序章(1)
小説初投稿。
なんか色々拙いかもしれないけどそこは許してくれ。頼む。
と、言うわけで物語スタート。
「はぁ、はぁ、はぁっ……!」
「あと少しよっ!あと少しで振り切れるわっ!」
黄色い髪に緑の目を持った女性が、あなたの手を取り共に駆け走ります。
その前には、青緑の長髪をツインテールにした青い瞳の少女。少女は風を纏い、あなたを先導します。
あなた達の後ろには、既に騎士らによって殺されたかつての仲間達が。
更にその後ろから、騎士らはあなた達を追いかけます。
「見えてきた!――、あのゲートだよ!」
少女が、あなたに向かってそう言いました。女性は、あなたの手を離し、
「ここはわたくし達が食い止めるわ。だから早く逃げなさい。」
と、告げます。
あなたは躊躇いながらもゲートへと向かい走ります。
走って、走って、走って……。
シュカッ!
しかし、あともう少しでゲートに辿り着く、潜れる、というタイミングで、一本の矢があなたに突き刺さりました。
(こんな矢でアタシを殺せるワケ……。)
バタリ
あなたが矢を引き抜いた瞬間、急に身体に力が入らなくなり、倒れてしまいました。
目の前に立つ、一人の騎士。彼女はあなたに告げます。
「さらばだ。〈起源の魔女〉よ。」
と。
そして、最期。
サシュッ!
あなたは首を斬られてそのまま――。
――――――――――
「はっ!」
また、この夢……。ある日から、突然よく見るようになったこの夢。まるで実際に経験したかのようにリアルな、夢。
きっかけは、多分、お姉ちゃんの失踪。
十年ほど前、お姉ちゃんはバイトに行ったきり帰ってこなくなった。十歳年の離れたお姉ちゃんは、二十回くらいバイト面接に落ちて、ようやっと受かったばかりだったというのに……。
私達は今日もお姉ちゃんを探していた。――今も尚、行方不明のお姉ちゃんを。――
「私達がお姉ちゃんの行きそうな所を何回を捜しているのに、まだ見つからない……。痕跡すらないだなんて……。」
私がそう呟くと、すぐ隣にいる双子の陽花がそれを耳聡く聞き取り、私の名を呼ぶ。
「月花。」
と。
私が「何?」と聞くと、陽花は何の脈絡もなくこう言った。
「姉ちゃんが失踪した日から、妙にリアルで不思議な夢を見るようになってるよね?」
「えっ?……な、何で、そのことを……?」
「やっぱり、そうなんだね。」
陽花はさっきから、何を言っているの……?どうして私の夢のことまで知っているの……?
私が困惑していると、陽花は急に私の手を取り、
「ついてきて!」
と目を輝かせてそのまま走る。
手を引かれたまま着いたのは、お母さんから、「絶対に入らないでね。」と言われていた古井戸の前。
あれ?ここ、お札がたくさん貼られていなかったっけ?
私が幼い頃にここに来た時は、お札がたくさん貼ってあって、何だか物々しい雰囲気だったのに。
……あ、そういえばお姉ちゃんも気にしてたし、こっそり剥がしちゃったとか?
「て、なんで蓋開けてるの?」
私が困惑のままに回想の沼にハマっていると、陽花が井戸に被せてあった蓋を開けた。いくらお札がなくなっているとはいえ、開けるのは……。いや、お母さんからは「入らないでね。」と言われただけだから、別に開けるのはよし?……いやいや、そんな馬鹿な……。
「月花、こっち。この古井戸のなか、入るよ。」
「陽花、で、でも……。」
「大丈夫、姉ちゃんは向こうにいるし、母さんもわかってくれる。」
「何で?」
何で、そんなこと言うんだろう?言いつけは守らなきゃなのに。
私がその思いで問うと、陽花はたった一言。
「時が来たからさ。」
と答え、再び私の手を取り今度は古井戸の中へ。
共に落ちていく、古井戸の中。
異様に長い落下を終え、底に着いた私達が古井戸から出ると……。
「えっ……?」
草木生い茂る、鬱蒼とした森の中だった。この井戸の周りは、石畳に覆われていて、石レンガでできた建物の中にあったというのに……。
そして、この古井戸の外の世界が、私の、私達の運命を大きく変えていくのだった。
――――――――――
「憎いでしょ?妬ましいでしょ?その気持ちを全てぶつければいいの。……だって、貴女は悪くないから。」
暗い暗い森の片隅。まるで林檎のように赤く紅く染まった女に、アタシはそう告げる。
甘く甘く。アタシが放ったその言葉は、全て甘美て耽美な毒となる。
「貴女がそんな惨めな姿でいる中、皆はのほほんと暮らしているのよ?ほら、これを見なさい。」
そう言って、アタシが見せたのは、目の前の女の元同僚達が、何の不自由なく日の光を浴び、暮らしている情景。それを捉えた、水晶カメラの映像。水晶カメラとは、監視カメラみたいなもの。
アタシがその映像を入手できたのは、あのお方のお陰。
ふふっ。“あのお方”と言ったところで、全く敬愛も信頼もしてないんだけどね。
さて、目の前の女はまんまとアタシの策に嵌ってくれているみたいだし、そろそろおさらばしようかな。
「貴女がどうするか。それは貴女自身が決めること。その上でもし、皆に復讐したいと思うなら……。」
アタシは最後、彼女に向かって悪女の笑みを浮かべながら。
「アタシが、手伝ってあげるわ。」
と告げ、その場を後にした。
――――――――――
古井戸から出て、草木生い茂った森林を歩くこと数分。
森を抜けた私達は、なんかすごい邸宅の前に出た。
「や、やっぱり引き返そ?戻ろうよぉ。」
私は段々と怖くなってきて、陽花にそう言った。しかし陽花は歩みを止めず、邸宅の前へ。
邸宅のドアをノックする陽花。
インターホンを鳴らさずにいきなりノックするだなんて……。
と私が思っていると、邸宅のドアが開いた。
そして出てきた人に向かい、陽花はこう言った。
「久しぶり、優姉ちゃん。」
と。
「……、説明、求む。」
邸宅に招き入れられた私達。未だ現状を掴めずにいる私は、取り敢えず陽花に向けてそう言った。ちなみに先ほど出てきた人は、もう一人隣人、というか友だちを呼びにこの場から離れている。
「えっと……。それは優姉ちゃん達に教えてもらった方がわかりやすいと思うよ。あ、あと、急に知らないところに出て混乱してるかもしれないけど、逃げようなんてしないでよ?月花には行くあてもないんだから。」
私達が話していると、先ほどの人が戻ってきた。隣にいるお姉さんが隣人さんだろう……。……。……?……!
「は!?」
私はそのもう一人の方を見て驚いてしまった。何故なら……。
「ね、猫耳と……、尻尾が……、生えてる……⁉︎」
リアルに動く猫耳と尻尾が生えていたからである。
「ふうん?さすがは陽花の双子の妹。驚き方がそっくりだにゃ。うん。」
猫耳お姉さんがそう呟いた。……えっと……どゆこと……?
状況把握が全くできず、戸惑う私であった。
――――――――――
「うふふふ。……さあ、望みのまま、憎悪のまま、その感情をぶつけなさい……。」
アタシは、目の前の女性にそう呟く。耳元で、甘く、囁く。……たぶらかす。
この女性は、とても傲慢で、それ故に〈天使界〉から追放された堕天使だという。彼女は言った。
「……。わたくしもそうするつもりだけれど……。でも、あの子だけは傷つけたくないわ。」
“あの子”。その単語が一体誰を指し示しているのか。それがすぐわかったアタシは、女性に向かって言う。
「なら、それでいいの。アタシの目的はあの世界……〈天使界〉を開けぬ闇で覆うこと。強大な力を持つ聖浄七天使ならともかく、あの子一人くらい見逃したって別に大したことないわ。まあ、どうするのかは貴女に任せる。……、アタシはここで水晶越しに見てるから。何かあれば……、〈念話〉で連絡なさい。助けてあげるから。」
「ありがとう。じゃあ、行ってくるわ。」
「ええ、いってらっしゃい。」
彼女に向かってにこやかに手を振ったアタシ。その姿が見えなくなった後、水晶を覗き込み、すぐ真顔になった。
……。“凶”ね。
更新速度はどれくらいがいいのかな?
うーん、わからん。とりあえず一ヶ月に一回がいいかな。