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身体を過度に鍛えるということを俺は、したことがなかった。
俺がファンである名優が、
「ファッションの一流は体型、体格を維持することである。」みたいのが信念で俺も、それを実践し続けていた…。
ボクシング、総合格闘技、キックボクシング、空手……もう、おっかなくて俺には、それらは出来ない。
正々堂々、闘う、その猛者の勇姿を俺は観るだけであった…。
もう変化は、いらなかった。
会社では己に理解のある上司、
ありのままを受けいれてくれる妻、
それに誠意で応える俺のマインド、
様々な意味で発達段階である息子……
この惰性に乗っかり生きてゆきたい、
と言えば、ある種の輩からは避難殺到かもしれないが俺は、このまま進みたかった…。
俺は人生の一時期、『己の楽しみは先にある!』という思考回路に捕らわれて今を生きていなかったな…と思われる過去があった。
現在は毎日が充実していた。
ありとあらゆる瞬間を楽しめていた。
そんな、ある時、
友人の時雨からラインが入り、
高校時代の友人で飲み会開催を知る。
俺は少し、考えて幹事である時雨にラインで
『参加するよ!』と返信した。
時は俺の回りでは特段、変化なく流れ、飲み会当日になる。
俺は店に入ると、
時雨と羽賀を見つける。
「三人?」と時雨に聞くと、
彼に「後ろ…。」と言われ、振り向くと狩野がいた。