今更スキルなんているのかなっ?
教師の長々とした説明が終わり、ミランダは寮へと向かった。
学園生は十二歳から十六歳までの四年間を寮で過ごす。
カミカがすぐ後ろを。その後ろをヨークが付いてくる。
寮は三人部屋と一人部屋がある。
ミランダは一人部屋をお願いしていた。
ルームメイトを相手にするのも面倒だったのもある。
「ミランダは基本ヒッキー体質だからねっ」
プライベートな時間というのは重要だ。
ずっと人に気を使いながら毎日を過ごすのは無理だ。
事前に決めた部屋は一人部屋だったはずだった。
一人部屋だったはずだ。
「ボクと相部屋だよっ」
「ボクとも相部屋だからな!」
カミカは事前に運んだ私の荷物をあさりはじめ、
ヨークはベッドに寝転んだ。
「ここは私の一人部屋だったはずだ!」
カミカは隣国王女という立場を利用してミランダとの同室を強く希望したゴリ押し。
ヨークは女性なのに学園の事務員が間違えて男子寮への登録をしてしまったため、
当人の希望により、親しい友人のミランダとの同室を希望した、との事だった。
とりあえず、絨毯に寝そべるカミカの頭を踏み、ヨークを虐める事にした。
「……スキル」
「ミランダ?」
下着姿で犬の真似をさせているヨークが訪ねてくる。
私が良しというまで、ワンしか言うな、と命令をすると、クゥンと悲しそうに鳴いた。
「カミカ、私のスキル!」
カミカを探すと絨毯から私のベットへ移動していた。
ヨダレを垂らしながら寝ていた。
「わわ!?ど、どうしたの?」
蹴り飛ばしてベットから落として目を覚まさせた。
「カミカ、私のスキルは?ガチャったスキルはどうなってるの?」
「……あ、あー。あったねっ。五百ポイント分のスキル!」
「どういう物があったの?ガチャると言ってからガチャらずにここまで来たんだけど?」
「ガチャは青い世界においてあるし引けないから、大サービス。ミランダが欲しいのを好きに選んでいいよー」
50ポイントで1個、500ポイント分で10個好きなのを貰えるらしい。
おざなりにカタログギフトのような本を渡された。
「起きたら付与してあげるから、寝てる時は起こさないでねーっ!」
そして、不機嫌そうに布団に入り直した。
寝てる所を起こすと不機嫌になるタイプらしい。
ガチャ、というワクワク感は無くなった物の、スキルを自分で選べるという高揚感を胸に、
一覧の本をそっと開いた。
読んで頂きありがとうございました。