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ナースステーション

 鉄千を説得する為に30分も無駄に使ってしまった‥。

 面会時間には制限があるので、早歩きで正の入院する病院に向かった。


*    *    *    *


 結局、買い物をする時間がなかったので、病院の一階にあるコンビニエンスストアで人気のありそうな漫画雑誌を数冊買ってそれをお見舞い品にした。

 

 漫画雑誌とか、何て味気のないお見舞い品なんだ‥。

 ボクはこの原因を作った鉄千の事を少しだけ恨んだ。


 正の入院した病院はかなり広いので何も知らなかったら迷いそうだが、あらかじめ病室のことを聞いていたので、迷うことなくその階に着くことが出来た。


 正の病室に向かう途中ナースステーションで、訪問する病室と訪問者の名前を書き込む必要があった。


 ボクがナースステーションに近づくと少し怖い顔のナースと目が合ってしまう。


「岩井さん、お願い!」


 目の合ったナースは自分で対応することなく他の人を呼んだ。


「はい!」


 岩井と呼ばれた女性がスタスタと近づいてくる。


「お見舞いですか?」


 顔の怖いナースと違って、優しい表情の女性で好感が持てた。


「はい。」


 ボクの返事を聞く前から岩井さんは記入用紙を準備をしてくれていた。

 おっ、なかなか仕事の出来る人のようだ。テキパキと仕事をこなす岩井さんの株が上がっていく。


 ボクは差し出された紙に訪問する号室と自分の名前を書き込むと、それを岩井さんに渡す。


 渡された岩井さんは紙を確認して声をあげる。


「え?

 603号室ですか!?」


 先程までの落ち着いた感じの声ではなく、かなり驚いた感じだった。


 岩井さん!

 何でそんなに驚くの??

 ただのお見舞いだよ?


「何か問題でもありますか?」


 岩井さんが驚いたのを見て、さすがに気になってしまった。


「いえ‥

 すみません、何もないです‥」


 いやいやいや、何もないわけないよね?  

 絶対何かあったよね?

 ボクはどんどん不安になっていく。


「もしかして、入院している男の子が何かしましたか?」


 まさかセクハラとかじゃないのね??

 ボクは岩井さんに質問する。


「いえ、その子は何も‥

 ただ‥」


 ホッ‥

 正は何もしてないんだ。

 良かった。

 ‥‥‥‥じゃあ、誰が何をしたの?


 あっ!この時ボクの脳裏にとある人物が浮かび上がる。


 茜さんだ!

 ちょっと茜さん!

 岩井さんに何をしたんだ!?

 

 ボクは狼狽える岩井さんを見て、詳細を聞くのが怖くなるのであった。

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