暗闇と白い宮殿
第二話です。日本語力は破壊ですがこれから上がると思うので(希望的観測)よろしくお願いします。
柳風磨が目を覚ましたのは何も無い暗闇だった。
「お‥い、何だよオイ!どうなってんだよ!」
声を荒げるも誰からも返事どころか物音一つしない完全な静寂。
「誰かいませんかー!おーーーい!誰か!?」
彼自身の声も反響せず、海に落とした水滴のようにただただ霧散していくだけ。
(マジで誰もいないのかよ‥‥てか何だよコレ?確か何処かの拷問で似たようなのがあった気がするぞ?暗闇の部屋に閉じ込めて精神を弱らしていくってヤツ)
確か人間は何も無い空間にいれば一時間を待たずに精神に変調をきたしてしまう、といらない雑学が頭をよぎる。
(あんまり時間は無いな。どうにかヒントを探すか、それともこの空間自体が何なのかを考えるか‥‥)
取り敢えずこれからの事を考える事にした柳。
すると後ろに気配を感じた。何かがいる、歓喜と驚きが入り混じる感覚がする。
この暗闇の中に何かがいる。
自分以外に何かが存在する。
それだけで救われた気がしてくる。
いくら時間がったたかも認識できないような暗闇の中、もしかしたら彼は自分自身での予想よりはるかに心が弱っていたのかもしれない。
半分反射的に後ろを振り向くがその喜びは一瞬で全く逆のモノに染まるに変わる。
王冠を被った蛇がいた。
その蛇は柳には聞き取れない言葉を喋っていたが柳には不思議と、その言葉が世界を冒涜するものだと理解出来た。
それを見た途端に彼は何も考えられなくなった、いや正しくは何も考えたくなくなった。
考えたら自分の中の善性が否定されるような気がしたからだ。
真っ暗な空間の中に、世界中の悪意を集めたような蛇と何も考えたくない自分。
彼が覚えているのはそれだけだった。
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気付いたら真っ暗な空間ではなく白い建物の中にいた。磨かれた大理石のような壁に純白の床。
アーチ状の窓からは暖かな光が差し込んでいる。
柳風磨から少し離れた所にはブレザーを着た高校生が集まって騒いでいる。
更に離れた所には機能性100パーセント無視の、ファンタジー物のアニメや映画に出てきそうなローブを着た男女数人とライフル?を背中に掛けている中世の鎧と現代の軍服がごちゃ混ぜになった様な格好の男女。何ともアンバランスな光景だ。
「あの、起きてますか?」
「‥‥‥あっ。はい」
状況の理解が追いて付いていなかったのか、ボーとしていたようだ。話しかけられるまで目の前のブレザーの男子高校生に気付けなかった。
「大丈夫ですか?さっきから虚空見つめてたけど」
「はい‥‥なんか混乱してて」
話しかけてきたのは人懐こい笑顔を浮かべた、ノリの良さそうな中肉中背の男子高校生だ。
友達が多そうなタイプだな、と柳は勝手に予想した。
「そっか。俺もいきなり異世界転移って驚いてたし」
(異世界転移ってなんだ?)
「ところでさ、お互い自己紹介しようぜ。俺は荒木慎吾、歳同じくらいだと思うしさ、タメ口でいいよ」
「俺は柳風磨」
「じゃあさ風磨、さっき王様的な人から色々と説明あったけど解ったか」
「ゴメン全然ない」
二人が話したら後ろから声をかけられた。
「シンゴ。俺達の所属先が決まったらしーぜ」
声をかけてきたのは茶髪の筋肉質な男子高校生だった。
しかし顔には独特の凄味と鋭さがあり何処と無く猛禽のようだ。
「あっす、確認ありがとな」
「なぁ荒木、この人って?」
「おう風磨。こいつは神崎弘、昔キックボクシングやっててさ、見た目は怖いけどいい奴だぜ」
「先に行ってるぞ荒木。あとその柳も連れてこいよ、俺達と同じ所属先らしいぜ」
そう行って神崎は部屋の出口に向かっていく。どうやら先に行っているらしい
「所属先とかなんの話なの荒木?」
「簡潔にまとめると、この世界は何十年に一度かモンスターが大量発生するらしくて、俺達は異世界に呼ばれた勇者サマでその大量発生するモンスターをぶっ倒さなきゃいけないらしいんだ」
「何で俺達が戦う必要があんだよ?」
「まぁ色々理由があるらしいぜ。まぁそこは話が進まなくなるんでツッコまないで。で勇者サマが何人かで一定の地域を守るんだ」
「うんうん」
「その所属先の話で、さっき言ってた通り俺とお前と弘がおんなじ場所って話なんだよ」
「なろほど。でもモンスターとかと戦うってヤバくねぇかな‥‥危険だろうし、大体お前はこの異世界転移だっけ?それをどう思ってんの。不安とかねーのか」
「俺は結構楽しみだぜ、この剣と魔法にファンタジー世界。まぁあんまり不安とか無いしな。モンスターと戦うのが危険でも、人生そう雲行き怪しくなったりしないし何とかなるさ」
「うーーん‥‥そうかなぁ」
「まぁこれから一緒にこの世界を冒険しよーぜ!不安ばっかりでもしょうがねーしさ!」
そういって荒木も弘と同じ様に出口に向かっていくので柳も同じ様に着いて行く。
「あのさぁ荒木!」
「何だよ風磨、まだ質問ある?」
「わりとイッパイあるけどさ、一つ重要なことなんだけど神崎の所に行けばいいんだろうけど神崎が何処に行ったかわかるの?」
そう行って黙り込む荒木、心なしか額に汗をかいてるような気がする。
「‥‥‥‥何とかなるさ!!」
「‥‥いきなり雲行き怪しくなったぞオイ」
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次話ヒロイン?登場です。