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2つの世界の壊しかた  作者: サイホウミツヒ
2/3

このクソ女神を殴りたい 【1】

白い光の中で目を開ける

目の前には白い光の【何か】が居た

人の姿のような形をした【何か】


「貴方は誰何ですか?」


【何か】解らないそれに不意に言葉が出た


『思い通りで筋書き通り』


『想定外で規格外』


【そいつ】は言った

そして続けた


『それでも希望通りで望み通り』


『その為に来たんだよ』


何を言ってるのか解らない

ここが何処かも解らない


『結末を変えてくれ』


表情も解らない【何か】の言葉が、真剣で、本心で、切実なのが何故か解った


「任せろ」


いつの間にか僕は答えていた…

そう答えると何かが自分の中に入り込む感覚を覚える


『任せたよ』





◎◎◎◎◎





「んがっ⁉」


頭に強烈な石の様な鉛の様なゴリラの拳の様な衝撃で目が覚める。


「よう、起きたかクソガキ」


この人はクラスの担任で俺の保護者…いや、居候先の家主【安達 雪(あだち ゆき)】美人で周囲からも評判、特に男子にはこの先生になら縛られ蝋燭を垂らされムチを打たれたいランキングNo.1であるのがこの人【安達 雪】だ。

勿論僕は断固そうは思っていない。いや本当に。


「雪姉か、おはよー…何か夢見てた気がすんだけど」


「いや、知らねぇし!てか学校じゃ先生だアホンだら!」

「てかお前私の放課後の時間をさいて勉強見てやってんのに、寝るたぁ良い度胸してんじゃねぇか」


そうか此処は学校で今は雪姉に勉強見てもらってたのか

それにしても変な夢を見ていた気がすんだけどイマイチ思い出せない。変なというよりは奇妙といったところだろうか

そんなことより今は目の前の暴力ゴリラ…いや雪姉を何とかするのが先か


「…雪姉!」


「なっ、なんだよ?」


「結婚しよう!」


「フンッ!!」


美しい右ストレートだった…


こうして雪姉の説教を一瞬…いや一撃で終わらす事に成功した俺は帰り支度を始めることにした

その間に軽く自己紹介をしておくとしよう

俺の名前は【無衛 水也(なもり みずや)】ごく普通の高校2年生で特筆すべき特技もない

友達は居るけど彼女は居ない

好きなことと言えば寝ること位しかない何処にでもいる男子高校生だ

居候とは言っても別に親が居ないわけでも亡くなった訳でもなく元気に健在している

両親は仕事で海外の報道局に勤めていて、英語を話せない俺はそれを渋って母の友人である雪姉の家に厄介になっている

ここまでの自己紹介がほとんど俺の全てで他に語れる事もない

要約すると両親は海外に居て美人のお姉さんの家に潜り込んだ男子高校生である

え?羨ましい?違う…最高である!


そんなことを語ってるとき俺は気づいた

足元が…光っていた



○○○○○



目を覚ます

暗闇の中、目の前にはなんとも私が女神だと言わんばかりな格好をした美女が立っていた

てか何か輝いていた


「あの~、俺ってもしかして死んだ?」


「馬鹿か?死人を呼ぶわけ無いでしょ」


ん?


「じゃあ俺はどうしてこんなところにいるンすかね?」


「そのぐらい自分で考えられんのかアホが」


んん??


「まぁ良いわ。面倒だけど哀れで脳ミソ空っぽな貴方の為にこの私が分かりやすく現状と今後を教えてあげましょう」


……


「私は【女神エリーヌ】此処は私の創造空間で貴方は私に呼ばれた」

「そしてこれから異世界に落とすから向こうの世界にいるクソ神を殺してきなさい」


……

………


「あの~、もしかして説明終わりっすかね?」

「もしかしなくても終わりよゴミ」

「…いやいやいや!説明短か!てか、説明になってねぇだろ‼」

「チッ」

「てめぇ今舌打ちしたろ‼後さっきから気になってたけど態度も言葉使いも悪すぎんだろーが!お前本当に女神かよ‼」

「貴方の…と言うより貴方の世界の勝手な女神の価値観を押し付けないで貰えるかしら気持ち悪い」


このクソ女神ぶっ飛ばしてやろうか

最初に美女だと思った自分も殴りてぇ!


「それは無理ね」

「はぁ?」

「だから、貴方が私に触れることなんて出来るはずないでしょう」


心が読まれている

こいつが女神なのは間違いないらしい


「でも美女と私を形容したことは誉めてあげるわウジ虫」


前言撤回。

クソ女神なのは間違いないらしい

後絶対殴る


「はぁー、本当に脳ミソの足らないガキだこと」

「質問していいか?」

「なに?ゾウリムシ」

「……とりあえずお前が本当に女神だとして、なんで俺なんだ?」


女神は少し笑って…嘲笑う様にして答えた


「適当」


俺は走り出していた

女神に向かって、一直線に走り出していた

殴る為に!


「雪姉直伝の右ストレート喰らいやがれ!」


だがその希望は一瞬で砕かれた

走り出して女神に近づいた途端痛烈な痛みを腰に感じた

恐る恐る自身の腰に…腰があったであろう所に目を向けると、腰から下が無かった。

正確には腰から下が少し後ろに転がっていた


「⁉…っ、んっ…いっってぇーーーー!!!」


痛い痛い痛い痛い痛い!

なんだこれ⁉なんだこれ⁉クソいてぇ!!

のたうち回ることさえ出来ない


「あはは‼本当に馬鹿なのかしら!」


女神は笑っていた

まるで、良いこと面白い事があったかのように腹を抱えて笑っていた


「なに…しやがった」


憎悪に満ちた声で殺意のこもった目を向けそう言った

だが、それすらも楽しそうに


「ぷっ…あははははは!」


しばらく笑って笑い疲れたのか涙を浮かべ女神は答えた


「はぁーあ、笑った笑った…ぷっ…」

「だから無理だって言ったじゃない、此処は私の空間で私は女神つまるところ神なんだから」

「たかだか人間のガキが私に触れられるわけないでしょう」


笑い涙を拭きながら続けた


「まぁ威勢が無いよりはましかしらね」

「そう何人も異世界に送るのって疲れるから貴方が行くことは決定事項よ」


何が決定事項だ!

そう思いながらも痛みに耐えるのが必死で言葉が上手く出ない


「でも少しご褒美をあげる」

「向こうの世界で向こうの神を殺せる様に力を与えるわ」


意識が遠退いていく

痛みも段々と薄れてきた


「神同士は戦うことも、勿論殺す事も出来ないから」

「でも貴方は人間でその人間が神を殺すことは出来る」

「だからその為の力を、神を殺せる力を貴方に与えるわ」

「でも、あんまり時間が掛かりすぎたり私に対してまた敵意を向ける様なら」


「殺すから」


意識が遠退いて痛みも感じない

瞼を閉じて沈んでいく

何も感じなくなってきた


「覚えてろ…クソ女神!」




◎◎◎◎◎




何も聞こえない沈んで、落ちていく

冷たく寒い

何だっけ?異世界だっけか?

てか異世界寒すぎねぇか?


「ポコ」


何か聞こえた


「コポコポ…」


何の音だ?


「ボココポ…ポコ」


目を覚ます

苦しい、息が出来ない…⁉

霞む視界の中手を伸ばす

不意に手に何かが触れ捕まれた

…捕まれた?

捕まれた手が引っ張られる

すると急に光が目に入る


「貴方大丈夫⁉」


知らない女の子が視界に写った


「しっかりして⁉大丈夫⁉」


焦った表情で本気で心配した顔の女の子がそこに居た


「女神…いや天使か…」


心からの感想だった

再び目を閉じる




「んっ?…」


再びまたまた、目を覚ますと知らない天井だった

今日だけで何度寝したことだろう?

さすがの俺でもこんなに寝たことは無いのではないかとそんなことを考えていると


「え?」


可愛らしい声がする

声のした方向に目を向けると木の桶を持った知らない女の子が立っていた

目が合い見つめていると思い出す


「…天使の女の子!!」


目を覚ました第一声が天使の女の子とは…我ながらどうかしている

天使の女の子はというと、そのまま固まっている

大丈夫か?と思っていると天使の女の子は叫んだ


「おっ…」

「お?」

「おっ…おおっ……」

「おっ…おかあさーーん!!」


すると天使の女の子は飛び出していった…

いやいや、俺の第一声もあれだがあの子のおかあさーーんも充分酷いな

人をまるで変質者かの様な…通報とか…されないよな?

とりあえず天使の女の子が戻って来るまで現状確認を始めた

自分の腰から下を恐る恐る見る…


「…ある」

「あるあるあるっ!」

「あるぞーーー!!」


ベッドの上でガッツポーズを決めて冷静に周囲を観察する

知らない部屋、知らないベッド、知らない天使の女の子、そして窓の外には知らない風景とジェル状の動く物体……

静かに目を閉じた


ドドドドドっ!

人の走る音が聞こえ近づいてくる

さっきの天使の女の子だろうか?それともその母親だろうか?

そんな事を考えていると勢い良く扉が開いた


「!!??」


そこには美人で力強い目をした女性が立っていた

俺はその人をこの美人を知っている

と言うか…


「…雪姉!?」


【安達 雪】だった…

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