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2つの世界の壊しかた  作者: サイホウミツヒ
3/3

現実が俺に厳しい【2】

「…雪姉!?」


目の前に居る美人は確かに【安達 雪(あだち ゆき)】だった

だが1つだけ違う

見た目も雰囲気も同じなのに俺を見る目が確かに違っていた


「…雪姉…じゃないのか?」

「…雪姉とは誰のこと?」


間違いないこの美人の女は雪姉ではない

だが、なら何故こんなにも似ている?

服装以外は似ている

似ている何処か瓜二つなのだ


「自己紹介がまだでしたね」

「私の名前は【ナエル・ミランダ】」


名前から察するに日本人ではないらしい

そして後ろに隠れていた女の子が顔を出す

気恥ずかしそうにしながら、少し怯えながら


「この子の名前は【ララ・ミランダ】私の娘よ」


天使の女の子もとい、小さな女の子の名前はララ・ミランダと言うのか

まぁ羽根が有るわけでも、輪っかが有るわけでもないから人間なのだろう

てか娘居んのかこっちの雪姉

向こうの世界の雪姉は自分に釣り合う男が居ないと嘆いているのに


「近くの湖で貴方が溺れてるのを見つけてこの子が引っ張って来たのよ」


この10歳そこそこの女の子が俺を湖から引っ張り上げてくれたのか、大変だったろうに

てか、あのクソ女神湖に落としやがったのか

確実に嫌がらせだろ

とりあえず、助けてくれたようなのでお礼を言わねば


「助けてくれたみたいで、ありがとうございます」

「あっ俺は無も…、ミズヤ・ナモリって言います」


一応郷に入ってはなんとやらだ


「珍しい名前ね、とりあえずお腹空いてるでしょ?ご飯にしましょう」


なんて優しいのだろう

見ず知らずの男を助け看病し、理由も聞かずご飯まで

この人こそ女神であるべきだ

ナエルさんが食事の準備を始めるため部屋を出て行く

とりあえず現状の再確認を始めようとするが隣から視線を感じる

ララ・ミランダ俺を助けてくれた女の子だ

ナエルさんは出て行ったのに何故かそのまま、俺を見つめたままそこに棒立ちしていた


「…どうかした?」


気まずいのでとりあえず訪ねてみる

ララは少し怒った様に答えた


「…れい」

「?」

「おれい!!」

「おれい?」

「ララまだお礼言われてない!!」


どうやら自分に対してお礼を言ってない事に腹をたてていたらしい

俺的には礼はさっき伝えたつもりだったのだが、彼女は母親にだけお礼をしていたと思っていた様だ

でも確かに俺を見つけ助けてくれたのはこの子だし、ここはもう一度お礼を行っておこう


「結婚しよう」


間違えた


「!?」


ララの顔がみるみる赤くなっていく

これは見ていて面白い


「ばっ」

「バカーーー!!」


ララはそう大声を出すと慌てて部屋を飛び出していった

それと入れ替わる様にナエルさんがやってきた

そして少し困りながらでも少し楽しそうに優しく


「ご飯の準備出来たんだけど…あまり、あの子をからかわないであげてね」




ナエルさんに促され食卓に足を運ぶと豪華とは行かないものの美味しそうなご飯がそこに並んでいた

普段からコンビニ弁当かカップ麺を食べてる俺からすれば何とも暖かみ感じる、そんなご飯だ

食卓には既にララが座ってこちらを見ていた

とても睨んでいる、野生の小動物のように

どうやら警戒されているようだ

恐らく自分の席であろうララの向かいの席に腰を降ろす


「違う…」

「ん?ここじゃなかった?」

「違うっ!そこはお父さんの!!」


また間違えた様だ

と言うかお父さんかララを見るにかなりイケメンな感じがする

そんなことを考えて席を立つが

テーブルの上には3人分のご飯に椅子も3つ

俺の座るとこ無くね?

ここに来てこんなにも優しいナエルさんが床で食えと言うとは考えづらい

いや、ナエルさんがそう言うならばやぶさかではないのだが


「あらごめんなさいね」


ナエルさんが見かねたように言う


「こっちに座って」


残り1つの所に案内される


「え?でも、ナエルさんはどこに?」

「私は後で食べるから大丈夫よ」


流石に気付く

他人がこれ以上踏み込んで良いことではない事に

静かに案内された席に座る

ララはこちらを見ている

でも何だろう少し悲しそうに申し訳なさそうに、そうゆう目だ

気を取り直して目の前のご飯に目を向ける


「頂きます」

「…」


不思議そうにララがこちらを見る

すると同じように手を合わせ


「いただきます」


真似をしてララもそう言った

一口クリームシチューの様な物を頂く

味は少し薄味だが美味しい

と言うかクリームシチューその物だ

隣にあるパンを浸してまた食べる

固いパンが丁度良く柔らかくなりとても美味しい

だが、気付いた

クリームシチューに肉が入っていない

宗教的な何かか、それともそういうものなのか

など思いつつ食べ進めていく


「ご馳走さまでした」

「ごちそうさまでした」


ララがまた真似をしてそう言った

まだ残っているんだが…

そんなララを可愛らしいと思いつつもそろそろ現状と情報を聞かねばなるまい


「あのー、何点か聞きたいことがあるんですが」

「ん?ええ、構いませんよ」

「実は…」


聞こうとして思いとどまる

しかし、どうなんだろう?

ある日湖に浮かんでいた男が「異世界に女神から呼ばれて、ここが何処かも解らないので教えて下さい」なんて急に聞いてきたら

変だと思うんではないだろうか?

怖くはないだろうか?

俺ならそんな奴ヤベェ奴だと思って即追い出したい

なら、ここは…


「実は、ここで目覚めるまでの記憶が曖昧で此処が何処かもわからないんですが教えてもらっても良いですか?」


どうだ?強引過ぎたか?

気持ち悪い作り笑いで聞いてみる

すると疑う事を知らないのか、優しい笑みでナエルさんが答えてくれた


「まぁそれは大変!」

「ええ、もちろんよ私に答えられることなら何でも」

「どんなことが知りたいのかしら?」

「じゃあ…」


折角なので自身の異世界像を重ねながら聞いてみると

まず今居る場所は【アーガイル王国】南東に位置する村で【トーン村】と言うらしい

この世界には5つの国があり戦争しばしばな感じの情勢だがそれでもそれぞれ牽制程度でバランスをとっているんだとか

そして勿論と言うか予想通り魔物もおり魔法やスキルもある、お約束な感じだった

ちなみにナエルさんは【テイマー】魔物使いだと言う

窓の外に見えたジェル状の動く物体はナエルさんが使役する魔物でスライムだった

ここまでは想定内、てかテンプレな展開だ

ここまでは…この先の話に驚いた

てか聞きたくなかった

この世界には神がいて、その神が国を統治している

つまりこの世界には神が【5神】いて各国を統治していた

なのでこの場合俺はあのクソ女神の命令に従うならば、神を5体殺すかそれともクソ女神が殺せと言った対象をその中から探しだし尚且つ殺さなければならないと言うことだ

どちらにしろ最悪だ

今のところ神殺しの力が何なのかも分からず、殺す対象も分からず、神に勝てるかどうかもわからない

あと無一文だ

あまりにもキツイ

ハードモードもいいとこだ

後、俺みたいな奴を【渡り人】と言うらしい

ごく希にだがある日突然、記憶を無くし倒れている人間が現れるらしい

【渡り人】は特殊なスキルを持っている事が多いんだとか

ここまで聞いて出る言葉は


「…はぁ」


ため息だった

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