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相談

 鉄千の恋バナを聴く為、立ち話もアレなのでコーヒーショップに向かった。


 鉄千は見た目とはギャップのある抹茶ラテを注文する。

 ちなみにボクはアイスティ。

 本当は甘い物好きだけど、体型を維持する為に控えている。


 空いている席に座ると鉄千が抹茶ラテを口に運ぶ。


「熱!」


 舌を火傷したようだ。


 猫舌かよ!

 口に出して突っ込むのを我慢する。


「それで、相談って何?」


 ボクも早く正のお見舞い品を買って病院に向かう必要があるのでチンタラ話すつもりはなかった。


「実は気になる男子が‥」


 知ってるよ、正だよね?


「入院してしまって‥」


 それも知ってる。


「お見舞いに行きたいけど‥」


 あっ、嫌な予感がしてきた。


「何を持っていくか悩んでいてな。」


 ボクと一緒だ。


「正が好きな物がわからなくて‥」


 今、正って言ったね!

 気になる男子じゃなかった?


「私のファーストキスをあげようかと‥」


「何で!」


 思わず大声を出してしまう。


 店内のお客さんは多くはなかったが、声が大きかったせいで注目を集めてしまっていた。


 ボクは恥ずかしさに身を縮める。


 駄目だ、ここは冷静にならないと。


 ふぅ〜

 1度深呼吸して心を落ち着かせる。


「何でお見舞い品がキスになるの?

 詳しく教えて!」


 鉄千の思考回路がわからない。


「渡せる物がなくて‥」


 渡せる物がなかったらファーストキスをあげるんだ。

 へ〜

 って、そんなわけあるか!!


「お花や食べ物でもいいじゃん。

 暇つぶしになるから雑誌とか本でもいいし。

 物でいいよね?」


 思わず自分が否定した物が口から出る。


「お花は駄目な病院もあるしな。

 食べ物も同じだ。

 雑誌や本は好みがあるし‥」


 うん、とっても冷静だよね?

 その冷静な人が何でファーストキスとか言うのかな?

 理解出来ない。


「相手は病人だよ?

 キスはやめようよ。」


 別に嫉妬しているわけじゃないよ。


「では、私の初めてを‥」


「もっとおかしいよ!!」


 先程より大きな声で叫んでしまう。


 さすがに2回目の大声で店員さんに睨まれてしまう。

 ボクは何度も頭を下げた。


「橘、店内では静かにした方がいいよ。」


 鉄千に注意されてしまう。


 いや、お前のせいだろ!!


「‥‥‥‥」


 ムカついたので無視してやった。


「初めてって‥

 相手は病人だって言ったよね?

 鉄さんは耳が腐ってるのかな?」


 暴走する鉄千に段々イライラしてくる。


「別に耳は腐ってないよ。

 人間の耳がそんな簡単な腐るわけないよ。」


 知ってる。

 言葉の綾だよ。


「もう一度言うけど‥

 病人にファーストキスも処女もあげたら駄目だよ!

 ちゃんと病気が完治して告白して付き合うようになったら、あげたらいい。」


 何でボクは同級生相手にこんな話をしているのだろう‥。


 その後、30分以上かけて鉄千を説得したのであった。

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