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岩井 咲2

 野良ナースが勝手に検温を始めだす。


「お熱測りましょうね。

 お口がいいかなぁ?

 それとも‥‥‥かなぁ?」


 野良ナースが猫撫で声で問いかける。


 いや、どこで測るつもりなの!?

 お姉さん的に気になる!


「じゃあ、お口だね。

 あむっ」


 !!!!!

 キ、キスしやがった!

 しかもディープだと!!

 けしからん!!


 ちょっといつまで続ける気?

 お姉さんもいやらしい気持ちになるじゃない‥。


 じゃなくて!


「ちょっと、病室で何をしてるのですか!」


 さすがに見逃せなくて声をかける。


「ほら、もっと舌だして‥」


 ヤバいよ、この女。

 無視しやがった。


 私は言葉では駄目なので2人を無理やり引き剥がす。


キッ!


 野良ナースが私を睨みつける。


 コワ!

 看護主任の浜田とは比べられないぐらい恐ろしい‥。


「あ、あの‥

 病院でそういうのはちょっと‥

 やめて頂きたいと思うような‥」


 野良ナースが怖くてまともに目を見て話せない。


「何か問題でも?」


 野良ナースがひらき直る。


「いや、問題しかないです。」


「はぁ‥

 これだから素人は‥

 これは日本古来からある姉と弟の愛の儀式です。

 まったく最近の日本人は‥

 嘆かわしい。」


 野良ナースが本気でガッカリしたよう顔で手を広げて、ポーズをとっている。


 え?

 何で私、怒られてるの?

 それに今、姉と弟って言った???

 え?

 姉弟なの??

 どう言うこと??

 WHY?


 私の驚いた顔を見て、野良ナースが近寄ってくる。

 音もなく近づいてくるのが怖い。


「ここにも、日本古来の風習を忘れている子がいるなんて‥

 わかった、今から貴女に教えてあげる。」


 恐怖から身動きできない私に野良ナースの授業が始まる。


*    *    *    *


「貴女、日本書紀は知ってるよね?」


 内容は知らないが聞いたことはあるので、頷いておく。


「日本書紀は奈良時代に書かれた歴史書で、『古事記』と並ぶ最も古い史書なの。」


 最初は何かのボケかと思っていたが、真面目な話のようだ。


「その古い歴史書にイザナギとイザナミと呼ばれる神様が出てくるの。」


 なるほど‥

 とりあえず頷く。


「その2人は兄妹で夫婦だったの。

 神様が兄妹で結婚してるのよ!

 だったら、私達が結婚しても問題ないでしょ?」


 いや、でしょ?って言われても‥。


「それは‥

 神様だったから良かったのでは?」


 少し怖かったが、一応反論しておく。


「はぁ?

 神様が良いってことは、私達も良いに決まってるでしょ?

 そんな事もわからないの?

 はん!

 だからその年で処女なのよ。」


 最後は小馬鹿にされたような気がする。


「ちょっ、何で知ってるの?」


 私の言葉に野良ナースが意地悪そうな笑顔になる。


「プッ

 やっぱり処女だった‥。

 単純で助かるわ!

 もしかしてキスもまだとか?」


 野良ナースが興味津々の顔で私を見てくる。


「その‥

 勉強も忙しかったし‥

 好きな人はいたけど、告白出来なくて‥」


 何故だか自分の事を話してしまうのであった。

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