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恋文 走り書き
あれから世の中は増々混沌としてきた。テレビや新聞、ネットニュースは連日こんな風に騒いでる。〝無敵の人〟そのフレーズを見聞する度に、わたしは「主人公は俺だ」って言ったあなたのことを思い出すよ。
あれからわたしは被害者として生きた。今ではもう有象無象の人間の内の一人。「主人公はわたしだ」って、胸を張って言えるような人間にはなれなかった。その代わりに、誰かを滅茶苦茶に憎むような人間にもならなかった。あなたはこんなわたしを見て、〝そんなの生きていないのと同じだ〟とか思うんだろう。
あなたにつけられた右腕の傷痕を見るたびに、考えることがあるんだ。もしもわたしの大事な人が、あなたに殺されてしまったら?
考えるのをやめる。
やっぱり、まだ、■■■■■■。どっか、遠い所で生きていて。わたしとは関係の無い人を傷つけて、絶対に、わたしの前に現れないで。
さようなら、ゴリアテ。