お静かに
茜さんの許しも出たので、正の病室に向かう。
ただ、盗撮の件が気になっていた。実際、ボクの行動は茜さんに把握されていたのだから、本当にやっているのかも‥。
本音を言えば、正をボクだけのものにしたかった。だけど、性別が男であるボクがそれを成すことは不可能に近い。だったらより理想に近い形を追い求めたい。
男であるボクが正と共に生きるには、正の認識を変える必要がある。
一般的なとか、普通は‥などの常識を壊す必要が‥。
そう考えると、茜さんとの近親相姦で正の常識をぶち壊すのも手かもしれない。
茜さん以外の普通の子に正を取られるぐらいなら、実の姉の方がマシである。
う〜ん、そう考えると茜さんの手伝いをするのがボクの理想への一番の近道かもしれない。
なるほど‥
それなら茜さんに取引を持ちかけるのもありかも‥。
ボクが茜さんの恋の手伝いをしても良いと。
もちろん、その見返りはもらうけど‥。
ボクの実現不可能な理想の為なら、悪魔にでも魂を売る覚悟がないとね。
正の病室に向かう途中にこんな事を考えていた。
よし!
もう少し具体的な案を考えてから、茜さんに持ちかけよう!
ボクは決意するのであった。
ちなみに盗撮をネタに脅すことも考えたけど、茜さんに本気で殺される可能性もあるので却下した。
* * * *
コンコン
茜さんより先行して歩いていたボクが正の病室をノックする。
「どうぞ!」
正ではなく、何故か岩井さんが返事を返してくる。
ボクはその事を不満に思いながら扉を開ける。
やっと正に会える。
ボクは心を弾ませながら、扉の先の正の顔を見る。
バーーン
何故か正との間に岩井さんが立ち尽くす。
いや、邪魔だから!
「ちょっと、邪魔です。」
ボクは岩井さんを退かせようとするが、抵抗されてしまう。
「ダメです!
これ以上は茜様の許可が必要です!!」
!!!!
今、茜様って言ってよね?
え、どういう経緯でそんな事になってるの??
「茜さんには許可もらってるから!」
実際に茜さんに許可はもらっているので、邪魔をしてくる岩井さんに伝える。
「はん!
私を騙そうとしても無駄です!
茜様がそんな簡単に許可を出すとは思えません!
そんな可愛い顔して、お姉さんを騙そうとするとは‥。
ゆくゆくは詐欺師ですか!」
興奮した岩井さんが暴言を吐く。
「誰が詐欺師だ!
おい、さすがに今のは怒ったよ!
ちょっと表に出ようか!!」
もう我慢ならない!
温厚なボクでも怒る時は怒るからね!
ボクは岩井さんの手を掴むと病室から連れ出そうとする。
「ちょっと、病人の前ですよ。
静かにして下さい。」
騒動の原因を作った本人に注意されるのであった。




