表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/4

第三回 企画会議(前編) 敵が味方になるとなぜ弱くなるのか?

第三回 企画会議を開催する。 今日の議題は前回のシナリオで話を進めるのか。どうかだ。」


部長の第一声で、部内の全員が凍り付いた。

企画会議が始まるまでは皆、前回決定したシナリオから書き出された背景やキャラの絵を見ながらいろいろと話し合っていたのだが、先ほどの言葉に手を止めて視線を部長に集める。

心なしか。

全員の目がマジ切れ寸前に見える。


昨日の会議で序盤の出だしと世界観が決定し、全員がそのシナリオを軸に自分の役割を始めたのは二週間前のことだ。

テスト期間を挟んだために前回の会議から結構な時間が経っている。


その間に渡辺ADは既に主人公、最初に出会う女性、最初の敵、教皇マリエルと背景をすでにいくつか描き出し、今回の会議でどれを決定稿にするか話し合いたいと先ほどボヤいていた。

おまけに、シナリオ担当のもっちゃんは続きをできうるだけ多くの時間を割いて書き上げてきているらしく、先ほどコピーと撮った分厚いシナリオを手に持っていた。

東さんやこんちゃんは比較的まだ仕事をしていないが、シナリオや絵が変わればそれだけ自分の仕事が遅れることになる。

なので、部長の突然の申し出に思うところがあるようだ。


「ま、まぁ。君たちの意見もわかる。しかしだ。私は最初に言っていたね?『敵の時は強かったのに仲間になると弱いって部分にちゃんと理由付けをしてくれ』って。その辺の内容がこのままじゃ抜けていると思うんだ。だからこの話は無しに・・」


「意義有り!!」


部長の弁論に異議を唱えたのはシナリオ担当のもっちゃんだ。

さながら、どこかの法廷で争う主人公の如く。豪快に異議を唱えた。


「それは俺のシナリオを見てから言ってもらいましょう。皆さん。こちらのシナリオをご覧ください。」


そう言って彼はあらかじめコピーしてきていた原稿用紙を配った。


「部長の要望は全て入っています。その証拠となるシーンが今回のシナリオの第10頁である。最初の敵であるロゼが仲間になり、ヌゥー教徒と戦うシーンがあります。」


俺達は彼が促すまま、10頁目を開くとそのシナリオに視線を落とした。


~ロゼ・意図せぬ挑発編~


魔女狩りを行っていた私。ロゼ=ミリオンは異世界から来たという謎の少年。御剣に初対面でヌゥーを揉みし抱かれた。

御剣にヌゥーを揉みし抱かれた瞬間、得も言えぬ快感に支配された私は抵抗することもできず、不覚にも剣を落としてしまった。

そして、揉みし抱かれること数分。

私のヌゥーは立派に成長し、魔女を狩る側から狩られる側に変わっていた。

こんな見事なヌゥーを手に入れてしまってはもはや、極刑は免れない。

こうして、私は魔女として魔女狩りと戦う羽目になった。


「ロゼさん。大丈夫ですか?」


「近寄るな変態!!」


魔女狩りを行う教会の戦士達がこちらに向かっている。

その情報を受けて戦の準備をしている最中のことだった。

御剣が突如として、話しかけてきた。

私は咄嗟に身と引いて両手で豊満になったヌゥーを保護する。

著しい成長を遂げた私のヌゥーは、私の両手をその弾力で押し返そうとしてくる。


この豊満になったヌゥーのせいで以前まで着ていた鎖帷子や鎧が着られなくなってしまった。

私の着ていた衣服はヌゥー教の支配下で作られた衣服なのでBまでしか装備できないという制限があるのだ。

ちなみに、Cの人達には戦闘用の装備を着る資格がないので装備はB以下で設計されている。


「うう・・・ ごめんよ・・・」


私の咄嗟の行動に傷ついたのか。

御剣は悲しそうにトボトボと立ち去って行った。

彼が立ち去った後、私は今できる最大限の装備を身に着けると愛用の剣を腰に掛けて外へと出た。

丁度その時だった。


「騎士たちがやってきたわ!」


斥候をしていた魔女の一人が、大声で叫びながら魔女狩りが近づいてきたことを告げる。

それを聞き、戦う意思のある者達は武器を手に取り西へ、逆に逃げる者達は東に移動を開始した。

それを見て、すぐに私は騎士たちがやってきた方向へと駆け出した。


「どうしても戦うのか? こんな無駄な争いで人が死ぬことをばかばかしいとは思わないのか?」


戦場に辿り着くと、騎士団と相対するように魔女たちは陣取っていた。

そして、その陣頭に立ち御剣は魔女狩りをしに来た騎士団を説得しようとしていた。


「黙れ! 神のお告げにより、魔女は死罪。 例外はない! 行くぞ皆の者! 私に続け!」


だが、そんな御剣の懸命なせ説得も意味をなさず、騎士団の隊長は突撃を命じるのだった。

御剣は「残念だ。」とつぶやきながらニヤニヤと厭らしいめをして両手で胸を揉むような動作をしながらだらしなく鼻の下を伸ばし、口からはよだれを垂らした。

その姿に、敵は躊躇したのか。

近寄るのを警戒するのだった。


そのため、御剣のいる場所周辺は戦闘が始まらなかったが、それ以外の場所はきっちりと戦闘が開始された。

私は元同僚相手に剣を構えて対峙する。

だが、剣をしっかりと両手で握り脇を絞めると、豊満になった私のヌゥーが邪魔になる。

おまけに、前傾姿勢を取ると大きくなったヌゥーのせいでいつもよりバランスが悪く剣を構えずらい。

戦い辛かったので両脇を絞る腕でヌゥーを支えるようにして構えた瞬間だった。


「自慢してんのか?! このアマァ!!」

「大きいからって調子のんなぁ!!」


意図せず、私の行動がヌゥーを強調するようなポーズになった瞬間。

目の前の兵士2人が錯乱したかのように襲い掛かってきた。

咄嗟に対応を取ろうとするがヌゥーが邪魔で剣をうまく振るうことができない。

以前はヌゥーの存在を邪魔に感じることは一切なかったが、ここまで急激に大きくなるとヌゥーの存在は邪魔以外の何物でもなかった。


こうして、私は以前の半分の力も出せず苦戦することになったのだった。


~部室~


「どうです? しっかりと弱くなった理由が明確に書いてあるでしょう?」


もっちゃんは『どうだ。完璧だろ?』とでも言わんばかりにドヤ顔で宣言した。

確かに、胸が大きくなったせいで思わぬ障害が発生している。


服のサイズや装備のサイズが変わったために起こった防御力ダウン。

急速に大きくなった胸に悪戦苦闘することで起きた剣技の低下による攻撃力・命中力の低下。

さらには、このシーンではまだ出てきてはいないが、おそらくは胸が豊満になったことにより以前よりも体重が増えている可能性がある。

そうなってくると持久力の低下や敏捷性の低下もありうる。


以上のことから敵が仲間になったとしても、最初の内は大きくなった胸を持て余して強くない可能性が高い。

ゲームでいうところの仲間になったら『レベル1』的な状態に近い。


「ううむ・・・」


部長もそのことがわかっているからなのか。

反論の余地を見いだせない。


「というか。かなりの量を書いて来ているみたいだけど。試験勉強は大丈夫だったの?」


俺はこの作品のシナリオよりもかなりの量のシナリオを書いてきたもっちゃんの試験勉強の方が気になったので質問してみた。


「大丈夫ですよ。今日帰ってきた答案の平均点は80点ぐらいです。」


ううむ。

こんなバカげたストーリーを書いている人物が平均点70点以上なのか。

そういえば、俺が採点した彼のテストは83点と結構いい点数だったな。

こいつ、もしかして勉強はできるタイプなのか?

こんな阿保みたいなシナリオ書いてるのに?


「この作品、意外に結構なキャラが出てきてるわね。どこまでのキャラを絵にするべきかしら?」


「戦闘で使用するキャラってどれ? できればストーリーだけでなくキャラの詳細が書いてあるキャラ設定が欲しいな。キャラごとの技や特徴を把握しないとステータスを設定できない。」


部長が押し黙ったことで、このシナリオで進むことがほぼ決定したのだろう。

渡辺ADや東さんが設定についていろいろと質問をし出した。

もっちゃんはそれについての回答を出しながら先ほど渡したシナリオの後半部分を取り出して説明している。

どうやら、先ほど渡されたシナリオの束の半分はキャラ設定集だったようで、キャラの能力や特徴、技名とその効果などが書いてある。


「ううん。やっぱり全体的に女性やらが多いわね。私的にはもう少し男性キャラを書きたいんだけど。まぁいいわ。」


「おお、こういうのがあると助かる。技の威力や効果、習得可能レベルについてはゲームバランスと相談して決めさせてもらうよ。」


「ぐぬぬぬ・・・」


渡辺ADや東さんはいろいろと思うところがありそうだが、大まかな流れには賛同なのか。

喜々とした感じで話を進めている。

その横では御剣部長が何かを懸命に考えている。

どうやら彼的にはこのシナリオで進めていいのか迷っているところがありそうだ。

だが、反論の余地が見つけられずにいるようだ。


「学校で製作する者として不謹慎な作品がするんだけど。その辺は大丈夫なのかい?」


俺はそんな部長の行動を見かねて反論した。

主人公が女の子のオッパイを揉んで世界を救う物語だなんて高校の部活動での作成物としては些か問題があるのではないだろうか。


「そうだ! こんな厭らしい作品はダメだ! もっと健全なものにしないと!」


俺の言葉に部長が同意しながら高らかに宣言した。

それを聞き、話を進めていた4人がまたも表情を凍らせて部長を睨みつける。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ