お見舞い品
樹side
正のお見舞いに行くので、途中でお見舞い品を買うことにする。
さて、何を買おうか。
お花は‥‥正は男の子だからあまり喜ばないような気がする。
それに最近はお花は駄目って病院もあるし‥‥辞めておこう。
次は‥‥食べ物だけど。
これも入院患者への食べ物は駄目って病院あるからなぁ。
そうなると雑誌とか小説になるけど。
正が好きな雑誌とか小説を知らないんだよね。
メールで聞くのが早いけど、それはしたくないし‥。
どうしたもんかね。
ボクはお見舞い品を決めかねていた。
「橘!」
突然、名前を呼ばれてしまう。
ボクのことを橘呼びするのは限られている。
あ〜正直、無視したい気分だ。
「おい、橘!」
聞こえてるよ!
でも、あえて聞こえないフリを‥
「耳でも悪いのか?」
その人物はとうとう肩をガッシリ掴んでしまう。
痛い痛い痛いって!
力強!
ボクは愛想笑いしながら振り返る。
でた!
鉄千だったよ。
ボクのテンションは下がっていく。
こうなったら早く話を終わらせて、正へのお見舞い品を買わないと。
「鉄さん、こんにちは。
では!」
ボクは挨拶を済ませるとその場を後にしようとする。
ガシッ
逃げようとするボクの肩をまた掴む黒さん。
「おい、そんなに急いで何処に行く気だ?」
ヤバい、急いでるのがバレてしまった。
ここはおとなしくしよう。
「べ、別に急いでないし‥
それより何の用?
こう見えてもボク忙しいんだ。」
しまった!
また余計なことを口走ってしまった。
「何で忙しいんだ?
要件次第では手伝ってやるぞ!」
あ〜変なスイッチ入ってしまってる。
鉄さんは、かなりのお節介なんだよね。
「大丈夫!
普通の買い物だから!」
これ以上付き纏われたら面倒だ。
早くこの場を離れたい。
「そうか、だったら問題ないな。」
良かった、話が通じたようだ。
「じゃあ、バイバイ!」
ガシッ
まだ逃してくれないようだ。
「ちょっと、何だよ!
1人で買い物出来るから離して!」
何度も肩を掴まれたせいか、少し痛みだしていた。
「実は相談があってな‥
ここでは、ちょっと‥」
え?相談???
ちょっと気にキーワードじゃん。
この場で話せないということは、何か深刻な話なんだろうか‥。
もしかして恋バナ?
この時、ボクの恋バナ好きに火がついた。




