風呂とお話
どうもお久しぶりです
最近色々立て込んでて遅くなりましたが、モチベーションは下がっていませんよ!
地味にひっそりと投稿していきますか、よろしくお願いします
今いる町、いや避暑地は綺麗で整備された街並みが続くがどうも人通りは少ない。さっきから銭湯に向けて歩いているが、すれ違った人はいない。
「なんか閑散としてるよな。過疎ってるの?」
荒木が疑問を口にすると、それにハルクスエが答える。
「そうじゃなくて、この季節は飛行船を使わなきゃ他所と行き来できないんですよね」
そう言われると柳は一つの疑問がうかんだ。
「そういやどんな季節があるの?ハルクスエさん」
「そっちの季節がどうか分かりませんけど、『万民國』の四季が世界で使われてますね。春夏秋冬の四季が一般的です。今は夏に近づいた春ですね」
「こっちも春夏秋冬なんだなぁ」
こちらの世界でも暑い時期と寒い時期とその中間、という季節の流れは変わらないのだろうか?
「ここは標高が高いから夏場には避暑地として、冬場は雪を利用したレジャーがあってその時期は結構人が来るんですが、春はここに繋がる陸路に厄介な問題が発生して人が来ないんです」
途中でケバブに似た料理の店に荒木が食いつくが、無視して歩いていき銭湯に到着した。
別の世界の銭湯だが見た目は完全にスーパー銭湯
三階建ての暖色系の色彩と照明を中心とした落ち着いた雰囲気がある建物だ。
「すいません、男三人と女一人です」
ハルクスエが受付のおばちゃんに話しかける。
「一人300ロンね」
「ロン……あっこっちの通貨か」
「てか財布の中身を見てもどれを払えばいいかわから無いな」
ロンと言われてもピンと来ない日本人三人だが、各自持っていた財布を取り出してハルクスエに教えてもらいながら支払う。
「じゃあ一時間ぐらい浸かっていきすね」
「ういっす、一時間ね」
受付で鍵を受け取りハルクスエが女湯に入っていき、三人も男湯の脱衣所に入る。
「おっロッカーの中にタオル入ってんじゃん。サービス良いなぁ」
柳が一番乗りでロッカーを開ける。一方荒木は部屋を物色して扇風機を見つけたようだ。
「あ〜あ〜〜ア〜ワレワレハ〜〜」
「鬱陶しいから扇風機で遊ぶな荒木」
宇宙人ごっこをしている荒木を弘を注意している。
服を脱ぎ籠に入れて着替えを済ませようとする柳を見て二人も着替えようとするが、柳の背中を見て驚愕する。
「なあ……どうしたんだその背中の怪我」
「あん?あっこいつらか」
柳の背中には右肩から腰にかけて、巨大な怪我の跡がある。それ以外にも注意しなければわからないような傷や火傷の跡が残っているし、どうも最近つけられたような傷もある。
「昔車に突っ込まれたんだ。小1の時くらいに」
体の目立つ傷は大体がその事故の怪我だろうか、と荒木は推測し、それ以外の細かい傷についても質問する。
「そうか、でもそれ以外にも色々あるけど?」
「昔親のおかげで酷い目にあってさ、まぁそれなりに色々とあったんだよ」」
柳の声のトーンが少し下がったため触れて欲しくない事に触れたのかと荒木は思う。
「あっ………ゴメンな」
「気にしなくていいよ、もう主犯格の奴らはとっちめたし。それに俺って怪我の治りが良くてさ、大怪我しても結構完治してんだ」
すると後ろから弘が荒木に語りかける。
「なぁ荒木、大怪我の跡はわかるがそれ以外に傷なんてあるのか?」
「いやあるだろ。背中の真ん中あたりに小さいけどいくつかあるよ」
そう言われて弘が柳に近づいて行く。
「ホントだ地味にあるな。でもよくそこから見えたよな、お前って確か視力はそこまで良く無いんじゃなかったか」
すると二人の会話に、片手にタオルを持った柳が割ってはちる。
「まぁいいじゃん。とっとと風呂に入ろうぜ」
曇り硝子の扉を開けて浴場内に入ると、中は三人以外誰もいない貸切状態だ。
いくつかの壁にしきられた洗い場の椅子に並んで腰掛けそれぞれ体を洗い始める。
「なぁ弘……北霧の奴は大丈夫かな?」
「あんまり心配すんな荒木。俺たちには何もできる事は無いんだ」
「北霧って……確か俺と同じ様に『加護』を持って無い奴だったよな。どんな奴はなんだ」
「柳は知らなかったんだっけ?まぁあいつは一言で言うなら優しい奴だよ、親切だし。だけど運動は出来ないし勉強もそんなにだし、性格は根暗で人付き合いも悪いし、それに……」
「それに?」
「幼馴染、しかもむっちゃ可愛い子に片想いされてんのに、それを気付かないで逃げてばかり。だから女子の一部は怒ってて男子は嫉妬してて……で、それが原因で趣味を馬鹿にされたりパシらされたり」
「はぁ?嫉妬とか怒ってたりとか……ちょっとキレやすすぎだろお前らのクラス」
「変な話だろ?俺たちも何回か止めたんだけどまぁイタチごっこだわ」
三人が洗い場を出て掛け湯をしてから湯槽にはいる。温度は少し熱めだ。
「ふぃ〜やっぱり日本人は風呂に入らなきゃやる気でないわ」
「訓練は明日から始まるから今日のうちにしっかり体力を充電しておけよ」
「充電……雷だしてたお前が言うのも変な話だな」
肩までしっかり浸かった柳がのんびりした口調で言う。
それに続くように荒木も弘に話しかける。
「弘の雷はそんなに使うのが難しいのか?俺の魔眼はそこまで難しくなかったけど、加護によって色々差は出るのか」
「荒木の場合はどうかは知らないけど俺の場合、体の中に電池が有る感覚なんだ。それも絶対蓄電量が減らない電池で、あの腕や脚に付ける装置が放電する装置の役割らしい」
弘の能力は完璧に扱えば強力な力を排出するが制御するのが難しく、制御出来なくなった場合は自身か装置が破損してしまう。
それを防ぐ為に弘の装着していた手甲等……正式な名称『セラフィ・アーマー』には安全装置として放出される紅雷に限界量を定める機能が存在する。
「あの後いくつか説明書を読んだが俺達の前の代は昔から伝わる、それこそ神話かおとぎ話に登場するような物を使ってたそうだ」
「それ俺も読んだわ。確か『神話武器』て呼ぶらしくて、守護人一人ずつに与えてたんだ」
その発言に柳が突っ込む。
「あれが神話武器か?どう見ても普通に銃とかじゃん」
「実は守護人の得る加護に合わせた武器が支給されるハズだったんだけど俺達の前の代は激戦だったらしくて俺達が使うための武器がぶっ壊れたんだって」
「俺達の前の人達がね……どんな人達だったんだろ」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
荒木と柳がサウナで耐久バトルしたりしている内に三十分くらいたったようだ。風呂から出た三人はとっとと着替えて外に出る。
全員楽なジャージ風の服装で、着ていた服は各自のバックに入れたようだ。
ここで柳がある矛盾に気付く。柳がここの世界に来た時は夏だったのに何故二人は冬服を着ていたのかだ。
「あれ?そういやなんで夏なのに冬服みたいな服着てたんだ?」
「何言ってんだよ、十一月にこの世界に飛ばされたから冬服は普通に着てるだろ。弘は暑がりだから薄い服装だけど」
(あれ?さてんぬ祝いは夏の祭りなのに……十一月に荒木達が……召喚されたのか?)
どうにも辻褄が合わないが、その疑問を心の奥にしまって二人についていく。
誤字脱字や批判批評、感想お願いします
ネーミングって本当難しいです。




