後悔
樹side
ボクのせいで正が入院してしまった。
全てボクが悪い。
体調の悪い事をチャンスと思ってしまったのだ。
そのせいで正の体調を悪化させてしまった。
ボクが悪い。
正が入院した日もボクは学校を休んだ。
どうやって責任をとろうか‥。
もう死ぬしかないのか‥。
1人部屋にこもっていると良くない事を考えてしまう。
そんな時、スマホにメッセージが届く。
一瞬、茜さんからのお叱りのメールじゃないかと思ってしまい、メッセージを見るのを躊躇させた。
するとまたメッセージが届く。
さすがに無視できないと思い、意を決してスマホの画面を覗き込む。
『お前の事だから、自分のせいだと思ってるだろ?
違うからな!
俺の病名は肺炎だ。
肺炎はウイルスが原因だからお前は関係ない。
だから気にするな!』
そのメールを見て、涙が溢れてくる。
『悪いと思ってるなら顔を見せくれ。
あっ、出来たら写真じゃなくて会いに来てくれると嬉しいかな。』
2通目のメールでさらに涙が溢れる。
ボクは泣きながらメールの返事を打つ。
『会いに行ってあげるから、早く病気を治すように。』
ボクは病院に行く準備をする為、部屋から飛び出していく。
* * * *
乙羽side
「今日、付き添いで泊まってやる。」
いきなりお姉ちゃんがお父さんにぶっ込む。いや、説明足りないから!
お父さんが困った顔で私の方を見てくる。たぶん私に捕捉して欲しいのだろう。
「お父さんが1人で寂しいだろうから、私たちが泊まってあげようと思ったの。
迷惑だった?」
私はあざとく笑って見せる。
「そ、そうなのか?
別に寂しくはないけど‥
何か嬉しいな。」
お父さんが満更でもない顔になっていた。
お父さん、騙して御免なさい。
私は心の中でお父さんに謝罪した。
「あっ、でも未成年者の付き添いはダメなはず。」
お父さんが予期せぬ事を口にする。
「え、マジ?」
お姉ちゃんもその事を知らなかったのか驚いている。
「ワンチャン、大人に見えないかな?」
お姉ちゃんが身体をくねらせて、何かをアピールしている。
「紅羽はなぁ‥
乙羽なら見えなくもないけど‥」
大人に見えなくてショックを受けるお姉ちゃん。逆に大人に見えるかもと言われてショックを受けた私だった。
「親父!
何とかしてくれ!」
お姉ちゃんが乱暴な物言いでお父さんにお願いする。
「何とかって言われても‥」
お父さんは腕を組んで考え込む。
「可愛い娘が2人も泊まってあげるんだぞ!無い知恵を絞り出せ!」
お姉ちゃん、それはもう悪口だよ。
「う〜〜〜ん」
お父さんはお姉ちゃんから酷い事を言われたのにちゃんと聞いてなかったようだ。
「あっ、お母さんが泊まることにすれば良い!」
「おっ、ナイスアイデア!
たまに活躍するな親父!」
お父さんとお姉ちゃんがはしゃぎだす。
いや、騙して泊まるのは犯罪だと思うけど‥。
あとお姉ちゃんもそれ褒めてないからね。
はしゃぐ2人を見て頭が痛くなるのであった。




