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気絶した3人を、護衛たちがどこかに運んでいくと、
「3人については、改めて後日説明させていただきます。
それでは皆様、先ほどお話しした通り謁見の間にまいりましょう。」
美少女がそう言う。
「わかった。とりあえず今は王様の所に行こう。
みんなも、いいな?」
と、クラスメイトの一人、名前は・・・・、
リア充っぽいイケメンな男がそう言いだした。
クラス替えしたばかりだから、名前は覚えてないんだよ!
他のみんなもそれでいいのか、特に反論もなくついていく。
さて・・・、先ほどお話しした通りとは??
話、全然聞いてなかったーーー!
それに、美少女といっているが、その美少女の名前もわからん!
落ち着け、俺!
美少女の名前がわからなかろうが、話を聞いてなかろうが、大丈夫だ!
今から会う王様の話さえ聞いていれば!たぶん・・・
そう思い、黙ってみんなの後をついていく。
友人なりにきけばいいのだが、クラス替えしたばかりなうえ、
仲のいい奴が一人もいない今回のクラス。
決して、俺がボッチというわけじゃないんだからな!
誰に言い訳しているのか、心の中で叫ぶ俺がそこにいる・・・
そうこうしているうちに、
「この先が謁見の間になります」
と美少女。
どうやら着いたみたいだ。
無駄に、豪華な扉をくぐり謁見の間にはいる俺たち。
そこには、一目でこれは王様だ!とわかるおっさんがいた。
うん、おっさんだな。
王様とわかるのは、服装や王冠のせいだな。
「よくぞ、来て下さった。勇者様。」
本当なら跪いたりとしなければいけないんだろうが、
そういった作法はわからないのもあり全員立ったままだ。
王様も、その事に何も言わず話を続ける。
「まずは、召喚してしまったことを謝罪しよう。
そして、王女から説明があった通りこの世界を救ってほしい。
頼む!」
王様が頭を下げて俺たちに謝罪し、頼み込む。
って、王様説明しないのかよ!
俺、王女?の話聞いてなかったんだけどー!
俺が焦っているうちに、話を進めるリア充男。
「顔をあげてください!そんなことしなくても俺たちは
この世界を救います。困っている人を放っておけませんから。
それに、王女様から話をきいてこの世界を救うことが俺達のやるべきこと
だとおもいますから。
なあ!みんな!」
「全く、お人よしなんだからカズは。
ええ。私もやるわ。」
「私も!」
「俺もやるぜ!」
リア充メンバーと一部の人間の意見は同じ意見みたいだな。
他は、空気を読んでかなにも言わないな。
「おお。感謝しますぞ!勇者様!」
感謝している王様に、リア充男が話を続ける。
「いくつか聞きたい事があるのですがいいでしょうか?」
「かまわないぞ。なんでも聞くがよい。」
「王女様から俺達全員に強力なスキルがあるときいたのですが、
何人かスキル持ちがいないのです。なぜでしょう?」
「何?そのようことが?
ふぅむ・・・。
あくまでも可能性の話になるがよいか?」
「はい。構いません。」
「まず一つ目として、勇者様の召喚に巻き込まれた場合だ。
勇者召喚とは、勇者のスキル持ちとその近くにいる強力なスキル持ち
が召喚される。そのため、召喚された異世界の人間は全員強力なスキル
持ちといわれておる。が、今回は予想以上に召喚に適応した者が多かった
こともあり巻き込まれただけの者がいる場合だ。
二つ目として、こちらの世界に召喚されるとき・された後に何か
あった場合だ。人為的か、偶然そうなったかはわからぬ。
召喚の間での事をきいておるが、ここにおらぬ3人が関係しておるのかもしれぬ。
3人の事は後で調べておこう。
三つ目は、召喚魔法の失敗だ。
召喚自体が失敗し、スキルを持っておらぬ者も召喚された場合だ。
後は、それ以外の場合だ。
人為的の可能性がある以上、我の方でも調べておこう。
分かり次第、勇者様にも報告しよう。」
「ありがとうございます。
次に、戦うのは希望者だけにしてほしいのですが・・・」
「勇者様に戦ってもらえるなら、それはかまわぬ。
他にはなにかあるか?」
「後は、元の世界には帰れないときいたのですが本当ですか?」
「その事は本当だ。すまぬとしかいえぬ。」
「そうですか・・・。確かに帰れないのはつらいです。
でも、この世界の人を見捨てる事もできません!
まずは、この世界を救います。後の事はそれから考えます。
一人だと耐えられないけどみんなもいますから。
それに、探せばもしかしたら帰れる方法がみつかるかもしれません。」
「そうか。感謝するぞ、勇者様。
帰れる方法についても、こちらで調べておこう。
後の細かい事は王女のセティにまかせよう。
セティも勇者様に興味があるみたいだしな。」
「それでは勇者様私についてきてください。」
そう言って、王女や皆は謁見の間を出ていくのであった。
「くくく、勇者か・・・。せいぜい使いつぶしてやろう。」
王の邪な笑みとつぶやきを残して。