ラスティング カード
歳を重ねると涙もろくなる…と、たまに聞くが、
近ごろ、眠りに就く前に妙に悲しい気分になる…。
テレビドラマのセリフにおいて犯人に警察が、
「社会や他人のせいに、するんじゃない!!」と少なからず聞くことがあるが、
社会は大人が、ある程度は構築して、
そのように『ある』のではないか…?
最近、よくは知らない人に懐疑的な己がいる。
家族以外は他人と定義した時、
ある時分から友と呼ぶようになった人達も、
初めは他人である。
己の友に、
他人にも優しくあった男がいた。
近頃、彼と面と向かって話したが、
今は、そうであるのか、どことなく不明であった…。
久しぶりの再会で、
その時、小一時間ばかりの、
彼の見た目、言動でしか、こちらは、それを計れない…。
いつかの未来、その友と言葉を通じて徹底的に話し、
どこか、もう彼とは合間みれないと思ったら、
彼と、その後の付き合い方は変えていこうと思う…。
高校には更なる進学のために通っていた。
物理を今まで誰にも習ったことはなくて、
高校時代の、いつの日にか、
帰りのホームルームにおいて担任がイレギュラーで早退し、ピンチヒッターに物理の教師が、僕のクラスで話をした。
最低限の連絡事項を伝えた他に、
「何事も0から動き出す時に一番、力を用いる。」という事と、
「宝物は足元に沢山、落ちている。」との言葉を下さった。
前者の言葉であるが、
ピアノも、一番初歩的な曲をセオリー通りに弾く、
ということが、まず素人には高き壁である。
譜面をしっかり読めるか?
鍵盤を弾く指送りは合理的か?
ペダル使いは正しいか?
それらをクリアして何度も練習して、ある時、譜面なしでも弾けるようになったら、その曲と同等レベル、
もしくは、ちょい難にトライしてみる…。
「よし、ピアノを弾こう!」と思い立ち、初めてトライした曲のコンプリートこそ、それはエネルギーを使ったという僕なりの例えである。
後者の言葉。
己は「宝物は足元なんかに、そんな落ちているのか!?世の人達は、『辛い時こそ、下を見るな!』『いつも前を見ろ!」と大概、述べるじゃないか…。」等と思う。
これに対しての明確な己の答えは、まだ出ていない…。
自身がインスパイアを受けた映画の主人公のセリフに、
『我こそが人類において、ただ一人、永久に歳をとらない人間だと信じていた。』というのがあり、その続きにおいて映画の中で主人公は、それを自嘲するように、
『若さとは愚かなことだ…。』と言葉を発する。
フレッシュマン、とは何処か、もう死語だが、
己が、それであった時、
人生の先輩から、
「30代に入りかけは、まだ体の踏ん張りが聞くけど、40歳前後くらいから徐々に自身の身体に衰えを感じたんだよね~♪」と聞いたとき、
(そういうもんなのだな~!)と聞いてはいたが、
己は幼少から、その時まで比較的、体を鍛えていた方だと自負しており、己こそは、その枠に囚われない男である!と心の片隅では思っていた。
いざ、アラフォーになった自身は先輩の言った通りであった。
20代、30代ほど体に無理は出来なくなっていた…。
世の中に男女がいる、という事実は古き時代からの事実ではあるが、
『恋は【する】ものではなく、【落ちる】ものである。』は、己にとって迷言である…。
『失恋は、新しい恋の始まりである…。』
恋に破れ、仕事は辞めて暴飲暴食…
あるとき、素敵な女性が目の前に現れる…
その時、己は…
はしゃぎまくる子供も、いつしか己の力で生きていく術を身につけて…
銀婚式を迎えた男性は、このまま金婚式までも、ずっと、その先まで妻と幸せになっていきたいと真に思い…
ほぼ生活の為に働いていた男がいた。
会社勤めの一番の理由は、それである。
給与がもらえないなら己の生活は成り立たない。
だから、働く。
そんな男は仕事に集中して、その合間に、
同僚の多面的な、ある一面を経過していく時間の中で垣間見て……
力が欲しいと思った。
己以外である誰かのために力が欲しいと彼は思ったのだが…。
【おしまい】




