第二十一話『脱出! にゃん丸らを守るのにゃん!』
第二十一話『脱出! にゃん丸らを守るのにゃん!』
スタセミへと降り立ったウチを、ミクリにゃんとミロネにゃんが迎えてくれた。
「お帰り、ミアン君。ご苦労様。君のおかげで水人形たちは現われなくなったよ」
(ウチのおかげ? どうしてそんにゃことを)
「ええと……、ウチはにゃあんにも知らにゃいのにゃよ」
自分が『神』とか『正義の味方』にゃんていえやしにゃいもの。にゃから、ウチがにゃあまん様であることは誰にも内緒。『にゃあまん様ににゃる』って決めた時からそう考えていたのにゃ。ところがにゃ。ミーにゃん以外、誰も知らにゃいこの事実をミクリにゃんはさも理解しているようにゃ素振り。にゃもんで、ウチは咄嗟にとぼけるので精一杯にゃん。そんにゃウチを見かねたように、『あのね』とミクリにゃんが続けて言葉を。
「ミアン君。みんな知っているんだよ。君が」
「ミクリ殿。余計なお喋りは無用だ」
見れば、ミロネにゃんが、立てたネコ差し指を唇に当てて隣に居る友にゃちと向かい合っているのにゃ。
「ええと……。ミクリにゃん。一体にゃにをいおうとしたのにゃん?」
「えっ。……いいや、なんでもない、なんでもない」
笑って首と両手を横に振るにゃけでそれ以上、にゃにもいわにゃかった。様子がおかしいのはミクリにゃんとミロネにゃんにゃけじゃにゃい。ちょっと向こうのほうではミーにゃんが、ミムカにゃん、ミリアにゃん、そしてミストにゃんともつるんで、にゃにやら、ひそひそ話。四にんとも、ちらちら、とこっちを見ているのが気ににゃってしょうがにゃい。尋ねてみても、おんにゃじように『なんでもないなんでもない』の一点張り。にゃんとにゃあく、もやもや、っとした霧に包まれているようにゃ気分を味わっているウチがそこには居たのにゃん。
帰ってからのみんにゃの態度が少し変にゃものの、狭界脱出そのものは順調みたいにゃ。
実は……、ウチには気がかりにゃことが一つあったのにゃ。みんにゃの前で聴くのもどうかと思って今の今まで黙っていたのにゃけれども、ふと見れば、尋ねたい相手がひとりっきりでセミスタの縁辺りに立っている。しかも外側を見ているのにゃ。にゃもんで、『これは好都合にゃ』とばかりに、早速、近づいてみたのにゃん。
そぉっ、と、そおっ、と。
ウチはミロネにゃんの背中と向き合う感じでしゃがみ込む。
翅人型で、しかも座っている相手と話すとにゃると、おんにゃじ『しゃがむ』にしてもウチは少し前屈みの姿勢をとるのにゃ。どうしてかといえば、相手の背丈が小さいから。互いの目線をにゃるにゃけ近づけたほうが、ウチとしてはお喋りしやすいのにゃ。
とはいうものの、『気配を殺して獲物をとる』みたいにゃ不自然にゃ姿勢のせいか、話し終えたあとに、ちょっぴりと疲労感のようにゃものを味わうのにゃ。これがウチは好きじゃにゃい。
その点、ミロネにゃんは一対一でも、『みんにゃ揃って』の時でも、立ったまま話すのが常にゃ。にゃもんで、こっちも自然にゃ姿勢でしゃがめる。じっくりと話し込んでも、いささかも苦ににゃらにゃい。
……とまぁどうでもいい話はこれぐらいにして、と。
「にゃあ、ミロネにゃん」
声をかけたら、びくっ、と身体を少し震わせてこちらを振り返ったのにゃ。
大きく見開いた目を見て、内心ほくそ笑むウチ。
(ぶふっ。上手くいったのにゃん)
別に悪意があったわけじゃにゃい。たにゃ、『一瞬でもいいから、驚いた顔を見せにゃいかにゃあ』との期待からやってみた、ウチのささやかにゃお茶目にゃん。
「なんだ、ミアン殿か。どうした?」
「聴きたいことがあるのにゃけれども」
「聴きたいこと? ……構わないが」
にゃら、とウチは『気がかり』を口にしてみる。
「ウチらが霊穴路を通ったあと、三にんのにゃん丸らはどうするつもりにゃん?」
「どうするって……。
もちろん、オレたちが無事に通常空間まで辿り着けば、お役御免だ」
「それって『廃棄』ってことにゃん?」
「にゃん丸たちには、『お務めが終われば戻っていい』といってある。残った力次第では、こちらまで帰ってくることも可能だ」
「それってつまり……、
『帰れないこともある。いや、むしろ、帰れない可能性のほうが高い』ってことにゃん?」
「ああ。率直にいえば、そうなる」
「にゃら、ウチがにゃん丸らを連れて戻ってくるのにゃん」
「なに?」
「ウチが殿を務めるといっているのにゃん。みんにゃがこの狭界から消えたら、にゃん丸らと一緒に帰る。光を発しているのであれば問題にゃいのにゃろ?」
そういった途端、話し相手の、普段も見せている物柔らかにゃ表情が一変、眉間に皺を寄せるといった険しさを帯びた顔つきとにゃったのにゃ。
「ミアン殿。そんな危険を冒す必要がどこにある? 前にもいったと思うが、にゃん丸たちはみな、元を辿れば『データ』だ。数値データを霊体化することであの子たちは生まれた。いや、あの子たちだけじゃない。オレも、レミロも、そしてマザーもだ。貴殿らのような成るべくして成った霊体とは異なるんだ。
真正の霊体が、命を賭けてまで擬似霊体でしかない存在を救うことはない」
(にゃんてことをいうのにゃん)
ミロネにゃんの言葉とはいえ、ウチは反論せざるを得にゃい。
「いんにゃ。救うべきにゃ。どんにゃ過程を経て生まれたのでも構わにゃい。大事にゃのは、あの子らひとりひとりに、固有の『意志と性格』が備わっていることにゃ。立派にゃ霊体じゃにゃいの。ウチらとにゃんら変わらにゃい。マザーミロネにゃんも、レミロにゃんも。もちろん、ミロネにゃんもにゃ」
「ミアン殿……」
ミロネにゃんは言葉を失ったようにゃ。
(どんにゃ命も軽んじてはにゃらにゃい。ここは是非ともいわにゃければ)
ウチは更に畳みかけたのにゃん。
「にゃらば、助けにゃくていい理由がどこにある?
ミロネにゃんたちは先に行くのにゃ。
ウチはにゃん丸と一緒にあとから行く。絶対に、にゃ」
思いは全て口から吐かれた。話が終わったので、ウチはにゃん丸らのところへ飛ぶことにしたのにゃ。空飛ぶ絨毯とにゃるか、それとも、マントの力を使うか。自力で飛ぶには、今のウチの霊力ではいささか心もとにゃい。既にマントをつけていることもあって、そのまま使うことにしたのにゃ。
セミスタの縁ぎりぎりのところに立ったウチ。『さぁジャンプにゃ』と思った矢先、『待て』とミロネにゃんから声がかかったのにゃ。
「ミアン殿。にゃん丸たちと一緒に居てくれるという貴殿の気持ち。とても有り難く思う。
しかしながら、保守空間マザーミロネの務めは、天空の村を守ること、そこで生きる命を守ることにある。もし、仮にだ。君がにゃん丸を救う為に命を落とすことになれば、オレたちの存在意義はなくなる。なんの為に生きているのか、判らなくなる」
「ミロネにゃん……」
「ミアン殿。決心は変わらないようだから、もうとめはしない。だが、どうしてもこれだけは聴いてもらわねばならない。
頼む、ミアン殿。絶対に危険は冒さないでくれ。にゃん丸がどうしても助けられないようであれば、ためらうことなく切り捨ててくれ。貴殿が無事に帰ってくることこそ、にゃん丸の、いや、にゃん丸だけじゃない。オレたち保守空間の存在が、ムダじゃないことを示す証なのだから。
オレたちに貴殿を、天空の村に棲む者の命を守らせて欲しい。頼む」
瞬き一つしにゃい目と訴える言葉。どちらも真剣そのものにゃ。『頼む』といってから頭を下げたミロネにゃんの姿にも、ウチの心が熱くにゃる。『判ったのにゃん』とうなずきたくもにゃる。
(でもにゃ……)
顔を上げたミロネにゃんに、ウチは自分の心を伝えることにしたのにゃ。
「にゃあ、ミロネにゃん。
ミロネにゃんがウチの身を案じてくれるのは、
『助けなければならない。だから、助ける』と思ってくれるのは、
『保守空間』が最大の目的とする、『守る』という意識が、生まれにゃがらにして心に刻みつけられているからにゃろう?」
「ああ。否定はしない」
「ウチがにゃん丸の身を案じるのは、
『助けなければならない。だから、助ける』と思うのは、
『助けたいから、助ける』との意識がどんどん強くにゃっていったからにゃ。『保守空間』の『守る』に匹敵するぐらいに、とまでいっては、大げさかもしれにゃいのにゃけれども」
「助けたいから……。そういうことか。
しかし、貴殿をそこまで駆り立てているものって一体なんなのだ?」
「ミロネにゃん。ウチはにゃ。一回、命を失っているのにゃ。イオラにゃんに逢わにゃければ、化けネコとして生まれ変わる未来も、みんにゃと友にゃちににゃる未来もにゃかった。今こうして、ウチが未来を楽しめるのは、イオラにゃんのおかげにゃ。イオラにゃんが自分自身の命の欠片を使って、不完全にゃったウチの命を造り変えてくれたおかげにゃのにゃ」
「ミアン殿……」
呟くミロネにゃんの目がやや優しいものに。
「とまぁそんにゃいきさつもあってにゃ。ウチはこんにゃ望みを抱くのにゃ。
『自分も他の誰かに未来をあげられたら』『自分が新たに授かった命をその為に使えたら』とにゃ。もっとも……、ウチは別に神でも保守空間でもにゃいから、その『誰か』は選ばせてもらうのにゃけれども」
「『選ぶ』……か。オレたちにはない発想だ。その選んだ理由が、貴殿の『助けたい』という思いを深めさせる引き金となっているわけだ。
ミアン殿。差し支えなければ、どんな相手を選ぶのか聴かせてはもらえないか?
非常に興味がある」
(興味があるっていわれてもにゃあ)
保守空間が関心を寄せるほどの理由じゃにゃい。かといって、隠すほどの理由でもにゃい。喋ろうかどうしようか悩むほどの理由でもにゃい、ってことで喋ったのにゃ。
「ウチが好きにゃ相手にゃ。『自分の命と引き換えても未来をあげたい』と思えるほど、好きにゃ相手にゃん」
「それが……、にゃん丸か?」
「うんにゃ。にゃん丸は可愛いい。ウチは可愛いものが好きにゃん。
にゃもんで、助けてあげたい。助けにゃければにゃらにゃい。そう思ったのにゃん」
ミロネにゃんが目を丸くしているのにゃ。
「たった……たったそれだけの理由で?」
「うんにゃ。ウチにはそれで十分にゃん」
「それで十分……」
腕を組んでうつむくと、ひとりごとのように呟いたのにゃ。
(考え方が違うもの。無理もにゃい)
しばしの沈黙のあと、再びウチと視線を合わせたのにゃ。若干、きつめの目に戻ってはいるものの、口から紡がれた言葉は。
「ミアン殿。にゃん丸たちを頼む」
「ミロネにゃん。それにゃら」
『自分の思いが通じたのでは?』との『期待』が生まれた。でもにゃ。続く言葉は、『期待』を『確信』へとは導いてくれにゃかった。
「しかし、オレがさっきいったことも忘れないでおいてくれ。
信じている。貴殿が、いざとなれば、自分の思いに縛られることなく、最善の道を選択出来る友であることを」
ミロネにゃんは返事を待つこともにゃくウチに背を向け、ミーにゃんやミクリにゃんのほうへと飛び去ったのにゃ。
もっとも……、そのまま居たとしてもにゃ。ウチはにゃにも答えにゃかったと思う。
どう答えたらいいか、判らにゃかったのにゃ。
マントの力を借りて、ウチはスタセミから飛ぶ。にゃん丸らのそばまで行くと、そこで待機。星型の乗り物が見えにゃくにゃるまで見守ったのにゃ。
ウチの視界からスタセミが消えて少し経った頃にゃ。
「ぷゆぷゆ。ミンナ、ムコウ、ツイタ」
「そうかぁ。上手くいって良かったにゃあ。さぁウチらも帰ろう」
光を放ったままのにゃん丸を、ひとり、またひとりと、前足の指を小刻みに振ることで自分のほうへと引き寄せたのにゃ。
ところがにゃ。三にん目。最後のひとりが点灯から点滅へと変わったのにゃん。
「もう、にゃの?」
力が弱くにゃったとみえ、光が消えかかっているのにゃ。それに連動するかの如く、霊穴路の光もまた弱いものに。
「まずいにゃん」
慌てて前足を差し出したもののにゃ。あとわずかで指先に触れる、といったところで、点滅すら消失。力尽きたのにゃろうか。そのまま落下を始めてしまったのにゃん。
「にゃん丸ぅっ!」
マントの力をフルパワーにしてウチは降下。その甲斐あってか、一時は確かに右の前足で拾えたのにゃ。ところがにゃ。上昇へと転じたさにゃか、どうした拍子か、するり、と前足のひらから零れてしまったのにゃん。
「にゃん丸! にゃん丸!」
大急ぎで周囲を見回したのにゃ。目を大きく見開いて、凝視するようにゃ感じで。
……でもにゃ。どこにも居にゃいのにゃん。
「にゃん丸ぅ!」
声がかれると思うまで叫んにゃ。するとにゃ。ウチの左肩に乗っているにゃん丸らが。
「ぷゆぷゆ。モウダメ。ハヤク! チカラ、ナクナル」
「そんにゃあ!」
ふたり居るうちのひとりも点滅を始めてしまったのにゃ。霊穴路の光は、と見れば、こちらも弱くにゃっている。
(にゃん丸を探すのにゃ)
(いんにゃ、帰るのにゃ。でにゃいと他のにゃん丸も巻き添えを食ってしまうのにゃ)
二者択一のこの状況。心をゆらさずにはいられにゃい。
たにゃ、迷っている時間はにゃい。
ウチは……、どうすればいいのにゃろう?
このままにゃん丸を置き去りには出来にゃい。でもにゃ。タイムリミットはもうそこまできているのにゃ。霊穴路が閉じてしまえば、他のにゃん丸もここから出られにゃくなる。果たしてそれでいいのにゃろうか。ウチはミロネにゃんにいい切ったのにゃ。『ウチはにゃん丸と一緒にあとから行く。絶対に、にゃ』と。それにゃのに…………はっ!
帰るのはにゃにも他のにゃん丸を守ることにゃけに留まらにゃい。
ウチ自身、自分を守ることにも繋がってくるのにゃ。
これらを全部をひっくるめて、『自分を守る』としたにゃらば……。
ウチはニャンポにゃんの言葉を想い出す。
『つまりだよ。誰かが「自分を守る」を追求しようとすれば、自ずと誰かに迷惑をかけないではいられない。犠牲を強いずにはいられなくなる』
『「自分を守る」なら、誰かに迷惑をかけるのは覚悟しなきゃ、ってことなの』
そうにゃ。『自分を守る』には、もう片っ方の皿に『にゃん丸の置き去り』という名の犠牲を乗せて天秤のバランスをとるしかにゃいのにゃ。
そして、その覚悟をしにゃくてはにゃらにゃいのにゃん。
たとえ、ウチの『自分を守る』が、『ダメにゃものはダメ』とウチ自身が評価したニャンポにゃんの『自分を守る』に匹敵、もしくはそれ以下のレベルであったとしてもにゃ。
(他のにゃん丸まで犠牲にするわけにはいかにゃいのにゃ!)
心は……決まったのにゃん。
「にゃん丸ぅっ! ごめんにゃあ!」
くるっ。
ウチは見下ろす姿勢から、見上げる姿勢へと転じたのにゃ。
でもって飛び立とうとした。
ところがにゃ。
「うっ!」
くらっくらっ、と目まいが。と同時に、全身から力が抜けていくようにゃ感じを覚えたのにゃ。意識もまた遠のきかけている。
でもにゃ。それも束の間にゃん。
「あれっ? もう収まったのにゃん」
がくっ!
「ふにゃん!」
急に降下を始めたのにゃ。慌てて背中を振り返る。マントに異常はにゃさそう。
「まさか……、これが『ゼロの時』にゃの?」
にゃとすれば、マントもウチも力はゼロにゃ。ウチは降下ではにゃく、落下していることににゃる。もちろん、認めたくにゃい。でもにゃ。認めざるを得にゃのにゃ。にゃって真っ逆さまに墜ちている自分がそこに居るのにゃもん。
『頼みの綱のにゃあまん様を』と思ってはみたものの、パンにゃんの話に依れば、一回動かしたら、当分の間、おネムとのこと。『にゃら、他には助かる方法は?』と考えても、にゃにも頭に思い浮んでこにゃい。とどのつまりが、
「誰かぁ! 助けてにゃああん!」
『誰も居にゃい』と判っているのに叫ばずにはいられにゃい。
と、その時にゃ。ウチの眼下、『青緑というには、ちょっと青が濃いのでは?』と思える水面の上、視界に映る一番下辺りに、ネコ耳をつけた丸いものの姿を認めたのにゃ。
「ネコダマにゃん!」
視界の真ん中辺りまで来たと思ったら、突如、前方を見ていたウチそっくりの顔をこちらへと向け、加速し始めたのにゃ。その速いこと速いこと。猛烈にゃ勢いで、ぐんぐんと迫ってくるのにゃ。でもって、その顔を良く良く見れば……、
涙をだらだらと流しにゃがらも、ウチを凝視。鼻の穴が拡がっていて、噤んにゃ口元が膨らんでいる。にゃにやら切羽つまったようにゃ、思いつめた表情にゃん。
(まにゃ怒っているのにゃ。友にゃちを吐かせたもんにゃから。
あっ。それとも、置いてきぼりにされたからかもしれにゃい)
ともあれ、理由をあれこれ考えている暇はにゃい。このままにゃと正面衝突にゃ。
(ここはお詫びをするのが一番にゃ)
「ごめんにゃあ、ネコダマにゃああん!」
残念にゃがら……謝ってもスピードは落ちず。ついに目の前にゃ。
「ぶ、ぶつかるのにゃああん!」
ばっががああぁぁん!
爆発の衝撃で吹っ飛ばされ、上空へと昇っていく。
(天秤を恣意に傾けた? でもにゃ。そんにゃ覚えはにゃい。
天秤が釣り合わにゃかったから? にゃら、どうすれば良かったのにゃん?
ネコダマにゃんをど忘れした罰? ああ、それにゃら納得にゃ)
今度は本当に気を失うと思ったのにゃ。でもにゃらにゃかった。それどころか、青白き光に包まれて、全身に力が漲る。
『連れていって』
そんにゃ声が心に届いた……気がしたのにゃ。
きっと、ネコダマにゃんはひとりぽっちににゃって、さみしくて、それで。
「ウチのところへ戻ってきたのにゃ」
ぶつかってネコダマが破裂した際、ネコダマ自身を造っている霊力と中に充満していた霊力の両方が一斉に元の持ち主、つまりにゃ。ウチへと還元されたのにゃ。もちろん、与えた時よりも霊力は減少している。それでも、これにゃけはあれば十分にゃ。もぉう、勇気百倍。にゃんでも出来る気がした。
びゅうぅん!
光弾にも似た勢いで上昇していく。『ゼロの時』……と思うのにゃ……が、わずかにそれたのにゃろう。前方には、『取り残された』といった感が漂う、にゃん丸ふたりの姿が。心得たもんで、声をかけずとも仲良く並んで、くるくるっ、と転がるように、こちらへと下りてきたのにゃ。でもってウチの左右の肩にそれぞれひとりずつ、ふわっ、と乗っかった……じゃにゃいにゃあ……、ぴたっ、と引っついたのにゃ。
「うんにゃ。これにゃら大丈夫にゃん」
有り難いことににゃ。にゃん丸の『点灯点滅ひとりずつ』状態は、まにゃ保たれている。霊穴路のほうも弱々しい光にゃがら、色はまにゃ青。繋がっているはずにゃん。
(頼むから向こうに着くまで力を持たせてにゃ。イオラにゃん。お願いにゃあ!)
自分の命の欠片とミーにゃんとの出逢い。この二つを与えてくれた天空の村の守護神に祈りを捧げつつ、ウチは霊穴路の光に導かれるまま、通常空間へと向かったのにゃ。




