エピローグ(?) 初めてもらった花だった。
花をもらった。
今まで色々な人から様々な花をもらってきたけど、この花をもらうのは初めてだった。
それも、自分の婚約者から。
この花をくれるの。そう。
この花があなたの気持ちなの。そう。
そんなの分かってるのに、丁寧に教えてくれて、どうもありがとう。
嫌味なほど優しいのね、私の婚約者様。
無関心。どうでもいい。
この花の花言葉を、知らない訳がないでしょう?
母の国ではとても有名だもの。
だから、この花だけは誰も私に贈ったりしないと、違う花ばかりくれるのだと、思っていたけれど。
自分たちは協力関係にあるだけだ、勘違いするな。
そういう意味でしょう?
ええ、ありがとう。
受け取ったわ、あなたの気持ち。
分かりきってることを、念を押すように教えてくれてありがとう。
優しい面しか見せないあなたを、私もどうでもいいと思ってるわ。
けど、少し見直したわよ。
優しいカオして嫌味を伝える、そんな人間味があなたにもあったのね。
違う花言葉があるのも知っているわよ、当然でしょう。
それらが私たちに当てはまらないことも分かっているわ、馬鹿にしないでちょうだいね。
ええ、本当に。
あなたがくれたこの花、気持ち、ちゃんと受け取ったけれど……ねえ?
そんなの分かりきってるから、嫌になるほど思い知っているから、私には必要ないの。
目の前で引き千切ってやりたかったけど、さすがに体裁が悪いから、やめたわ。
丁寧に持って帰って、丁寧に引き千切って、丁寧に燃やして、ちゃんと灰にしてあげたわよ。
優しい顔だけ見せて優しい言葉だけかける、私なんかどうでもいい、私の婚約者様。
もう一度、同じことをしてくれたりしたら、分かってるわよね?
今度こそ、あなたの目の前で、この花を引き千切ってあげる。
楽しみにしてて。




