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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

死人を『召喚』する冒険者

作者: 大介丸


 ―――数あるモンスターと財宝が尽きることなく湧き出す広大な地下迷宮の一つ


 地の底から轟くような呻き声が、薄暗い闇の中を響き渡る

 呻き声が聞こえる先には、複数の人影が蹲っていた

 そこの地面には緑色の液体が広がり、あたり一面を染め上げていた

 だが、何よりも眼を引くのはその複数の人影からなる集団だ

 襤褸を纏っているその集団は、身体のあちらこちらを酷く欠損し、皮膚は青黒く膨れ上がり腐敗して

 悲惨な悪臭を放っていた

 両眼は白く濁り、()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 咀嚼されている物体は、迷宮の上層階層を主に縄張りにしているオークという魔物だ



 一心不乱に咀嚼している異様な集団から、少し離れた場所で別の集団の影が存在した

 その集団は、装備類から判断すると冒険者パーティの様だった

「・・・なんちゅう出鱈目だ・・・!」

 冒険者パーティの中の男性冒険者が、不愉快なものを見せられた様な表情を浮かべつつ

 呻く様に言う

「・・・・」

 そのパーティのリーダー格の男性冒険者が嘔吐しそうになるのを必死に堪えながら、とある方向に

 視線を向ける

 その先にはつい最近臨時に『迷宮探索』のため募集し、加入した男性冒険者の姿があった

『召喚』系を習得していると言っていたが、()()()()()()()()とは思ってもいなかった


 新加入した男性冒険者は、鈴らしきものを鳴らし続けている

 その鈴を鳴らし続けるたびに、『迷宮』の床から濃密な血の臭いと糞便の臭いが混ざった悪臭と

 共に複数の人影が這い出ていた

 のろのろと床から這い出る複数の人影は、おぼつかない足取りで、次々とオークを咀嚼している集団に

 加わっていく



 冒険者パーティは、なんとも言えない悪寒が全身を走り抜けたのを感じた

「・・・これ普通の『召喚』なのかっ!?」

 別の男性冒険者が震えながら、リーダー格の男性冒険者に詰問する

「文句は『冒険者ギルド』に言えよ!

 あっちがお勧めしてきた冒険者だ!」

 リーダー格の男性冒険者が言い返す


 冒険者パーティの仲間が言い争っている間にも、問題の場所では凄絶な食事が展開している

 新加入した男性冒険者が『召喚』しているのは、少し変わっている『召喚』生物だ

 ・・・果たして生物と言うべきかはともかくだが

 それは―――アンデッド・・・つまりゾンビだ

 一般には人間の生肉を喰らうゾンビだが、新加入した男性冒険者が『召喚』しているゾンビは、

 魔物の肉を喰らっている

『召喚』しているゾンビは、既に40匹前後まで膨れ上がっていた

 静寂で満ちている『迷宮』で、ただ咀嚼する音と地の底から轟くような呻き声が響く


「おっと、リーダーさん 新手の魔物が出現したようですわ」

 訛りのある声で告げたのは、その新加入した男性冒険者だ

「新手?」

 リーダー格の男性冒険者が、言い争いを辞めて質問をした

「ありゃあ、オーガですわ 

 仕留めまっせ」

 男性冒険者は訛りのある声で告げ終えると、手に持っていた鈴を再び鳴らした



 オークの肉を喰らっていたゾンビは、響き渡った鈴の音と共にのろのろと立ち上がった

 地の底から轟くような呻き声と共に、のろのろと動き始める

 ゾンビ集団の先には、地響きを立てながら接近してくるオーガの存在があった

 憤怒の雄叫びを発しながらオーガが向かってくるが、ゾンビ集団に阻まれる

 ゾンビ集団は頸や腕や足に飛び掛かり、次々と噛みついていく

 詰問していた男性冒険者は、得体のしれない理解を超えた恐ろしい光景と漂う悪臭に耐えられな

 かったのか、隅っこによると嘔吐する

「多数相手に、どれほど耐えるのかみものやね」

 新加入した男性冒険者は訛りのある声で言いつつも、視線はゾンビ集団とオーガに向けていた


「(何なんだよ・・これは・・・!!

『冒険者ギルド』の仲間仲介職員の野郎、何て奴を紹介しやがったんだ・・・)」

リーダー格の男性冒険者は、日焼けした肌の男性冒険者ギルド職員の貌を思い出していた

この探索が一通り終わったら、真っ先にあのギルド職員に苦情を言いにいってやると決意を固めた



―――結果を述べると、この『迷宮探索』を終えたこのパーティは、真っ先に『冒険者ギルド』へ

苦情を述べには行けた

だが、そのお勧めしてきた日焼けした肌の男性冒険者ギルド職員については、『冒険者ギルド』からの

返答は、『()()()()()()()()()()()()()()』という答えだった

もちろん、そんな事は信じられないリーダー格の男性冒険者は問い詰めたのだが、その答え以外返っては

来なかった

『だったら、俺は一体何者から紹介されたんだ?』


手伝いをしている最中に、ふっと思いついたので投稿してみました


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