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第一回 企画会議 とりあえずアバウトに

「え~。では、これより企画会議を始める。」


だらしのない姿勢に、やる気のなさそうな声で第一声を発したのは御剣部長であった。


「企画会議って大げさな・・・ ただのミーティングでしょ? 部長。」


その部長に的確にツッコミを入れるのは同期の渡辺ADだ。


「その辺はどうでもいいけど。本当にこの人数でできるの?」


渡辺ADの言葉につまらなそうに片肘をついて企画書を読むのはプログラマー担当のあずまさんだ。

その隣ではシナリオライターのもっちゃんと音楽担当のこんちゃんがおやつを食べている。

2人は仲睦まじくお互いに食べているおやつを交換しだした。

ちなみに、俺は役職だけの顧問だ。

部内で俺が行うことは一切ない。

なにせ今年赴任してきたばかりで、この部が何をする部活なのかよく知らん。


なので、先ほど紹介した5人が、団子県立みたらし高等学校。ゲーム研究会の総数である。


彼らが今行っているのは、企画会議ミーティングと呼ばれる。

今年製作する予定のゲームに関する打ち合わせである。


「まぁ、細かいところはいいとして。ともかく、今年も活動報告を行うためにゲームを作らねばならん。」


やる気のない部員たちを見ながら御剣部長は議題を進める。

彼の言う通り、部活動の活動報告を行い。来年もこの部が存続するためにゲームの作成は嫌でも行わなければならない。そのため、他の部員たちはそれぞれ気ままな態勢ではあるが、部長の話に耳を傾ける。


「今年作るのはRPGにしようと思う。主人公が仲間を集めながら魔王を倒す的な。王道もので行こう。」


「ええ~。ひねりがない。つまらない。」


御剣の言葉に、シナリオ担当のもっちゃんが駄々をこねる。

彼としてはもっと独創的な作品を作りたいのかもしれない。

でも、お菓子を食べながらの発言なので、傍目にはやる気があるようには全く見えない。


「ふ。もっちゃんよ。このよくあるパターンでどこまで独創性が出せるか。そこにシナリオライターの真価が問われるということを理解できないようでは、君はまだまだだな。」


そんなもっちゃんの答えに御剣部長はよくわからないポーズをとりながら答えを返した。

なんだろう。最近流行りのジョ×2立ちという奴だろうか。


「ううむ。そう言われると断れないなぁ~。」


もっちゃんは御剣部長の話に納得したのか。肯定の意を示しながら無くなったおやつの箱を捨てて新しいおやつの箱を開けだした。

というか。学校にそんなにおやつを持ってきていいのだろうか。

この学校に赴任してきたばかりなので学校の雰囲気がつかめていないので注意していいのか迷う。


「RPGって言っても戦闘の種類はどうするんですか? アクションは無理だからMMOかシュミレーションか。王道のターン制のバトル方式ですか?」


プログラマーの東さんはシナリオの話が終わると即座に話を切り替えた。

彼にとってはそちらのほうが重要なのだろう。

多分だけど。シナリオや絵がどんなであろうと彼の作る基礎プログラムに変化はないのだろう。


「ううん。最近見なくなったけど。個人的には昔のFF的な。ゲージが溜まった人から行動を行っていくパターンがいいな。キャラごとの速度の違いが分かりやすくていい。」


部長の個人的な意見がふんだんに盛り込まれた内容にもかかわらず、文句を言う人間は誰もいない。

むしろ、その辺はどうでもいいという雰囲気がうかがえる。

おそらくは、ゲーム作りを体験するのが目的なので細かい自分のやる作業以外はあまり気にしないのだろう。


「なるほど。じゃ、戦闘はその方向でいいとして、通常時のマップとかはどうしますか? キャラがマップ内を歩く感じですか? それとも、エリア選択で移動して決まった回数の戦闘を行う方式でしょうか?」


次に口を開いたのは渡辺ADだ。

ゲーム内の絵全般を掻く彼女にとってマップやダンジョンはともかく、エリア選択の場合。その場所がどのような場所か一目でわかる絵を描かなければならない。


「ううん。ダンジョンを作成するのって意外と面倒なんだよね。今年は先輩が抜けて新入生にはもっちゃんとこんちゃんが入ってきてくれたけど。プログラマーは関係ないしね。容量も大きくなっちゃうし、攻略に時間もかかる。バグの処理をする手間を考えるとエリア選択方式の方がデバッグの時間も短縮できそうだからなぁ。悪いけど。頼めるかい?」


一言で即決せずに、部の内情やその後のことを考えているかのような発言を織り交ぜながら遠まわし気味にお願いする部長。

その言葉を聞きながら「あ~。はいはい。」と適当に頷くとシナリオ担当のもっちゃんと会話を始めた。

時代背景やどういうストーリーにするかで書く場所のイメージを掴みたいのだろう。


「あと、俺からいうべきなのは・・・。 そうだな。できれば、敵を殺さずに倒して仲間にしていく方式のストーリーにしてくれ。んで、あーいうゲームにありがちな。敵の時は強かったのに仲間になると弱いって部分にちゃんと理由付けをしてくれるといいかな。」


御剣部長はそう言って思いついたことを口にする。


「まぁ、それぐらいの縛りなら大丈夫だと思います。今日中に大まかな時代背景と主人公のスキルを決めて、細かい流れはまた今度でいいですよね。」


渡辺ADと打ち合わせをしていたもっちゃんは会話を一旦打ち切ってから部長の言葉に返事を返した。


こうして第一回企画会議は終了した。

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