で、私は裳着を行うまでの約十二年間を三条屋敷で過ごした。その間に、父が周防の国司に決まった時は、ついて行くかどうかですったもんだしたけど、結局、私は三条屋敷に残る事になった。なにせ、私の名付け親でもある時継様の鶴の一声で都に残ることが決まったんだもの。裳着の腰結衣の役も、親ではなく、何故か時継様がした。

ほんと、なんで?

しかも、裳着式も三条屋敷で行われたし……鈍い私でも異例の事だと分かる事態。

両親も時継様も、三条屋敷の人達もな~~~んにも疑問に思っていないところも怖い。

私がおかしいのかと思うでしょう!


そんなわけで、私の進退を決めるのは親ではなく時継様だ。

後見人ってまでにはいかないけど、保護者的な存在として世間に認知されたっぽい。

よく分からん。


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