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只人が風となる
「VOOOOOOOOOOOOOOOOOO」
雄叫びと共に地が震撼する。
圧倒的な重圧が空間を支配していた。
筋骨隆々、というレベルではない。
3mを優に超える体躯。
相手の格闘タイプの魔物が尋常ではない力をもっているのがわかる。
そう、魔王はわかっていたのだ。
――この魔物を倒せる戦力はない
ゆえに引き受けた。勝利を確信した決闘。
通常の格闘家なら指一本で殺せるであろう鬼気。
だが――
「関係ない」
こいつらは俺の国民に手を出した。
「きさまが■■か!よくここまできたものだ!救いようのない愚物!度し難いほどの劣等!
ここで俺に勝てる気か!」
ならば
「俺が滅ぼすといった。お前の滅びは決まった」
「ほざけええええええぇぇぇ!」
魔人が地を粉砕する。
「――」
只人が風となる。