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その七、????????

「階段の七不思議、二種類有るなら合わせて七つって事?」

私は思っていた疑問を友達にぶつける。

「いや、どちらか一方しか伝えられていないから実質一つなんだよ」

「なら段数が増える話を聞いた人と転んだら良くない事が起こるって聞いた人は被らないって事?」

「そうなるね」

「じゃあ…」

私はゴクリとツバを飲む。


「七不思議の七つ目は…『あなた』?」


私がそう言うと、友達は私の目を見つめる。


「どうしてそう思うんだい?」

「だってあなたは…ある日突然学院に現れたでしょう?」

友達は驚いたように目を見開く。

「そうか…最初からあなたには暗示が効いていなかったのだね」

「暗示…急にみんながあなたを受け入れた事?」

「ああ。昔からこの学院にいる生徒の一人でたまたま人気者の子と知り合いになった」

「…っていう設定だったのね?」

コクリと頷く友達。

「急に彼女の人気が上がったのもあなたの仕業でしょ」

「そんなつもりは無かったのだけれど、彼女の作品にアドバイスしていたらいつの間にかそうなってしまったんだよ」


だからいつかの日に私の事を「利用も搾取もしない」って言ったのかと納得する。


「それでこれからどうするの?私も七不思議になるの?」

「ゆくゆくはそうなる」

思わず身構えると

「ああ、すまない。別にあなたを傷つけたりはしないから安心して」

「それは知ってる。…だってずっと守ってくれてたでしょ」

そう言うと体の力を抜いた。

「あなたになら何をされてもいいよ」

すると友達は、珍しく動揺しているようだった。

「女の子が軽々しくそんな事を言ってはいけません!」

とまるで母親のような事を言う。


あなたにしか言わないよ、と心の中で思いつつ

「私も消えるの?あの行方不明になった子みたいに」

「そんな子はいないと前にも言っただろう?あれは活性化した七不思議が撒いた餌だよ」

七不思議が活性化すると言う聞いたことの無い言葉に意味を考えていると

「怪異は力のある人間を取り込んで実体化するんだよ。不特定多数の人間が近寄ってくるのを待って、その中に力のある者がいたら…」

手でパクっとする仕草をする。


「そもそもこの学院はね、あなたのような人間を見つけるためにあるんだよ」

「私のような人間?私は平凡な人間だよ?」

すると友達は肩に手を置いて首を横に振った。

「あなたはとても稀有な人間なんだよ。とても豊富で良質な霊力を持っている」


霊力。生まれてからずっと不可思議な現象とは無縁だった私が?

自分の手を見つめるが当然何もない。

「だが怪異たちに目を付けられていた。変な夢を見たりしていただろう?」


それは私が送った質問状。

この子は言っていた。

「変な夢を見た事はないか」と。「あるいは何か今までと違うような事が起きてはいないか」と。

だから私は質問状を送った。

この学院に来てからおかしな夢を毎晩のように見る事を。

ただその内容が恥ずかしかったのもあって匿名にしたのだけれど。

「手紙にあなたの霊力の残滓が有ったからね、すぐに特定できたんだよ」

そうだったのか。

私は匿名だからと赤裸々に書いた夢の内容を思い出して赤面する。

「怪異の常套手段だよ。自分に興味を向かせるための物だから気にすることはない」

うん、忘れよう。


「それで私はどうなるの?」

「まずは学院を卒業してもらう。その後こちらに来てもらう予定だよ」

「こちら…七不思議の世界?」

友達は笑いながら

「ある意味そうだね」

「あなたは?いなくなるの?」

「あなたが望むなら」

「私は…」


私は卒業まで…いや卒業後もずっと一緒にいる友達を見つけたのだった。


七不思議その七、知らない友人


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