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第一話『大変にゃああ!』

 第一話『大変にゃああ!』


 びゅうぅん!

 緑色に美しく輝く光弾がこちらへと飛んでくるのが目に映ったのにゃん。

「大変だわああぁぁん!」

 もしや、と思った心のうちに現われた顔。聞こえてきた声から察した顔。この二つが重にゃって、しかも一致するとくる。『やっぱりにゃ』と思う間もにゃく、

 ずばばばばばああぁぁん!

 大地を壊さんとばかりに叩きつけられた光弾。衝突で生み出された光芒に、思わず怯むウチ。恐らくその場に居る全員の視界も真っ白に覆われたのに違いにゃい。

(ミーにゃん。あんたにゃあ)


『遊びの広場』とは、イオラの森のほぼ真ん中に位置する広場にゃ。でもって、この広場の更にど真ん中が、ウチらの一番のお気に入り。『「遊び場」に行こうにゃん』といえば、そこに行くことを意味するのにゃ。遊び場は草の生え代わりが早く、年柄年中、新緑の柔らかにゃ葉が一面に生い茂っている。座るにしても寝転ぶにしても快適この上にゃい場所。居心地の良さはまにゃ他にもある。暑ければ大木の木陰で休めばいいし、喉が渇けば小川の水で潤せばいい。もちろん、沼で水浴びも楽しめるのにゃん。残念にゃのは食べるものが少にゃいことにゃ。でも、美味しい木の実が生る果物園が近くにあるからそう不満はにゃい。森に棲む生き物にゃら、『長い時間を過ごすのに、これ以上、快適にゃところはにゃい!』と誰しもが認めるであろうこの場所に、ウチらミーにゃん同盟は、ふたりを除いて、いつもの如く集合していた。

 ふわふわっ、とした感じのネコ型妖体……うちひとりは多様型にゃ……が、ウチも含めて四にん。タンクトップとパンツを身に着けている二枚翅の翅人型妖体がふたり。以上、計六にんが平和を満喫。いずれもが、実体波を纏っているのとおんにゃじくらいのくっきりとした姿で草むらを、

 ごろごろごろ。ごろごろごろ。

 転がっているさにゃかの出来事にゃった。


 光弾の正体はミーにゃん。ウチの親友にゃ。興奮したり、急いでたりすると、この姿へと身を変えるのにゃ。自らの意志で遊び場に落ちて、最悪、自分もろともウチら妖体を、情け容赦にゃく木っ端微塵に粉砕することもある。要するに、『無邪気』にゃのにゃ。邪気がにゃい分、遠慮もしにゃいし、手加減もしにゃい。思うがままに力をぶつけようとする。にゃんとも過激にゃ幼児にゃ。とはいうものの……、幼児のミーにゃんに霊体の核を壊すほどの力はにゃい。妖体を含めて霊体はみにゃ、核の部分さえしっかと残っていれば、あとは自然と再生するのにゃん。

(にゃから、『にゃんの問題もにゃい』とは口が裂けてもいえにゃいにゃあ。

 にゃって迷惑至極にゃ行為であることは間違いにゃいもん)

 意外にも今回の落下地点は、ここに被害が及ばにゃいくらい離れた場所。

(目測を誤ったのにゃろうか、それとも少しはウチらのことを気遣って……)

 是非、後者であって欲しいものにゃ、と思う。儚い望みと知りにゃがらも。


(今にも飛んでくるのに違いにゃい)

 そう思って見上げても、眩しい光が視界をさえぎる。

 天空の村を照らすは『三連太陽』。三つの小さにゃ太陽がひと塊りとにゃったそのお姿は、あたかも一つのまぁるい光と目に映るのにゃ。この光は生きとし生けるものに、恵みの光と暖かさをもたらしてくれる。と同時に、今という時をも教えてくれるのにゃ。

 はるか彼方の上空で、ぎらぎら、と輝く、この真ん丸様の傾き具合からして今は、朝半……朝と昼の間にゃ……の少し手前ぐらいにゃ。

「ごめんねぇ! アタシとしたことが、とんだ間違いをやらかしてしまったわあぁぁん!」

 遠くから聞こえた声に思わず、がっくりにゃ。

(にゃと思った)

「ええと……ええと……なんだっけ…………あっ、そうそう!

 た、大変だわあぁん!」

(いつものセリフを忘れるにゃんて。ぶふふっ。よっぽど慌てふためいているのにゃ)

 息咳切って遊び場に飛び込んできたのは、いうまでもにゃくウチの親友。ミーナという名前にゃのにゃけれども、ウチはいつも、『ミーにゃん』と愛称で呼んでいるのにゃん。翅人型の妖体に相応しく羽ばたいてやってきた。便利にゃもんで、必要がにゃい時は翅を背中の奥へと仕舞えるのにゃ。今の今まで他の翅人型がネコ型と一緒ににゃって、ごろごろ、出来たのもおんにゃじ理由にゃん。


「大変だってぇ! そりゃあ大変だぁ!」

 続けて素っ頓狂にゃ声を上げたのはミロネにゃん。ミーにゃんとおんにゃじ翅人型妖体ではあるものの、容姿はだいぶ異にゃる。髪は白色で、あご辺りくらいまでの長さ。前髪を三つに分けて、真ん中の髪先は鼻に少しかかるくらいにゃ。身体の色は褐色で、翅と霊服は、緑、紺、茶色のまだら模様という変わった絵柄。顔の表情からは翳りとマジメさが覗けてしまう。天真らんまんにゃミーにゃんを『光』とするにゃらば、こちらはどうしても『影』と目には映る。にゃもんで余計、今は必死めいたものが伝わってくるのにゃ。

(誰か煽られる者が出るのに違いにゃい)

 そう思っていたら、案の定にゃ。


「た、た、た、大変なのでありますかぁ!」

 続いた二つの声に、怯えた感じのミムカにゃん。落ち着いてはいられにゃいのにゃろう。『どこへ逃げますですかぁ?』といわんばかりの視線を誰ともにゃしにぶつけつつ、身体を少し屈めて、おんにゃじところをぐるぐると。彼女はネコ型、翅人型、ぐにゃぐにゃ、のいずれの姿をも持つ変態、いや多様型妖体にゃ。今はネコ型で、全身、白地に黒の縞模様が描かれているといった容姿でとても綺麗。くりくりした目に相応しく、燥ぎ回ったり遊んにゃりするのが好きみたいにゃ。そのせいにゃろうか、表現の仕方がいささかオーバーにゃのにゃ。実際には見た目の半分ぐらいしか、びくついていにゃいとみたほうが無難かも。

 ミーにゃんとは仲が良いばかりじゃにゃい。翅人型の時であれば、『頭も力も技も、それに顔の器量までもが伯仲の実力を持つわん』と、ミーにゃん自身が認めたライバルにゃのにゃん。


「そう。……大変なのね」

 ミストにゃんの身体が、ぶるぶるっ、と小刻みにゆれているのにゃん。元々口数の少にゃい女の子にゃにゃけに、平静を装った声の中に潜む恐怖の響きは、こちらの背筋さえも、ぞぉっ、とさせてしまうくらい、びんびんに伝わってくる。

 ミストにゃんは霧の妖精。翅人型妖体にゃ。髪は黒色で、首にかかる手前辺りまでの長さ。前髪は真ん中から左右二つに分けている。身体は紫がかった白い色で、二枚翅は紫の地に光沢のある水色の帯が走っている。霊服も紫一色と、紫の目立つ容姿にゃん。いつも自分を『神秘の象徴』の如く装ってはいるものの、本当は内気で怖がりにゃ性格。にゃもんで逆に親しみやすい存在とにゃっている。


「大変なんだよねぇっ!」

 相も変わらずの大声にゃ。ミクリにゃんはネコ型妖体。地の妖精の一種で地中ネコにゃ。真っ正面から見ると、頭の縦半分を境に左側が青、右側が赤の毛並みにゃ。力を使う時は赤。技を使う時は青と、全身がどちらか一色に染まる面白ネコ。『こうなれば、こうする』と判りやすい行動をとる性格が魅力にゃん。


「にゃ、にゃんと! 大変にゃあああ!」

 どん尻に控えしが、というわけではにゃいのにゃけれども、もちろん、ウチも声を張り上げずにはいられにゃい。身体と声を震わせて力のかぎりに叫んにゃのにゃ。


 ついでにいえば、ミーにゃん同盟にはもうひとり、仲間が。ミリアにゃんにゃ。今日は一度も顔を見ていにゃいのにゃけれども、もし、この場に居たのにゃら、『それは大変ですねぇ』と目をぎゅうっ、と瞑ってにゃにやらに考えごとをしている様子を見せていたのに違いにゃい。

 ミリアにゃんはネコ型妖体。樹海の森に林立する多くの霊木が生み出した妖精にゃん。

 身体中が薄緑一色の毛並みに覆われている。目立って特徴あるものといえばピンク色の首輪。先祖伝来の形見とか。フレームの輪っかは遠隔操作で拡げたり縮めたりが自由自在にゃ。霊技を出す時は真ん丸型レンズ……ちょっと大きめにゃ……のメガネに変わる。フレームが拡がって上昇、目の辺りまで来ると、狭まって装着とにゃる。見ように依っては、異星人ととらえられてもおかしくはにゃい雰囲気にゃ。もっとも、ミリアにゃん自身はそばから見ると、『沈着冷静』『おしとやか』『思慮深い』といった感じがしにゃいでも……とまぁここまで思い浮かべたところで、

「ちょっとちょっと。それって違う」

 びくぅっ!

 気がつけば直ぐ横に、愛想のにゃい顔の持ち主が。

「あ、あのにゃあ、ミストにゃん。お願いにゃから、不意に来にゃいでくれにゃいかにゃあ。あと、ネコの心を勝手に読まにゃいで欲しいのにゃけれども」

「あら、嫌われたかしら? でも今はそんなことより」

 ミストにゃんの話に依ると、ミリアにゃんの外見と中身って、どうやらだいぶ違うらしいのにゃ。

「だまされてはいけないわ。あの子はね。本当は、ただのぐうたらな、のんびり屋さん。とにかく、だらぁ、としているのが好きなのよ。もちろん、考えに耽っている時もあるにはあるわ。だけどね。それは、『これから私はなにをすべきでしょうか』みたいな、見つかりっこない答えを追い求める自分が楽しくてしょうがないからなの。

 ……でもまぁそれぐらいなら誰にも迷惑をかけなくて済むのだけれど……ふぅ。

 考えに耽っている間に、妄想というか、まぁ夢想ってことにしておくわね。とにかく変な思想を見い出しては、思いっ切りそれに浸っちゃうってことが、ざらにあるの。最悪の場合、『私の思想に賛同しませんか? サークルを造りませんか?』などとも誘ってくる。でもって、たまぁに説得に応じて拝聴してみれば、聞いた耳ごと、ごみ箱へ捨てたい内容ばかり。迷惑至極な話だわ。おかげで……ふぅ。それが原因かしらね。わたしまで愚痴っぽくなっちゃって。本当、困ったものだわ」

「それが判っていて、にゃんで説得に応じて拝聴するのにゃん?」

「ほら、『心と身体は別物』って良くいうじゃない。頭では判っていてもね。身体が自然と動いちゃうの。気がつけば、ミリアの前で耳をそばだてているってわけ。難儀な話よ。

 ……ってなわけで、彼女のことを説明するなら、

『ミリアにゃんはネコ型妖体。樹海の森に林立する多くの霊木が、にゃにを間違えたのにゃろうか、とにもかくにも生み出してしまった妖精にゃん』のほうが正解。

 今頃、当の霊木たちって、『やってしもうたぁ!』『選りにも選ってあんなのを』とかなんとかいって、後悔しているのじゃないかしら。

 まぁ誰にしても間違いはあるもの。責めたりは出来ないわ。だけど、……ふぅ」

(ある意味、ミストにゃんは、ミリアにゃんの最大の被害者ともいえるのかもにゃあ)

 ほおに手を当てて、ため息ばっか突く姿がにゃんとも哀れ。

 霊体、とりわけ、ウチらのようにゃ妖体の寿命は、多く見積もってもせいぜい千年足らずぐらいで、うち幼児期が三百年ほどにゃ。多少の前後はあるにせよ、まぁ大体、それぐらいの期間を過ごす。とにゃればにゃ。それ相応に生きているわけにゃし、ため息を洩らしても別段不思議もにゃいのにゃけれども。

(とはいってもにゃあ。やっぱり、幼児は幼児にゃもん。今から『悩みある生活』にゃんて営みを持って欲しくにゃいものにゃ)


 ミーにゃんの『大変だわぁん』から始まった混乱は更に激しさを増していく。まるで申し合わせたかの如く、ネコ型みんにゃが、ぐるぐると自分らが居る狭い範囲を盛んに動き回り始めたのにゃ。仲間同士、あちらこちらでぶつかり合ってはとも倒れ。狂乱のるつぼと化している。翅人型の者らもおんにゃじにゃ。半ば興奮気味に『遊びの広場』上空をやみくもに飛び回るミーにゃんと、『あのアホをとめなきゃ』と上昇中のミストにゃんが空で激突。親切が仇とにゃった格好にゃん。それぞれが弾かれたかの如く、反対方向へと円を描いて落下していく。被害者はみるみる間に膨らむ。ミーにゃんはミムカにゃんと、ミストにゃんは、よろよろと起き上がってきたミロネにゃんと、それぞれが頭をごっつんこ。この時点で四にんもの霊体が地に伏したことににゃる。残りはウチとミクリにゃんのふたりにゃけ。

(またこのパターンにゃ。

 ……ああでも、ひょっとしたら、言葉一つでいつもの流れを変えられるかもにゃ)

 そう思い、口にしてみる。

「にゃあ、ミクリにゃん。やっぱり、やるつもりにゃのにゃん?」

「そのつもりだけど。なんかまずいことでも?」

「ウチは『女の子』にゃのにゃよ。普通はやらにゃいのじゃにゃいか?」

 ウチは『女の子』を強調してみたのにゃ。ところがミクリにゃんはいともあっさりと。

「そりゃあ、ボクは男の子だけどねぇ。でも霊体ってさ。男の子も女の子も関係ないんじゃない? 『実体』っていう縛りがないんだし。ボクだって、『さぁ。今日からは女の子だ』と思えば、それでなっちゃうからね」

 霊体と実体を持つ生き物。前者の場合、実体がにゃいから、あとは心の問題。自分が男の子にゃと思えば男の子に、女の子にゃと思えば女の子に、それにゃけでにゃれるのにゃ。一方、後者はそうはいかにゃい。心の中にゃけではどうにもにゃらにゃい。男の子と女の子では身体の外側も中身も変わってくる。生き物としての役割が違うのにゃ。女の子が子を産むのもその一例といえるかも。ミクリにゃんのいう縛りとはこうした身体の違いを指すのにゃ。

 判っていたこととはいえ、ちょっとばかし、ぼやいてみる。

「ミもフタもにゃことをいうにゃあ」

「事実だよ。君だって女の子でいるのは、『生前がそうだったから』だろう?

 でもボクたちは気持ち一つで性別を変えられる。霊体とはそういう生命体なのさ。

 ねぇ、まだなにか話したいことってある? もし、ないのなら、そろそろ始めようよ」

「やる気まんまんにゃ」

「君だってそうなるさ。走り始めれば」

「かもにゃ」

 ウチは覚悟を決めたのにゃ。ミクリにゃんの目にも、それがはっきりと伺える。

「にゃら、行くのにゃよぉ!」

「こっちだってぇ!」

 そう叫んにゃあと、ミクリにゃんは光に包まれたのにゃ。でもそれも束の間。光が消えたあとには赤い姿のネコ型霊体がひとり。

「『力』の戦士だ。行っくよぉ、ミアン君!」

 たったったったったっ!

 たったったったったっ!

 ほぼ同時に走り出す。やるべきことは、お互い良く知っている。にゃもんで地を蹴る四つ足にも力が入る。飛びかかる間合いをウチとおんにゃじぐらいに考えていたのにゃろう。まるで申し合わせたの如く、一緒のジャンプにゃ。ともに相手の顔面が迫ってくる!

「ミクリにゃん! 大変にゃのにゃよぉ!」

「ミアン君! 大変だっていっているじゃないかぁ!」

 ここでネコ人型モードが本領発揮にゃ。ぐぐぐっ、と握り締めた右手……の硬い拳を相手の顔面へ。風圧と霊圧がともにかかるその中で、ウチとミクリにゃん、どちらも殴られるのを承知という、双方同時のクロスカウンターパンチが炸裂にゃん!

 ぐさっ!

 殴った音も殴られた音も一つに聞こえる。

「ぐわんにゃっ!」「ぐふっ!」

 拳をぶつけた瞬間、ほおが変形。ミクリにゃんは意識が飛んにゃようにゃ目を。

(やったにゃあ! これで全滅間違いにゃしにゃん!)

 ウチは右腕の肘を曲げ、拳を震わせたのにゃ。

 続けて、仰向けで後方へと吹っ飛ぶさまも目の当たりに……といきたいところにゃったのにゃけれども、初っ端しか見れにゃかった。理由は簡単。ウチ自身もまたおんにゃじ格好で、ミクリにゃんとは反対側に吹っ飛ばされたのにゃん。

(多分、ウチの殴られたほおも、へっ込んでいるのにゃろうにゃあ。

 女の子にゃのに、……とほほにゃん)


 どうして『ミーにゃん同盟』っていう名前にしたかといえばにゃ。

 そもそもこのサークルは、ウチとミーにゃんが、『気が合いそうにゃ。友にゃちにしたいにゃあ』と思って誘った者らの集まりにゃ。偶然、いずれの名前も一番上が『ミ』であったこと。相談の結果、ミーにゃんがリーダーとして選ばれたこと。にゃどが主にゃ理由にゃ。友にゃちとにゃってからは仲良し子好し。ここ『遊び場』を始め、イオラの森のあちらこちらでいつも一緒に遊び回っていたのにゃけれども、そのうちに『はっ!』と気がついたのにゃ。多分、ウチにゃけじゃにゃくて仲間みんにゃが。ウチらがここまで仲良くにゃったのは、たにゃ単に『気が合う』からにゃけじゃにゃいってことを。

 実はもう一つ、ウチらを結びつけた理由があったのにゃ。ひょっとすると、『気が合う』以上に大きにゃ理由にゃったかも。それはにゃにかといえば……。

 にゃんにゃんにゃん。早い話、みんにゃがみんにゃ、おんにゃじ頭のレベルにゃのにゃん。ウチとミクリにゃんが闘ったのもそう。常識とか理性にゃんかよりも、『他の仲間が倒れたにゃら当然、残ったウチらも』という奇妙にゃ連帯意識のほうが強く働いたことで、全滅への道を辿った、といった次第にゃん。


 ずぼぉっ!

(終わったにゃ。ミクリにゃんも)

 間髪容れずにまた、

 ずぼぉっ!

(……そしてウチも)

 ミクリにゃんに続いてウチの頭も、草むらへと突き刺さったのにゃ。……と思う。どちらの姿も自分の目で確かめることは出来にゃいのにゃけれども。

 ひゅぅぅっ! ひゅぅぅっ!

 妖体が倒れている大地の上を一陣の風が吹き抜けていく。草むらの小さにゃ葉をゆらせにゃがら。逆さまに立っているウチのほおをなぶりにゃがら。

 そしてついに……、『全滅間違いにゃし』と確信した際に造った右腕の形をそのままに、ウチの身体は地面に埋まっている頭の先っぽを軸に倒れていったのにゃ。

 ばたっ!

 仰向けで草むらの中へと身体を沈めた。遅ればせにゃがら先に倒れた者らへの仲間入りを果たしたのにゃん。身体全部が地面にぶつかった瞬間、ぶわぁっ、と砂や土、落ち葉にゃどが舞い上がったはず。でもにゃ。ウチがそれらを目にすることはにゃかった。



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