飛行と移動
いつになったら進むのか‥‥
誤字脱字の報告お願いします。
「なんか盛り上がってますが話は全然終わって無
いですよ」
「あっ‥‥ごめん」
結局話は途中で断ち切られたので、もう一度説明が始まる。
「で、脱線した話を元に戻すと、貴方達の加護とそれ専用の装備ですよ。いくら強力な加護があってもそれを生かせる武装が必要ってことです」
ハルクスエの説明中に荒木が口を挟む。
「武装っていうとあれか?さっきの博物館で見たやつみたいな」
「無理ですよ。私達の所属している『民営企業』群にはそんな予算ありません」
「たしか連邦とか協会とか国営企業とかだったか」
弘も確認するように言う。どうやら説明があったらしい。
「えぇ、基本的に予算不足が深刻なんですよ。民営企業は。この飛行船だって社宅ですよ社宅」
「ここ社宅かよ!」
「荒木、リアクション大きくないか?」
毎回脱線していく話に嫌気がさしたのか、ハルクスエは立ち上がり操縦室に向かって歩きだす。
「どしたのハルクスエ?」
「めんどくさいんで現物見せた方が早いでしょ」
そういって操縦室の扉を開ける。
「三人とも早く来て下さい。飛びますよ」
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操縦室は元いた世界とは大きく違い、全面ガラス張りに近い。計器類は一箇所にまとめられて、操縦桿の側には無線機のような通信機器も備わっている。
椅子も四つ備わっているため、全員が不自由なく座れる。
「ふーん。武装って今から行くとこにあるのか」
「ガラス張りって怖いな‥‥」
柳はちょっと怯えているが荒木はあんまり気にしてはいないようだ。弘は会話に参加せずボーとしている。
「皆さんちょっと黙ってて下さい。慣れてないと舌噛みますよ」
そういってハルクスエは操縦桿の左にある、車のブレーキに似た機器を左足で踏む。
ブオォッ と地面に風が吹き付けられる音と共に機体が垂直に上昇する。
上空10メートル程に上昇すると、今度は右にあった機器を踏み、操縦桿を前に倒す。
キイィィィィィィインと、エンジンの作動音が鳴り響くと、今度は爆発でも起きたのかと思うほどの加速が起きる。
視界が一気に溶け、気付いた時にはそこは。
青空の中だった。
「ッはぁーーアァァァァっはぁ!スッッゲェエエエーー!」
荒木は興奮が最高潮に達したのか絶叫する。
「これは‥‥‥見たことないな!」
「たしかに‥‥凄い景色だ」
青空といっても一面の青ではない。空にはいくつもの巨大な飛行船が飛び回る。
まるで海を悠々と泳ぐ鯨のような飛行船もあれば、その脇を小魚のようにすり抜ける船もある。
陸上にはさっきまでいた白い神殿ではなく、円形の外壁に囲まれた大都市と、外壁の外に広がる青々とした緑色の草原や荘厳さをたたえた山々がその威容を魅せる。
大都市の中には白亜の建物や赤い煉瓦でできた屋根の住宅地。
都市の中央には礼拝堂と高層ビルを組み合わせて作ったような不思議な建物が所狭しと建っている。
三人にとって、今までの自分達のいた世界を飛び出したのを実感できる景色だった。
「ヤバいぞこれ!スッゲぇーー!」
特に荒木は子供のようにはしゃぐ。
「ふふっ。じゃあ飛ばしますよ」
ハルクスエにとって思いがけないことで喜んでいる三人につられたのか、ハルクスエもどこか嬉しそうだ。
もう一度爆発したかのような加速と共に、今度は景色を楽しめるような速度で飛行船を飛ばす。
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その後大都市の上空を通過し、山々の間をすり抜け、豊かな緑を讃える平原を飛行している。
「今俺たちが向かっているのはどんな所なんだ?」
弘が質問する、その質問にハルクスエは鼻歌混じりに答える。
「民営企業群が所有する一種の別荘地ですよ」
「別荘地?何するんだよそんな所で」
「これから皆さんをある程度戦えるまで訓練する必要があるんですよ。流石に素人丸出しだと不味いんです」
すると飛行船が少しづつ速度と高度を落とし始め、着陸態勢にはいる。
「つきましたよ」
「ここかぁ。別荘地つっても南国のリゾートじゃなくて避暑地って感じか」
上空から見た時に豊かな山々と清流に囲まれた街だとわかった。
山の間の狭い土地にいくつかのビルや旅館、ログハウスが並ぶ住宅地のような所や整備された芝生の丘やコンクリート壁に囲まれた施設。
さらには図書館やホールのような建物まで、とにかく避暑の為に徹底的に便利になっている。
「さあつきました!」
荒木の言葉と共にわーわー騒ぐ一同。
「じゃあ降りて下さいね。これから忙しくなりますよ」
「おう!」
「荒木は元気だなぁ。俺ちょっと疲れた」
「あいつはいつも元気だ。特に今はな」
そんなこんなで異世界での生活が本格的に始まる。
次話には初戦闘シーン?ご期待下さい。
てか我ながら無茶苦茶進むの遅い‥‥‥一話一話も短いし。




