表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

3/6

若様の提案


「モイラ、いい加減機嫌を直せ」

「どうせ、どうせ、私に求婚してくる男なんていませんよ。特別美人って訳じゃないし、頭が良い訳じゃないし、字だって汚いし、気の利いた歌だって読めないダメダメ女ですからね」

「私が悪かった……許せ」

「謝る必要ありませんよ。時継様は本当の事を言っただけなんですから。私なんてどうせ結婚も出来ないで『いかず後家』で終わるんです」

「……すまん。最悪の時は私がお前の面倒をみてやる」

「!」

「生涯、安泰に暮らせるように取り計らう」

「!!」

「だから心配するな」

「……時継様」

「なんだ?」

「なにか悪い物でも食べたんですか?そんな優しい言葉が出てくるなんて…天変地異の前触れかしら……?」


時継様とは兄妹同然に育った。

実の親以上に傍にいたから彼の性格はよ~~~く知ってる。


唯我独尊(ゆいがどくそん)

豪放磊落(ごうほうらいらく)


お前の物は俺の物、俺の物は俺の物。平安のジャイアン!


そんな男が「めんどうみてやる」ですって!?空から槍が降ってくるのでは?


「モ・イ・ラ~~~~~!私が真面目に言っているというのに!」

「時継様が頭のおかしなことを言うからでしょう!」

「なに~~~~~~!」

「なんですか~~~!」


名家の嫡男で二十歳の若さで、従四位下の中将という高い身分を得ている時継様だけど、いっちゃあ悪いけど、私と程度があまり変わらない人だったりする。

私たち二人の口喧嘩などいつものこと。実家の者達も我関せずだ。あ、それは三条屋敷も一緒か。


「なら、気晴らしに出仕でもするか?」

「はい!?」

「私の妹が、今度、東宮様の元に入内する。その女房として御所に上がれ」

「な、なんで私が!」

「家でくすぶっていても仕方あるまい」

「私に女房なんて無理です!分かってでしょう。そんな要領よく出来ません。女御の女房なら教養ある人達が集まっているでしょう。私が出仕してなにをするんです?」

「そんなに身構える必要はない。女御になる妹の傍に居るだけでいいんだ。気楽していろ。私から妹に申し伝えておく」

「……ほんとに?」

「ああ。なんなら宮中で夫探しをすればどうだ?一石二鳥だろう」

「私の夢のぐーたら生活が……」

「ぐーたらしている自覚があったのか。ならばなおの事だ。出仕しろ!これは命令だ!」





あぁ~~~~~。メンドクサイ。

時継様に言われたのでこれは決定事項だ。


まさか平安時代に生まれて、今度は御所に行く事になるなんて……夢にも思わなかった。


令和の日本で生きてきた私が、何故か気が付いたら赤ちゃんになってた。

しかも、どうみての平安時代。

そう、私は何時の間にか生まれ変わっていた。

輪廻転生が本当にあったなんて。

まるでアニメの世界。

でも、なんで、なんで過去の日本なの!

ここは、異世界転生とか、魔法世界に転生とか、未来の世界に転生とかでしょう?

普通は。

仮に過去に転生であっても、江戸時代とかがセオリーというもの。

よりにもよって…平安時代とはな。


私の今世の名前は、高階茂衣羅(たかしなもいら)

高階(たかしな)が家名で、茂衣羅(もいら)が名前。

身分は中の下かな。

父親は周防の国司(こくし)だけど、母親が高階家の傍流の傍流の出。

母方の祖父は参議の身分。祖父は既に亡くなっているからまあ、中流の下になると思う。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ